以前、こちらの記事で紹介した旧陸軍の登戸研究所について、この度絵本冊子が発刊されました。『ひみつにされた 登戸研究所ってどんなとこ?』 (登戸研究所保存の会編 2014年5月24日 株式会社てらいんく刊行)です。明るいイラストが多数添えられ、漢字にはふりがなが振られているなど、小学校高学年から大人まで幅広い読者を対象に、とても読みやすく編纂されています。また、稲城市在住の2人の画家による、全く異なったタッチのイラストのコラボが、この冊子をより味わい深いものにしています。
冊子の内容について、「版元ドットコム」のくだんの紹介がわかりやすいので、引用させていただきます。
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1937年、日本は中国と本格的な戦争に入り、その年に現在の多摩・登戸地域に陸軍の秘密施設「登戸研究所」をつくりました。そこでは多くの人たちが働いていましたが、研究所の中ではいったいどんなことがされているのか、周囲にはすべてが秘密にされていました。1945年8月に戦争が終わり、この施設は歴史から消されます。そこで働いていた人々も口を閉ざし、話すことのできない秘密をじっと、胸にかかえこんでいました。
それから40年以上も過ぎた頃、近隣の高校生たちの「地域を知る、調べ学習」がきっかけで、昔、自分たちの暮らす地域に秘密の施設があったことを知ります。高校生たちは壁にぶつかりながらも熱心な調査を行い、秘密施設・登戸研究所で働いていた人々と出会い、その重い口を開いてもらうことができました。さまざまな証言や資料提供をうけ、未来に平和を伝える資料としての戦争遺跡「登戸研究所」を保存しようという市民運動に発展します。そして2010年、研究所の跡地が残る明治大学の協力で、「明治大学平和教育登戸研究所資料館」として保存されることになったのです。
長い間、その存在ごと封印されていた「登戸研究所」では、いったい何をしていたのか、どのような研究がされていたのか―。
残された資料、働いていた人たちの証言をもとに、子どもにもわかりやすいイラストで戦争遺跡「登戸研究所」の歴史をたどります。
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本の一部を、イラスト画像を編集してご紹介します。
くだんの研究所の資料館に直接足を運んでいただくに越したことはないのですが、ぜひこの冊子を一度手に取ってみてください。私宛にメールをくださってもかまいません(当ブログの左帯にある「メッセージを送る」フォームを使うこともできます)。お手配いたします(=^・^=)
イラストを描いた画家の一人、なかのよしこ氏の作品展が、今月上旬に稲城市城山体験学習館で開かれていました。
2009年度の「ボローニャ国際絵本原画展」で入賞した作品群(↑外枠の下段 左から2番目)も展示されていました。
独特の視点による楽しいイラストが多いですが、風刺が嫌味なく込められている作品(外枠上段 右端)などもあります。
こちらはおまけ...
この記事でご案内しましたが、昨年の12月に「稲城 平和を語り継ぐ三世代の会」で主催したつどいに私が出展した地元の里山の写真パネルが、今年の初めから今月半ばまで、稲城市城山体験学習館の廊下に展示されていました。記念に載せておきます。左2枚のパネルの中央にあるイラストマップが、なかのよしこ氏によるものです。