ケイシロウとトークアバウト

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

踊る青春

2024-01-03 21:24:00 | 日記




鹿児島県にコクブという名の家族がいた。
そこは、
祭り職人のサカキと妻のハルミに、
一人息子のオンドという三人構成やった。
小学生時代のオンドは、
学校以外、
明けても暮れても、
裏庭で、
浴衣着て、
うちわを手に持ち、
『おはら節』を踊らされていた。
ラジカセ大音量に流れる『おはら節』に合わせて、
オンドは必死に踊った。
ときおり、
外でリフティングしているクラスメートたちを横目で追うが、
すぐに父のサカキが、
「こら❗️よそ見するな❗️踊れ❗️ひたすら踊れ❗️❗️」と怒鳴りつけた!
オンドは『おはら節』のリズム🎵に集中した。
そんなオンドを、
クラスメートたちは気の毒に見つめた。
夕方になると、
母のハルミがサカキに、
「オンドにご飯食べさせたい」と言ったが、
サカキは、
「まだや❗️完璧に踊るまで、飯抜きや❗️」と凄んだ!
こうして、
オンドの『おはら節』しごきは、
夜中まで続いた(児童虐待にならんやろか🤔)。

四年の月日が流れた。

サカキはこの年に、
他界した。
ハルミは、
オンドの高校受験の手続きを、
自分の故郷の埼玉の私立高校で行うことにした。
埼玉の姉の家にしばらく厄介にならないことには、
生活が、
成り立たんからやった。
この年の鹿児島県の最後の盆踊りを、
オンドは、
亡き父の為に、
一生懸命に踊った。

翌年。

埼玉の私立高校に合格したオンドは、
そこが、
保守系キリスト教のメソジスト教派系の学校であり、
聖書と祈り🙏を重んじる校則にあることを知った。
けど、
西洋的な雰囲気は自由さを感じさせられ、
生徒たちも垢抜けていた。
オンドは、
鹿児島県にない、
この自由さを気に入った。

この学校の目玉はダンスで、
いろいろな大会で優勝🏆していた。
体育館に入ると、
リズミカルなダンスがあちこちでなされ、
そのほとんどが、
EXILEを模したような感もあった。

ダンス部の顧問がオンドのそばに来て、
「ダンスに興味があるんだね😃❓ナニを踊りたい?」と尋ねたので、
オンドは、
「おはら節です」と言った。
顧問の顔から血の気が引いた。
同時にダンス部のリーダーが来て、
「キミそれ盆踊りだろ❓盆踊りって仏教だよな❓異教だろ❓」と言って来たので、
オンドは怒って、
「異教だなんて卑怯です!盆踊りがダンスと違うだけで宗教を持ち込むんですか?」と言い返した。
リーダーは、
「僕はね、この学校にいる限りは、メソジストに染まってたらどうかと言ってるだけだよ」と言い訳したが、
オンドの怒り💢は収まらず、
「ぼくは、おはら節を踊ります❗️」と語調を強めた。

それで、
体育館では、
あらゆるダンスがされてる中で、
隅の方に、
オンドがラジカセで『おはら節』を流して、
浴衣姿で踊っていた。

校長は、
このオンドの行為を快く思わず、
学校内での盆踊りを禁止した。
やけど、
オンドは、
学校の裏山で、
『おはら節』を踊り続けた。

オンドが世話になってるハルミの姉に当たる伯母さんからは、
「盆踊りは困るわ。友達からサタンの踊りだと言われてるのよ」と苦情を言われ、
オンドの従兄弟のヒデオは、
「追い出したいよね!こいつら」と嫌味を言われ、
オンドの幼稚園児の従姉妹からは、
「追い出したりしたら愛が無いって言われるわ。猫いらずをわからないように食わせて供養するのよ」と戦慄を呟かれた😱

けど、
めげずに踊るオンドの姿に、
興味本位に集まった生徒たちは、
自分たちも『おはら節』にハマり、
この流れを受けて、
学校側は盆踊りを公認した。

そこで、
学校と町の協力で、
裏山に、
盆踊り用のやぐら(櫓)を作ることになった。
そして、
学校生徒はみんな盆踊りがしたいと興奮した。

やぐら(櫓)が完成した。
オンドは浴衣に着替えてうちわを持って、
生徒たちのところに来た。
そして言った、
「お前ら、盆踊りできるよ!」、と。
が、
生徒たちは冷ややかに、
「お前、盆踊りって、今は1月だぜ」と拒絶された。

オンドは、
浴衣姿のまま、
北風に震えながら、
作られたばかりのやぐら(櫓)を見て、
「あと半年すれば新盆や。それまで、ひとりで踊るか」と言って、
ラジカセで『おはら節』を流して、
寒い🥶北風に負けることなく、
踊り続けた!