写詩之日々

写真と詩を載せています。

詩とともに

2023-11-03 22:34:30 | ポエム・写真


なんとかかんとか
やってきたけれど
大した成果もなかったけれど
こうして生きて
詩を書いているのは確かだ

詩のお陰でなにかを考え
言葉の無力さを知り
伝えることの
はがゆさや
出会いの喜びを知ったのも確かだ

詩は役に立たないと言うが
あらゆる理不尽に
立ち向かっていきたい
何も変わらないけれど
詩こそが抵抗の源になる

詩は僕の心ではなく
ぼくの周りにある世界だ
その世界によって
僕は生かされている
これからも広がっていくだろう

詩は偉大ではなく
確実でもない
そんな微風のような
心もとない言葉ではあるが
それでも何かを探している


母子録(Ⅱ)

2023-11-01 05:42:35 | ポエム・写真

母が夏を通り越して
三ヶ月ぶりに帰ってきた
まだ眠たそうだが
リハビリの成果か
歩行器ハンドルを両手に
落ちている新聞紙を蹴飛ばし
軽やかな足取り

そうだ
敬老の日に町内会からもらった
商品券で寿司を取ろう
二人はテーブルに三時方向に座り
テレビを付けて
さっさと食べはじめる
退院祝いだねと僕が言う
母は貪るように食べる
そんなに急いだら
つっかえるよー
あー、お腹いっぱい
残った寿司を母の箸が
僕の皿に移して
母は寝床に急ぐ

いつもの夜にまた戻れたね
僕は自分に言い聞かせて
電灯のスイッチを切った
今までのように
これからもそうであるように