![]() | 青い山脈 (新潮文庫) |
石坂 洋次郎 | |
新潮社 |
趣味で書き物をしている、と
何度か当blogで書かせていただいてます。
素人のヘタクソ散文、
こちらのblogでは積極的に宣伝とかはしてませんし
今後もする気はないけど
ヘタクソなりに試行錯誤はしてます、
裏取りという名の資料に当たったりもしてます。
ネットは調べ物に便利な媒体ですが、
これといった明確な意志がないと
散漫な捜し物になっちゃうんですね。
なんで、結局、書籍を頼ることになります。
裏を取りたいのは
ある時代の風俗。
自分が生きてきた頃なら
漠然と覚えていたり
経験したりしたことはかなりわかるけど、
生まれる前はまーーーったくわかりません。
今回、戦後間もない一般の人達の生活とか
風俗を知りたくて、
ぱっと思い浮かんだのが青い山脈の音楽だったので、
原作を手に取ってみようと思いました。
が。
なんと、絶版なんですわ。
流行(通俗?かあ?)小説なので文学的価値がないからなのか、
そもそも今時、メガヒットクラスのコンテンツでないと
売れないから存在価値が認められないのか。
ここがネットの哀しくも有り難いところで、
絶版で絶望しながら、古本で購入ができるんです。
図書館で借りるという手もあるにはあるんですが、
目的持って読みたい本は基本、古本でも買う私、
借りたくなかったんです。
で、読んでみて。
所々まーったくわからない箇所もあるけれど、
思ったより生き生きと暮らしている男女や
戦後数年であっさり「敗戦後」と語られる
単語の数々に、案外早くに戦後日本の検証は
一般の人に届く形でされていたのだろうか、と
浅く考えたり。
(例を挙げると、太平洋戦争が起きたメカニズムを
ほんの数行で優しく書き表してる箇所に
これ、この当時でこーいう書き方をして
ゆるされたんだ、と素直に驚いたり。
いや、びっくりしました)
一井の人達の生命力に惹かれる一方、
これは小説で想像の産物だから
じっさいはどうだかわからないよね、と
冷めた目で見てる自分もいたりで。
新聞小説だからか、
もしくは当時の小説の作法として当たり前だったのか、
唐突に物語が展開し、
いきなり収束するところはどうだろう、と頭捻りたくなったけど。
けど、面白かったんですよ。
だけど絶版。
最近折を見て読んでいる三浦綾子さんですら、
絶版で電子書籍じゃないと読めない作品もあるという話。
おもろい、軽い読み物(ライトノベルとかね)も好きですよ、
よく買って読んでますもん。
けど、世の中から消える理由がわからない作品も
多数存在します。
創作物だけは市場原理から外れて欲しいと
思ったりするんだけどな。
ま。
受け止め手が忘れなければ、
その作品は読み手が死なない限り
命を持ちますけどねえ…
なんか。
もったいないわあ。