2016年9月22日付東京新聞朝刊の「本音のコラム」欄に載った意見を紹介します。
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「露出の欲望」 竹田 茂夫 (法政大教授)
先月、欧州連合(EU)はアップル社の未払い分の税金、約1兆5千億円を徴収するようアイルランド政府に命じた。同社の巧妙な租税回避策への懲罰だが、法人税減税でグローバル企業を誘い込む国家戦略への警告でもある。
EUはすでにグーグルにも競争法違反の嫌疑を通告している。アマゾンやフェイスブックも同様の問題を抱える。いずれも株価時価総額で世界のトップ5位までに入る大企業だ。背景にはネットワーク効果で独占利潤を得ても、雇用にも成長にも税収にも貢献しない企業への反感の広がりがある。
だが、これは経済権力の氷山の一角にすぎない。これらの企業は事業で集めた膨大なデータを消費の誘導やニュースの選択や無断の社会実験(フェイスブックの例)に使うだけではない。ビッグデータは他企業や広告業界や税務当局や警察にまで流れる。われわれの発言や移動や買い物や読書傾向や思想までも分析・監視・操作の対象となる。
なぜ、このような事態を許しているのか。異色の法学者、B・ハーコート氏の近著『露出状態』(未訳)は、断片化した自分の情報をネットで露出して他人とつながりたいという欲望が根源にあるという。ネット上の無数の人びとの半ば無意識の一挙手一投足が経済権力を支えているのだ。
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(※段落のブロック分けと本文中の太字化は、ブログ管理人によります。)
実に示唆に富んだ指摘ですねぇ。権力者が秘密保護法を隠れ蓑に不都合な真実を隠すことができる一方、国民は、法律やネットによって、権力者に巧みに監視・操作されていくのですね。プライベートな出来事、自分の考えや主張をこのブログに大量に載せている私なんぞは、恰好の餌食…とても耳の痛い話です(^_^;
やはり、fact to faceの生身のつながりを大事にしないと自業自得に陥るということでしょうか。直接の人間関係が希薄になっていたり、しんどかったりするからこそ、ネットで補おうとしたり、ネットに逃げたりするのですものね。ネットでグローバルにつながるメリットを取るか…生身でローカルにつながるのでよしとするか…極端に走ることはないと思いますが、う~ん、頭がグルグル……(^_^;
まぁ、だからこそ、先週は「町田市立自由民権資料館」他を巡るワークショップに参加したり、元政府高官の講演会を含む市民協働のつどいに足を運んだりしたのですが…。無意識のうちに、現実の生活で第三者とつながろうとしていたのかもしれません。これらについては、後日きちんと記事にしたいと思っております。
って、また書いちゃったブログ管理人でした(^_^;
日本を守る…一人ではできませんが、一人一人が自覚して、自分のできることをしていけば、可能だと思っています。
非核を世界に訴える長崎の若者たちの合言葉を思い出しながら…「微力だけど無力じゃない」…。