【お断り】(2017.9.1追記)
この闘病記は12年前の闘病の記録です。
したがって、現在厚労省の定める乳がんの標準治療は、当時と一部異なっています。治療についての最新情報は、
「日本乳癌学会」や「国立がん研究センター」の乳がん情報など、信頼できる情報源を参考にすることをお奨めします。
お断り:この闘病記は2年前にさかのぼって記しております。現時点で進行しているのは、2005年7
月の段階での話です。 (現在は女性ホルモンを抑える治療を続けており、今のところ再発や転移の兆候はありません。ご安心ください。)
第6章 ホルモン療法
1.
時間が前後するが、3ヶ月ほどさかのぼり、ホルモン療法を始めた2005年4月に話を戻させていただく*。
既述のとおり、私は乳房を温存したので、再発や転移予防のために、術後補助療法として放射線療法とホルモン療法を並行して始めた。私の乳がん細胞は女性ホルモン受容体を持つ「ホルモン依存性の乳がん」で、女性ホルモンと一緒に増殖するタイプなので、ホルモン療法を採用し、化学療法をせずにすんだのだ。
ホルモン療法は化学療法より効き目はマイルドだが、その分副作用が少ないとされる。通常2~5年間行うのが有効といわれている。女性ホルモンを人為的に抑えるため、一般的に更年期障害の症状を中心に、治療法によっていろいろな副作用がある。
治療法には一般的に次の3つのタイプ*があり、効果や副作用にそれぞれ特徴がある。
A がんのエストロゲン(:卵胞ホルモン)受容体と結合し、エストロゲンとの結合をブロックする
抗エストロゲン剤(タモキシフェン 商品名「ノルバデックス」等)を内服する
5年間が有効とされる
副作用:子宮体癌のリスク・帯下が増える
B 視床下部から脳下垂体に直接働きかけ、エストロゲン自体の生成を抑える
抗エストロゲン剤(LH-RHアゴニスト製剤 商品名「ゾラデックス」等)を皮下注射する
2年間が有効とされる
副作用:更年期障害の症状全般・血栓症
C アロマターゼ(:閉経後男性ホルモン=アンドロゲンと結合してエストロゲンに変える酵素)の
分泌を抑えることで、エストロゲンの生成を抑える
アロマターゼ阻害剤(アナストロゾール 商品名「アリミデックス」等)を内服する
5年間が有効とされる(比較的新しい薬なので、使用期間については検証が進んでいる最中)
抗エストロゲン剤より再発抑制力が強いといわれる
副作用:骨粗しょう症・関節のこわばり
閉経の前後でエストロゲンの生成方法が異なるため、以上のような3種類の方法がある。閉経前ならA・Bのいずれか、閉経後ならA・Cのいずれかが選ばれるのが一般的だ。私のように、A・Bを併用する場合もあるようだ。
私の場合、病期は0~V期のうちのI、がんの核異型度(:総合的悪性度)はグレードI~IIIのうちのIと、乳がんとしては初期でかつ軽度の病状だったが、閉経前だったこととがんの種類が硬がん*であることを踏まえ、A・B2種類併用で始め、経過を見ることにした。
A タモキシフェン内服 10mg 2錠/日×5年間
B LH-RHアゴニスト製剤皮下注射 1回/月×2年間
* 過去記事 第5章 放射線治療 7.と第5章 放射線治療 13.を参照してください。
* 詳しくはVOL-NEXT ホルモン療法を参照してください。
* 過去記事 第5章 放射線療法 15.を参照してください。