
去年も書きましたが、「スタート法」についてです。
今回のほうが少しわかりやすかったので・・・。

まず、傷病者を見た時の第一印象で優先順位を決めます。
傷病者に触れる前に見た目でわかる情報です。
声は出ているか。
息は上がってないか。どのくらいの速さの呼吸か。
出血はないか。顔色はどうか。
明らかな四肢変形はないか。一人当たり30秒で行います。
Triage Start法
歩行可能か 可能 → 緑
不可能
↓
呼吸(気道開通にて) なし → 黒
呼吸あり
↓
呼吸数 9/分以下・30/分以上 → 赤
↓
橈骨動脈/CRT/脈拍 触知不可/2秒以上/120以上 → 赤
↓ 触知可能な橈骨動脈120/分未満
意識・従名反応 なし → 赤
↓ あり
黄色
これに沿って判断していきますが、全部を見るわけではありません。
歩けた段階で緑です。これでトリアージ終了。
呼吸抑制があれば、それで赤。これで移送順位は最優先となります。
全部を見ないで、マッチしたところで終了すろことで、トリアージの速度をはやめます。
ただし、トリアージは一回で終わるわけではなく、緑として待機あるいは処置中にもトリアージはされますし、搬送中にも病院での待機中にも、回診という形で何度もトリアージはされるので、状態が変化すればそこで優先準は変わっていきます。
と言う事をふまえて、実習をしました。
実施者は二人ペアになり、実施する人と、タグに記入して患者につける人に分担します。
傷病者は、この日は4人。

胸のカードに、受傷の状況と視覚的な変化が書いてあります。
瀬谷区医師会長も、傷病者役でうれしそうです。


4人全員の紙を読んで、第一印象でトリアージをする順番を決めます。
インスピレーションです。
①胸部の打撲で、息が苦しそうなひと。
②頭に鉄アレイが落ちて、少し出血しており軽いいびきをかいている人。
③お腹に箪笥が倒れてきて、激しい腹痛を訴え、顔色が悪いひと。
④足をはさまれたが、話もできるし、顔色もいい人。
私たちペアは、いびきをかいている人、呼吸が苦しそうな人、腹通の人、足のけがの人の順に見ていきました。

川口先生や池辺先生もちゃんとやっていました。

これがカードの裏側。実際の所見です。

①緊張性気胸の疑いで、呼吸困難、CRT3秒
②頭部外傷で意識レベルJCS100、呼吸、循環はやや安定。
③腹腔出血の疑いでCRT(親指の爪を5秒押さえて、爪甲色が回復する速さ)4秒、
④バイタルサイン問題なし
確かこんな感じだったとおもいます。若干違うかも・・
で、これでいうと①から③は赤で、④だけ緑となります。
と言う事は①から③のなかで優先順位を決めないといけませんので、
私たちは、①③②④としました。
多きく別れたのは、①と③が逆かどうかというところ。
医師や看護師は①を最初に持ってきましたが、それ以外の方は③を最初にした方が多かったですね。
①は緊張性気胸ですので、脱気さえすばやくしてあげれば、悪化せず速やかに回復すると思いました。
熟練した先生なら、簡単に脱気してくれるので、即次の患者さんに対応できると思ったので。
③のほうが重症度は高いのですが、①を放っておけば心臓や肺を圧迫して死に至りますので、速やかに処置をして黄色にしちゃえばいいと思いました。
そのかたわら、③はすみやかにオペ室へ送り、次に頭部外傷の処置へと流れていけばいいかなと。
結果はそれでOKでした。
実際はそんなにうまくは運ばないでしょうが・・・

こんな感じで、とても楽しい実習でした。
ただ、医療者はとても少ないので、これを一般の人にやってもらう必要があるので、地域住民対象に行政サイドでもっと講習会とか実習とかをやらないと、本番では混乱するばかりだと思います。
そして、これは救護所に集まった人を対象に考えていますが、実際は自宅から動くこともできない人が多く、高齢化率の高い瀬谷区では、傷病者をだれが救護所まで運ぶのかという問題も起こってきます。
つまり、町内会レベルから、もっと真剣に考えないと、助かる命も助からないと言う事になりますね。
というわけでトリアージ研修報告はここで終わりです。
さっき娘が9時過ぎに「お母さん!今日の月怖い!黄色いし大きいし、すごく低いところに出ていて、なんか気味悪かった~。」と息を切らして塾から帰ってきました。
「見て見て」というので、カメラをもって夜の庭に出ましたが見えません。
すごく低いんですよ、本当に。
結局見えるところまで移動しでみると、確かにいつもより黄色いし、大きいし、上が少し欠けて、いびつな感じが怪しい・・・。
残念ながら、私のカメラ技術では、この不気味さは表現できませんが・・・。

まん丸じゃないので、狼男は出ないと思います。
