ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

082. エスピシェル岬に恐竜がいた!

2019-01-09 | エッセイ

5月以来、久しぶりにカーボ・エスピシェルに行った。
あれだけ暑かった夏もどうやら終り、少し気温も低くなったので、エスピシェル岬を歩き回っても熱中症になる心配はなさそうだ。

なにしろエスピシェル岬には木陰をつくる背の高い木が一本もないので、7月、8月に行けば真夏の強烈な太陽に全身をさらされ、たちまち真っ黒焦げになってしまう。

大西洋にそそり立つ断崖絶壁、その上の広大な台地には、様々な低潅木や草花が生い茂っているのだが、植物たちも夏の強烈な太陽光線と冬の強風から身を守るため、低く身を縮め、葉は鋭い棘になり、全身を武装している。
うっかり触ると、ひどい目に遭いそうだ。

岬の入り口あたりに立て看板があり、以前から気になっていた。
「恐竜の足あと→」

たぶん断崖絶壁のぎりぎりにあるのだろう~強風に吹き飛ばされたら大変だと思って、今まであまり行く気がしなかったのだが、今日は風もなく、おだやかな天気だし、恐竜の足あとを見るには絶好だ。

クルマを空き地に停めて歩き始めた。
これが日本だったら、このあたりに「恐竜まんじゅう」などを売る店が立ち並んでいるだろうに、
何もない!

たぶんすぐ近くなのだろうと思いながら歩いていた。
ところが、歩き始めてすぐに、乗用車が一台やってきて、私たちをチラッと見ながら追い越していった。
もうもうと土ぼこりを巻きたてて、みるみる見えなくなった。

そういえば、さっきの空き地には一台のクルマも停まっていなかった。
恐竜の足あとまでだいぶ遠いのかもしれない。
引き返して、クルマで行くことにした。

曲がりくねった急な坂を下り、道は岬へ向う。
しばらく行くと対向車が現れた。
さっき土ぼこりをあげて走り去った車がもう引き返してきたのだ。
すれ違うのは無理なほど道は狭く、しかも路肩はところどころ崩れかけている。
相手が手前で待ってくれたので、なんとか進めた。

道はすぐに行き止まり、その先は大西洋。
青々と澄み切った入り江を挟んで、左側にノッサ・セニョーラ・デ・カボ・エスピシェル教会が見える。

ところで恐竜の足あとはどこ?

 




案内板が立っている。
それによると、教会が建っている場所の崖のずっと下のほうの岩肌に、いくつもの恐竜の足跡があるらしい。
教会側からは崖下に下りて行けないので、こうして対岸の岬から見ることになる。
でもデジカメの望遠をいっぱいにしても、はっきりしない。
案内板の説明図を見ながら、なんとなく納得。
崖の岩肌は斜めに海に向って突き刺さっていて、そこに恐竜があちこちと歩いた足跡が残っているらしい。
大昔は平らな地面だった所を恐竜が歩いたのだろうけれど、その後の地殻変動などで、地面が隆起した結果、今では急な崖の斜面になっている。

恐竜の足あとに自分の足を乗せてみたいと思っていたが、あんな遠くではとても届かない。
残念!

 



斜面に点々と続いているのが、かって恐竜が歩き回った足あとらしい。

MUZ
2010/09/23

 

©2010,Mutsuko Takemoto
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(この文は2010年10月号『ポルトガルのえんとつ』に載せた文ですが2019年3月末日で、ジオシティーズが閉鎖になり、サイト『ポルトガルのえんとつ』も見られなくなるとの事ですので、このブログに転載しました。)

 

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