今月は私的に音楽関連の行事が多いですが、一昨日地元の「稲城市iプラザ」で中村紘子氏(Wikipedia)の「デビュー50周年記念リサイタル」を聴きました。
演目はこちら:
(拡大してご覧ください)
実を申しますと、私は中村さんの演奏が特に好きでもなければ、生で聴くのも初めてでした。地元で安く聴けるということで、チケットを買ったのです。
でも、やはり華のある方ですねぇ。白地に黒花の幾何的デザインという、私の予想に反したドレスを身にまとい、ステージに登場しただけで、「中村紘子が東京のド田舎のこんなステージに立っている!」という感激に浸ってしまいました。
最初のスカルラッティは、ホールの音響が悪いのか、ホールに合わないのか、フワフワした感じがして、「もっと音がしまっていたらいいのに...」と思いながら聴いていたのですが、ベートーベン、シューマンと進むにつれ、惹き込まれていきました。
一番感心したことは、彼女の弾くときの姿勢です。腰が入っていて、背筋が腰から首まで真っ直ぐで、上半身の動きに力みや無駄がなく、安定していてぶれないのです。静かな部分でも激しい部分でも、それは変わりませんでした。ですから、姿だけ遠くから見ていると、実に淡々と弾いているように見えますが、音には芯と安定感があるように思いました。
後半のラフマニノフの前奏曲はとってもよかったです。やはり中村さんには叙情豊かな曲が合うような気がします。
その後のショパンは有名な曲ばかりで、中村さんもこれまで幾度となく弾いてきた曲なのでしょうが、指が回りきっていなかったり、結構ミスタッチがあったりして、ちょっと驚きました。特に最後のポロネーズは、お疲れだったのか、少し雑な気もしました。
でも、昨秋聴いたアンドレ・ワッツ氏でもミスタッチはありましたし、中村さんの気迫と貫禄がそれを充分カバーしていたと思います。観客の拍手も大きく、とても温かいものでした。
アンコール曲を弾く前に、初めて中村さんが自分で曲の解説をしてくれました。あのソフトな可愛らしい声と喋り方で...。ここでも、「あらぁ、中村紘子の生声だ~~~」と思うと、それだけで惹き込まれてしまうのですから、中村さんはたいした方ですね。
驚いたことに、アンコールは5曲もありました*。鳴り止まない拍手を受け、その度に少女のようなはにかみと品を作りながら登場なさり......まるで、中村さんの声が聞こえるようでした。「えぇぇ?まだ弾くのぉ?? どうしようかしらぁ...???」「えぇい、いぃわぁ、やっちゃうわん。でも、あと1曲よぉぉ...」
そんな雰囲気でためらいながらピアノに向かう姿には、60代半ばとは思えない愛らしさと華がありました。
曲目は...
ショパン 「ポロネーズ 第11番」(7歳の時の作曲)
ショパン 「ワルツ 第2番」
ラフマニノフ 「前奏曲嬰ハ短調 作品3-2」
グラナドス 「アンダルーサ」
ブラームス 「ハンガリー舞曲 第1番」
でした。
ラフマニノフの「前奏曲嬰ハ短調 作品3-2」は、浅田真央さんがフリーのプログラムに使った通称「鐘」ですが、最後の和音の余韻がまるで鐘の音のようで、すばらしかったです。教会の鐘の音が重々しく鳴り響く、冬の薄暗いヨーロッパの街並みが、ぱぁ~っと頭の中に浮かんできました。
* 後で調べたところによると、中村さんがアンコールに数曲弾くのは通常のようですね。稲城市民にだけ大サービスしてくれたのかと思って、感激してたんだけどな!?
