![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/2a/215cc9399a61a456125fd9e134cee646.jpg?1705750617)
あるトラック会社の車庫前に、
黒いベールで顔を覆った、
ロングスカートの人物が、
毎日のように、
そこに立つという。
理由は、
長距離ドライバーの一人息子が帰って来るのを心待ちににしているからやという。
が、
多くの者は、
この姿に、
悲しみの色が隠されていることを知っていて、
口をつぐむ。
数年前のこと。
EC(ネットショップ)配送が主流になった配送業にあって、
長距離ドライバーの立場は過酷さを極めた😩
しかも、
ただ運ぶだけではなく、
入荷した商品を、
棚入れと棚卸しに流通加工までさせられて、
挙げ句、
期日配送順守を第一、
ドライバーの健康第二の流れを掲げる業界の、
ダークネスな感覚にみんなが震え上がるのは当然のことやった。
ここに、
20代の長距離ドライバーのタクマという青年が、
過酷さの極(きわ)の連続の中にあっても、
明るく働いた。
理由は、
母子家庭で自分を育て上げた母親への仕送りをすることで、
親孝行が出来る喜びに生きていたからやった。
長距離ドライバーは、
時間厳守が当たり前。
やから睡眠時にあっても、
寝過ごしたらという恐怖🫨の為に熟睡😴出来ない。
当然、
トイレ休憩も満足に出来るはずはなかった。
やから、
タクマの運転席は、
おまる兼用となっている。
人から「この臭いは❓」と問われると、
タクマは「カニ🦀を運んでいます」と答えた。
おまけに、
どんな理由であれ、
商品の中身どころか外装まで傷つければ、
弁償😨
トラックをぶつけて車に傷をつけても、
弁償😨
タクマもいろいろ失敗した😞
けど、
我慢して母親に仕送りした。
ある日、
そんなタクマに感動した会社側が、
タクマに数日の有給休暇を与えた。
しかもトラックで帰っていいという好意まで添えてあげた。
タクマは喜んで、
母親のいる実家に帰ることを選んだが、
実家は宮崎県やった。
タクマのいる会社が埼玉県なので、
高速道路で帰ればええのに、
タクマは節約の為、
普通の道路を選んだ。
ドライバーの給与が減らされてる時期やったことが大きかったという。
けどタクマはめげずに、
普通道路を走った。
途中で、
パンクして困っている同業者を助けたり、
財布を落としたご婦人のお探しを一緒にしたり、
イノシシに追いかけられてるオヤジを助けたり、
飼い犬を邪険にしたので手を噛まれたジジイを病院に送ったりした。
トラックをただで貸してもらっているとはいえ、
人が良すぎたタクマは、
有給休暇の半分を使ってしまった。
故郷の宮崎では、
同業者の車庫前で母親が待っていた。
タクマはトラック🚚を停車させて、
母親に、
「母さん!有給休暇がもうないんだ!今から埼玉に帰らないといけないけど、また帰って来るね!」と言うと、
母親は、
「お前の人助けで多くの者達は喜んでるよ。今度はこの休暇をくださった会社に恩返しをするんだ」と言い聞かせた。
タクマは頷き、
トラック🚚を埼玉県まで走らせた。
母親は、
タクマのトラック🚚を視界から消えても見送り続けたという。
この有給休暇の数ヶ月後、
タクマのトラック🚚はタンクローリーと衝突💥
大炎上事故と化した。
会社側は、
タクマの母親に息子の事故を知らせ、
遺体さえない凄惨業火なあり様(表現がミョーやったか🤔)を伝えた。
母親は心労から病気となり、
この出来事の二週間後に他界した。
こうして数年が経った。
事故で凄惨業火に命を散らせたドライバーはタンクローリーの方やった。
タクマは大火傷を負いつつも、
命は助かっていた。
会社側の伝達ミスやった。
この悲しげな出来事の後、
タクマは、
黒いベールで顔を覆い、
ロングスカートを履いて、
トラック会社の車庫前に、
一日中立ち尽くすことをはじめた。
同業者は哀れに思いながらも、
タクマには声を掛けなかった。
理由は、
声のひとつでも掛ければ、
タクマは猫なで声で、
「ねえ😍寄ってかない😍😍」と誘惑するからやった。
現在のタクマは、
心が母親化してるからやという。
(知らんけど🤔🤔🤔)