街路にひびく銃声
草原の馬のひずめ
ベンチに舞う葉のささやき
ひとつの物語がおわり
ひとりの主人公が入れかわる
そのたびに産湯に浸かるように
未知の世界とたわむれる
現実はいっとき追いやられた
なにかを始めなければ!
エンドロールにはまだ早い
高崎スズランデパート近くのお堀端には
いつも水が流れていて
紙飛行機の残骸のようなものが浮いている
空はどこまでも空で
木々や建物だけが
かろやかにゆれている
静かな流れのなかで
わたしの姿はどんなふうに映るのだろう
往きすぎる人たちの
会話ははずんでいる
子供だったころ
看護師さんは白衣の天使だった
やわらかな手でさすってくれて
やさしい言葉で眠りについた
下心もなかった甘い記憶
ところが今は
にらまれたり背を向けられたり
憧れの脚はパンツルックに消え
かんごふさんとはもう呼べない
仮病なんかは使えない