
マルさんという名の70代のばあちゃんがいた。
今から15年前に、
車を運転中に男性を跳ねた!
マルさんは驚きのあまり携帯出して、
震え声で息子に電話した。
「人を跳ねました」、と。
息子は苦しそうに、
「跳ねられたのは俺や」と答えた。
それで、
マルさんが車から降りると、
自分の息子が横たわって睨み付けていた。
マルさんは、
車を運転することをやめた。
あれから15年。
息子はたまには運転したらと気を使うが、
どういう訳か、
運転したくなかった。
けど、
高齢で、
運転免許証の返上が叫ばれている昨今、
マルさんは、
最後の運転ということで、
同じ歳のセツコ(2021年4月3日記事「それでも人生は続く」参照)というばあちゃんを誘った。
マルさんはセツコと二人で車庫に行った。
マルさんは元気よく、
「運転するわね」と言って、
後部座席に入り、
腕を宙に浮かせて、
あたりをキョロキョロした。
セツコが、
「あんた。そこ後ろよ」と声を掛けると、
マルさんは軽く笑って、
「久しぶりだから」と言い訳して、
運転席に座り直した。
セツコは、
「久しぶりとかの問題じゃないのよ!あんた!」と叱った。
車は、
10kmの速度で走った。
そのまま湊に行き、
車を駐車して、
二人は昼寝した。
が、
駐車したところは、
自動車運搬船やった。
やから、
二人が眠りこけている間に、
船出した。
三時間も昼寝した二人が起きると、
両サイドが大海原やったので、
驚きのあまり白眼剥いて、
「オーテイ😵❗️オーテイ😵❗️」と喘ぎ叫んだ!
すぐに、
運搬船の関係者が気付いて、
目的地に着き次第、
二人の家族に連絡してくれた。
マルさんは喜んで、
この運搬船関係者に、
「お礼にあなたを私の息子にします」と言った。