(↑ 演奏者の楽器)
音楽関連の記事が続きますが、「ピアノの先祖」と呼ばれることもあるハンマーダルシマー(/ハンマード・ダルシマー:hammered dulcimer)という古楽器のコンサートを、町田市小野路にある「ピアノカフェ CHOPIN」(こちらの過去記事もご参照ください)で聴いてきました(ワンドリンク付で1,500円)。演奏者は、ハンマーダルシマー奏者の橋爪道子氏です。
画像を交えながら、楽器のことやコンサートの様子を紹介します。
(★トップ画像以外の画像をクリックすると、大きい画像や別の画像が見られます。★リンクに別画像がある場合は、マウスオンするとその旨が表示されますが、ブラウザによっては読み込めない場合がありますm(__)m ★撮影日は2018年11月4日です。)
秋の調べ2018 ~ハンマーダルシマーの響き~
楽器についての解説を、橋爪氏のくだんのサイトからコピーします(※太字化とリンク付記はブログ管理人によります):
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台形の共鳴箱に張られた多数の弦を、ハンマーと呼ばれる木製のスティックで打って演奏する打弦楽器で、
金属製の弦を打って音を出す点や音色の類似性から「ピアノの先祖」と呼ばれることもあるようです。
起源は、古典民族楽器なので諸説ありますが、9世紀頃から中近東で演奏されてきた楽器で、
ペルシャ(現在のイラン)の古代楽器サントゥールから派生したと考えられています。
また、それ以前の8世紀頃にアイルランドで良く似た楽器の絵が発見されています。
12世紀に入り北アフリカ辺りにまで広まると、そこからムーア人達によってヨーロッパ全土に広まって行きました。
形状や演奏方法・名称を変えて、近親楽器が世界中に存在します。
dulcimerダルシマーは英語圏で使用される名称ですが、その語源は ラテン語のdulcis melos
(甘美な旋律の意)からきているとの説があります。
現代ではアイリッシュ音楽やそこから派生したブルーグラスなどの演奏によく使用されているようです。
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いろいろな大きさがあり、橋爪氏が演奏したものは68弦/42音、重さは台座と併せて約10kg、女性が歩いて持ち運べるギリギリの大きさだそうです。
彼女のダルシマーはマホガニー製ですが、現在はマホガニーでは作られなくなったとのこと(「ワシントン条約」による輸出入の規制が厳しいため)。
弦はギターと同じスティール弦ですが、音を大きくする目的で、通常は1音につき2本の弦が張られています。詳説がこちらの英語のサイトで見られます。
ハンマーには、弦を打つ部分にいろいろな飾りが施されており、橋爪氏は複数お持ち(↓)で、そのときの気分で選んでいるそうです。
アニメ映画「メアリと魔女の花」のサウンドトラック(「夜間飛行」)に使われているとか。
また、中国のヤンチン(揚琴)、日本の大正琴も近親楽器だそうです。
ハンマー。幅の狭い面に薄いフェルトのようなものが貼りつけられていて、その面で叩きます(左画像で、夫が右手で持っているもので確認できますか?)。
演奏された曲目(プログラム書式がなかったので、私のメモに基づいています)は、
1.「主よ 人の望みの喜びよ」 J.S.バッハ
2.「アルハンブラの思い出」 タレルガ
3.「涙そうそう」 BEGIN
4.「花」 喜納 昌吉
5. 映画「モアナと伝説の海」の主題歌
6.「小さい秋みつけた」 中田 喜直
7.「枯葉」 ジョゼフ・コズマ
8.「インスピレーション」 ジプシー・キングス (「鬼平犯科帳」のエンディングテーマ)
9.「情熱大陸」 葉加瀬 太郎
と、多岐のジャンルに亘っていました。
1・2曲目は、橋爪氏の生徒さんお二人も演奏に参加されました。この日はピアニストの生演奏の代わりに、予め録音したご自分のピアノ演奏などに合わせて演奏されました。
音色は、チェンバロとアコースティックギターの中間のような音? 両者を併せたような音? バンジョーの音色をもっと細くソフトにしたような音? 身近な楽器でいうと、やはり大正琴に近いでしょうか…。くだんの橋爪氏のサイトで聴くことができるので、ぜひ聴いてみてください。優しく繊細な音色です。
(演奏前の橋爪氏の画像)
ハンマーの動かし方を見ていると、肘や手首は固定したまま、ハンマーを挟む親指と人差し指のスナップを使って打つようです。実際に音を出させてもらいましたが、手首の力を抜いてハンマーを軽く持つことができないと、軽やかで柔らかな響きが作れないようです。私は不器用なので、脈がなさそうです(^^;
演奏を観ていて気づいたのですが、ピアノと音域の高低が逆、つまり、弦は右に行くに従って低音域なので、左手でメロディーを、右手で伴奏を弾くことになります。また、ピアノや木琴・鉄琴の音階が横並びであるのに対し、ハンマーダルシマーは縦並びになっています。よって、ピアノを弾かない人が取り組むにはあまり混乱が起きないかもしれませんが、ピアノを弾く人は最初戸惑うかもしれませんね。現に、音大のピアノ科出身である橋爪氏も混乱したとおっしゃっていました。そのため、メロディー専門の奏者、逆に伴奏専門の奏者と、2つに分かれる傾向があるそうですが、彼女は一人で演奏することが楽しいので、両方を一人でこなす奏法を選んでいるとのこと。「頭の体操になるんですよ~」ともおっしゃっていました。ハンマーを縦横に動かしながら演奏する打弦楽器…とてもユニークですね。
ハンマーダルシマー奏者の第一人者であるJoshua Messick氏のCDを求めて帰り、聴いてみてびっくりw(☆o◎)w 橋爪氏の演奏法と明らかに違うのです。わかりやすく人間の声で例えると、前者がバイブレーションを入れない歌い方(ストレートな響き)、後者が入れる歌い方(揺らぎのある響き)なのです。調べたところ、前者が一般的で、橋爪氏の演奏法が「連続したトレモロを多用する」独特な奏法なのだそうです。なるほど! 演奏法によってバリエーションが生まれる楽器とも言えるのですね。
なかなか目にすることも耳にすることもできない楽器を見聞きでき、さらに触らせてもらって、楽しく有意義なひとときでした(^^)v
来たる11月17日(土)の19時~、小田急線唐木田駅前の「Kitchien ティス」にて、ハンマーダルシマー・ギター・アラビックタンバリンによるライブコンサートが開かれます。興味のある方、お近くの方、足を運んでみてはいかがでしょうか。詳細はくだんのサイトをご覧ください。
その日は午前も午後もそれぞれ用事があるので、夜まで持つかどうか…母の施設にも行く日だし…???のtakuetsu@管理人でした(^^;