毎日の運動の帰りには
必ずといっていいほど
なにかを買ってしまう
販売機のジュース
コンビニで夕食のおかず
見出しにつられて週刊誌まで
財布を持たなければいいのだけど
そうすると寂しくて仕方がない
運動といいながら
いつもなにかを求めている
寝静まった夜
液晶画面の発光に寄りかかり
ゆるゆると時間が過ぎる
やるべき事
やらなければならない事
それらを全部あとまわしにして
闇の中にたゆたう
しかしそれは
明日を避けるためのごまかし
眠らない夜にはすべてが個体になる
毎年一月に開かれる少林山だるま市は
うちの近くということもあって
近隣の人たちもこぞって出かける
いつか母だったか祖母だったかに
背負われて行ったことがある
境内には朱色に照らされただるまが並び
人だかりはシルエットだけだった
椀を両手に甘酒を飲み
真っ白な吐息だけが目の前をおおった
家にだるまが置いてあるのは
子供のときはごくふつうだった