写詩之日々

写真と詩を載せています。

来訪者

2014-12-25 02:29:47 | ポエム・写真


あんまり突然に訪ねてきたので

ドギマギしてしまい

コーヒーの入れ方もぎこちなくて

あなたは迷惑だったかしらというように

所在なさげに窓を見つめていたが

でもそんな仕草でしか

間をとり繕うしかなかったのだろう

なにしろあなたとは初対面

話題はうかばず

ただ

こんな出会いもあるものだなあと

いっしょに窓を見つめていたら

そのときすでにあなたは背を見せて

小さく遠ざかっていった


留守番

2014-12-24 18:09:00 | ポエム・写真


母がデイサービスとやらに通いはじめた

ぼくは身体不自由で介護はできず

思案したあげく

足の運動でもしたらと奨めてみたら

介護認定一とかいう判をもらい

あっさり行きはじめた

といってもまだまだ元気

そこで週二日ぼくは留守番になったが

帰宅した母はにこやかだ

聞くと温泉浴場で和気あいあい

思い出のハミングがこだまし

食卓では金魚やエイ

イルカまで泳いでいるという


花物語

2014-12-18 01:43:26 | ポエム・写真


タクシーの待合所で

ひとときの休憩

いよいよ寒くなってきた

たったいま

地下街でどら焼きを買ったばかり

街はクリスマスの装い

デパートは色とりどりの飾り付け

ひょっとしたら今年は

サンタが現れるかもしれない

と中年の淡いおとぎ話

花は見ている

のをわたしは見ている


陽だまり

2014-12-15 02:03:45 | ポエム・写真


冬の陽だまりは

安らぎのひととき

憧れのスポットライト

幕が開くと喝采の拍手で迎えられる

と夢うつつ

だが書棚や液晶テレビの画面にも

傾いた陽がだんだんと

おかまいなく照りつけるので

このままでは具合がどうもと心配になり

カーテンで遮へいする

まだ漏れる陽がうらめしく

日暮れはすぐに訪れる


冬の入口

2014-12-13 00:15:35 | ポエム・写真


あの燃え立つ紅葉の

時期もすっかり過ぎたころに

近くの山寺参りに行った

境内はすでに人はまばらで

遅かったかと思ったが

けれど

こんな枯れ枝が茫々として

北風の吹きすさぶ光景も

またいいものだ

冬の覚悟を決めているような

けっして美しいとは言えないのだが

私の心の何処かにも抱え込んでいるようで…