唐突ですが、ひょっとすると中村さんは私と同病者なのでしょうか? うっかりしたことは言えませんが、それが本当だとすると、余計に勇気と励ましをもらえた思いです。中村さん、ありがとうございました! こんな田舎ですが、またいらしてくださいね。
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実を申しますと、私は中村さんの演奏が特に好きでもなければ、生で聴くのも初めてでした。地元で安く聴けるということで、チケットを買ったのです。
でも、やはり華のある方ですねぇ。白地に黒花の幾何的デザインという、私の予想に反したドレスを身にまとい、ステージに登場しただけで、「中村紘子が東京のド田舎のこんなステージに立っている!」という感激に浸ってしまいました。
最初のスカルラッティは、ホールの音響が悪いのか、ホールに合わないのか、フワフワした感じがして、「もっと音がしまっていたらいいのに...」と思いながら聴いていたのですが、ベートーベン、シューマンと進むにつれ、惹き込まれていきました。
一番感心したことは、彼女の弾くときの姿勢です。腰が入っていて、背筋が腰から首まで真っ直ぐで、上半身の動きに力みや無駄がなく、安定していてぶれないのです。静かな部分でも激しい部分でも、それは変わりませんでした。ですから、姿だけ遠くから見ていると、実に淡々と弾いているように見えますが、音には芯と安定感があるように思いました。
後半のラフマニノフの前奏曲はとってもよかったです。やはり中村さんには叙情豊かな曲が合うような気がします。
その後のショパンは有名な曲ばかりで、中村さんもこれまで幾度となく弾いてきた曲なのでしょうが、指が回りきっていなかったり、結構ミスタッチがあったりして、ちょっと驚きました。特に最後のポロネーズは、お疲れだったのか、少し雑な気もしました。
でも、昨秋聴いたアンドレ・ワッツ氏でもミスタッチはありましたし、中村さんの気迫と貫禄がそれを充分カバーしていたと思います。観客の拍手も大きく、とても温かいものでした。
アンコール曲を弾く前に、初めて中村さんが自分で曲の解説をしてくれました。あのソフトな可愛らしい声と喋り方で...。ここでも、「あらぁ、中村紘子の生声だ~~~」と思うと、それだけで惹き込まれてしまうのですから、中村さんはたいした方ですね。
驚いたことに、アンコールは5曲もありました*。鳴り止まない拍手を受け、その度に少女のようなはにかみと品を作りながら登場なさり......まるで、中村さんの声が聞こえるようでした。「えぇぇ?まだ弾くのぉ?? どうしようかしらぁ...???」「えぇい、いぃわぁ、やっちゃうわん。でも、あと1曲よぉぉ...」
そんな雰囲気でためらいながらピアノに向かう姿には、60代半ばとは思えない愛らしさと華がありました。
曲目は...
ショパン 「ポロネーズ 第11番」(7歳の時の作曲)
ショパン 「ワルツ 第2番」
ラフマニノフ 「前奏曲嬰ハ短調 作品3-2」
グラナドス 「アンダルーサ」
ブラームス 「ハンガリー舞曲 第1番」
でした。
ラフマニノフの「前奏曲嬰ハ短調 作品3-2」は、浅田真央さんがフリーのプログラムに使った通称「鐘」ですが、最後の和音の余韻がまるで鐘の音のようで、すばらしかったです。教会の鐘の音が重々しく鳴り響く、冬の薄暗いヨーロッパの街並みが、ぱぁ~っと頭の中に浮かんできました。
* 後で調べたところによると、中村さんがアンコールに数曲弾くのは通常のようですね。稲城市民にだけ大サービスしてくれたのかと思って、感激してたんだけどな!?
唐突ですが、ひょっとすると中村さんは私と同病者なのでしょうか? うっかりしたことは言えませんが、それが本当だとすると、余計に勇気と励ましをもらえた思いです。中村さん、ありがとうございました! こんな田舎ですが、またいらしてくださいね。
このところ連日のコンサート三昧ですね。
紘子さん、彼女は、力強さそして優雅さを兼ね備えたピアニストですよね。
またトークも楽しく、
以前私が聴きに行った時、
おしゃべりに時間が過ぎて
弾くのを忘れてしまった、
というハプニングもありました。
テレビで見るより、ずっとお若くて、
小柄でチャーミングですよね。
彼女は、ベートーヴェンがお得意なのですか?
ご主人様は、かの有名な作家、
近頃お見かけしませんね。
どうなされているのかしら。
中村紘子さんのピアノ、聴きに行ったことがあります。
私は、
鍵盤に挑んでいる。
かのような、タッチの仕方に
びっくり・・しました。
・・はなこころ
やはり当然のことのように中村さんもカバーしていらっしゃいますね(#^.^#)
「力強さそして優雅さを兼ね備えたピアニスト」「チャーミング」、おっしゃるとおりですね。鍵盤のタッチとは対照的なのが、また魅力なのかもしれませんね。
彼女がお得意なのは誰なのか、私は存じ上げないのですが...。
庄司さんの小説、高校時代にはまりました。懐かしいです。
「鍵盤に挑んでいる。
かのような、タッチの仕方」
これも言い得て妙です。確かにそんな感じですね。それを、人によっては「乱暴」と表現するようですが...。