MARUMUSHI

映画とかTwitterとかとか。

『カケラ』。

2010-05-16 22:23:41 | 映画日記
『カケラ』を観てきた。


女性に好きになられてしまった冴えない女子大生と、
女性を好きになってしまった義肢装具士の物語。




ちょっとミジンコの話をしてみよう。
ミジンコは普段、単為生殖による分裂によって数を増やしていく。けれど、環境の変化などにより生存危機が迫った時は有性生殖を行いオスとメスの交配が行われる。

生物は概ね、多様性を増やすことで生存能力を上げてきた。有性生殖というのはそのための最強の方法だ。
だけど、人間の場合は有性生殖が返って邪魔になる場合も往々にしてある。
言うのが照れくさいけれど、”愛”ってヤツが躓きになってしまうのだ。



五体満足という言葉がある。
頭・両手・両足が揃っていて健康な状態を表す言葉だ。
ミジンコは五体満足なら子孫を残せるけれど、人間は五体満足でも子孫を残せるとは限らない。足りない”カケラ”がある。
頭はともかくとして、両手・両足などは、義肢として幾許かは埋め合わすことが可能だろう。
けれど、心が欠けている場合、どんなに有能な義肢装具士でも、少しも埋める事は出来ない。
そればっかりは、自分で何とかしなくちゃいけないのだ。


心を埋め合わせるには勇気がいるけれど、どうにもならない事柄でもない。
誰かに愛を告げるためには、思い切りと、スカートと、30円のみかんが1つあれば十分だ。



とても良い映画。
純粋で痛々しくて、それでいて綺麗。
魚喃キリコの『blue』とかが好きな人にはおススメ。


『書道ガールズ!!』。

2010-05-16 00:51:23 | 映画日記
『書道ガールズ!!』を観てきた。

漫画『とめはね!』などもあるけど(よんだことない)、書道というのがちょっと流行ってるらしい。
この『書道ガールズ!!』は、”書道”の話ではなく、”書道パフォーマンス”という、書道に音楽とダンスを組み合わせた演舞の話。

舞台は愛媛県。製紙業が盛んな街。けれど、不況のあおりを受けて街は衰退気味。商店街はシャッター街へと変貌しつつある。
そんな街の高校の書道部から”書道パフォーマンス”は産まれた。

実際にパフォーマンスの様子が劇中に登場するけれど、面白い。
どこかしら荒削りで未完成な雰囲気が漂うけれど、型破りで破天荒な”書道”だ。
主人公の女の子は書家の父を持つ。父は娘の”書道パフォーマンス”をよく思っていない。
書は己と向き合うもの。
一方で、パフォーマンスは人に見せるもの。
ベクトルの向き方が真逆なのだ。相容れないところはかなりある。
彼女の父親には、この差が受け入れられないのだろう。

けれど、自己表現といった観点からは、両者にそれほど大きな差は無い。
肯定は概ね前進に繋がり、否定や拒絶は概ね後退に繋がる。
相容れない側面を持つもの同士が合わさると、2つの特徴を持った新しいものが出来ることだってある。




物事には波があり、ブームはいつかは去っていく。
だから、たぶん書道パフォーマンスも、そのうち下火になっていくだろう。
けれど、その時に得た経験や仲間はきっと、ずっと残っていくものだ。