「平和百人一首」とこのシリーズについての解説は、初回記事と2回目の記事をご参照ください。前回記事はこちらで見られます。
なお、かなづかいや句読点は原文のままとするので、読みづらい点はご了承ください。
平和百人一首
真清水の湧きてやまざるその如く この世も人も清くあらまし
青森県三戸郡五戸町 池野 暖鳥
終戦の年、唯一人の姉として作歌法などを教えてくれた福子さんが亡くなる時
「ああ、きれいな泉の水を、そつと手にすくつて飲んで見たい」
と述べたまま死んでしまつた。
そんな事があつてからいつでも清水とか泉とかてう言葉に福子さんを思い、清く尊い夢ばかりの人生であつたこのような人ばかり日本にあつたとしたら、どれほどよいだろうなどと考えている時、私はふとこんな歌が頭に浮かんだのです。
ただ自己の精神に湧きあがる泉の如き、静かな、平和な、尊いある何物かを一日の中一時間でも保てる人は、ほんとうに羨ましいし。又そうあらねばならないと思います。
(暖鳥)