MARUMUSHI

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『レッド・バロン』。

2011-06-09 01:55:51 | 映画日記
『レッド・バロン』を観てきた。

第一次世界大戦中のドイツ軍と連合国との戦いが舞台。
航空部隊が主力として戦闘に参加した初めての戦争(だったと思う)。
そのドイツ軍に敵機撃墜を80機という前人未到の数字を達成した男がいた。
マンフレート・フォン・リヒトホーヘン。
自機を赤く塗装していたことからレッド・バロンと呼ばれたエース・パイロット。彼の名前は自国の軍だけでなく連合国側からも畏敬の念とともに知れ渡っていた。
だが、歴史が物語っているように、ドイツ軍は劣勢に追い込まれていく。どれほど有能だったとしても、一人のエースパイロットが戦況を一気に覆すことは出来ない。
彼は連合軍に撃墜され、25歳という若さでこの世を去った。

自分がヒーローになる事が楽しく、空中での先頭はスポーツ感覚だった彼は、独りの看護婦から影響を受け、自分の考えを改める。

焼け爛れ、それでも死ねない。
腕をもがれ、脚をもがれ、失明し、ベットに横たわる負傷兵たちを見たとき、彼は自分が行っている事が戦争であると突きつけられる。
それでも、戦争は止まらない。
戦友が次々と死んでいくなか、彼は戦線から指揮官へと昇進することで地上の先頭を目にする。
空では体験したことの無い地上の恐怖感。
そして、それを肌身で感じる事のない最前線でない指揮所にいる指揮官たちの感覚に彼は疑問を持つ。
戦争下では指揮官はしばしば現実なるものが存在しなくなる。自分たちに都合のいい戦況のみを見るようになってしまう。そして、残念なことにその傾向は戦争に負けていればいるほど強くなっていく。
このときのドイツ軍の指揮官たちはそうだったんだろう。


リヒトホーヘンは第一次世界大戦を生き延びることは出来なかった。
だから、戦後に疲弊しきった自国で生きることはなかった。
歴史にifはない。
だけど、もし彼が生き残っていれば、彼のような戦争体験者がもっと多く生き残っていれば、ドイツがファシズムに走ることは無かったかもしれないと思う。


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