「ブランド化の流れ」
ここ数年、
飲食業界において 「ブランド地域」 や 「ブランド食材」 の氾濫が気になります。
ブームということもあるのでしょうが、「○○牛」 「○○豚」 「○○鶏」 ・・・ 野菜や
魚介、フルーツ、調味料などを含めると “全国うまいもの市” 状態になっている
お店も存在します。ブランド食材を扱うことが悪いとは言いません。ただ、本当に
ブランド化しなければならないのは、お店の存在自体なのではないでしょうか ・・・
“折角、腕の立つ料理人がいるのに ・・・” と思うお店もあります。しかし、ほとんど
の飲食店が、利潤追求やコスト削減で、若く経験の少ないスタッフ中心に運営して
います。そうした環境下で顧客獲得の切り札とも言うべき、「ブランド食材」 の打ち
出しがあることも事実です。そこまではないとしても、結果的にそのブランドに頼った
商品提供になっていることは否めません。もちろん、客側も求めているのかもしれ
ませんが ・・・ 。だからではないですが、料理人のレベル低下がやはり心配です。
若い料理人は、「ブランド食材」 を “切るだけ” “焼くだけ” で売れてしまえば、
“基本を押さえて” “手間暇掛けて” といった仕事が無意味に思えてしまうのでは
ないでしょうか。実際、そういう向きになっている料理人も多く見られます。有名な
ホテルや街場で人気のレストランでも、メニュー内にブランド名が氾濫しています。
「A5ランク ○○牛のステーキ」 というネーミングです。もちろん、こう表記すれば
売れてしまう現実があります。ここまでくると、経営者側からすれば、確かにプロの
料理人が不必要に思えてくるのかもしれません。
本来、食材の目利きも含め、腕の立つ料理人が厨房にいるから、そのレストランや
料理の評価があったはずです。いや、そうあるべきだと私は考えています。頑なに
その域を守っている料理人も存在します。しかし、今の時代、ビジネス目線が先行
している若い料理人が多いと感じます。否定はしません。ただ、そういう料理人は
早めに厨房から出ることをおすすめします。もっと、“日本の食文化を担っている”
という自負を持ってほしいものです。特に、注目されているお店の料理人ほど ・・・ 。
「料理人のプライドと飲食店のあるべき姿」
ブランド食材を作り育てている農家や畜産関係者には、それ相当の努力や工夫が
あるはずです。天然のブランド食材を獲っている漁師さんや猟師さんにおいては、
危険や苦労が必ず付いてきます。さてそれでは、その 「ブランド食材」 を仕入れた
飲食店では、どのような努力や工夫をして苦労しているのでしょうか? 甚だ、疑問
です。その食材が生れた背景(歴史)はおろか、特色や特徴すらほとんど知らずに、
“認知度の高い(世間にウケそうな)ブランドを箱で仕入れ、高く売れそうな所(人)
に転売” というアンダーグランドな流通業者のような仕事になっているお店が増え
つつあるかもしれません。
それこそ、これが本当に問題なのです。ブランド名に頼っているだけのお店や
上辺の料理人が氾濫して、料理屋としてのあるべき姿を忘れかけているのです。
結果として、本来の料理人としてのプライドまで捨てかけているのかもしれません。
再チェックする時期にきていると感じます。特に、地産地消という流れ(考え)が
加速すれば、いくら都会で手広く商売をしている飲食店といえど、今ほど簡単に
商品は流通しなくなります。時代は確実にECOへ向かっています。それなのに、
飲食業界はその世の中の流れを一番わかっていない(わかろうとしない)業界
かもしれません。率先しなければならないはずなのに ・・・ 困ったものです。
皆さんが通っているお店、そう感じることありませんか ・・・ ?
( 客側も、お店をちゃんと評価すべき時代になってきたということかもしれませんね )
■ 二升五合 ■
景気が 良ければ
ブランドを 持て囃し
景気が 悪くなれば
見向きもしない お客
ポリシー 無いんですか?
景気が 良ければ
高くても山ほど 仕入れ
景気が 悪くなれば
値切りにかかる お店
プライド 無いんですか?
採ってる人 や 狩ってる人
作ってる人 や 育ててる人
そんな人たちの こと
ちょっとは 考えましょうや!
これじゃ 世の中
人も お金も 回りませんよ ・・・ !
第五大成丸