チューちゃんがお空に帰ってしまった。
先週の木曜の夜、いつもは私のベッドで寝るチューちゃんが、なぜか母のベッドで寝た。チューちゃんは冬の昼間はいつも日当たりのいい母の部屋にいる。もうかなり弱っていたので、動くのが億劫だったのかもしれない。
夜中に水音がしたので、起きてみたら、母が洗面所にいた。チューちゃんがベッドの上に吐いたそうだ。
「そんなこともあろうかと、ベッドカバーしておいたからセーフ」
「お母さん、ナイス」
その後チューちゃんは私のベッドの上に移動し、また吐いた。そのあと、
「ごめん、もうダメだわ」
とでもいうように、チューちゃんが静かに過ごせるようにと母が準備した、おこもり用のダンボール箱に自分から入って行った。
その後、チューちゃんはほとんどそこで過ごした。
私は、皮下点滴も無理やり口に餌を突っ込むのもやめた。
それでもチューちゃんは、何度も何度も吐きながら、一週間頑張った。
「もういいよ、ママ、大丈夫だから、先に行ってていいよ」
と何度も言った。
肉体に私が投影している恐怖を赦してほしいと、何度も聖霊に訴えた。
そして昨日、チューちゃんは突然ダンボールを抜け出して、トイレに行った。そこで行き倒れた。抱きかかえて連れ戻したけどほとんど意識がなかった。でも撫でると、
「くぅ……」
と、子猫みたいな声で鳴いた。
そしてもう一度、トイレに行って、また行き倒れた。少し待ってからまた連れ戻しに行った。今度はもう、鳴かなくなった。
ペットボトルにお湯を入れて湯たんぽがわりにした。フリースの下にホッカイロを入れた。もうそれくらいしかしてあげられることがないのが辛い。
それでも夜を越して、朝はまだ息をしていた。母とぽんぽんと朝ごはんを食べて、その後様子を見に行ったら、もう息をしていなかった。
「お母さん、チューちゃん死んじゃったよ」
「あらまあ。ずいぶん頑張ったね」
母の声もホッとしていた。
泣かないかと思ったけど、チューちゃんを撫でてたら、やっぱりボロボロ涙がこぼれてきた。大人しくて、優しくて、本当に手のかからない猫だった。こんなことならもっと、鰹節でもチュールでも猫懐石でも煮干しでも、好きなものを食べさせてあげたかった。お外にも出してあげたかった。
しばらくして、家の空気が変わったことに気づいた。
無機質になった。
これは、ちょっと堪えるな、と思った。
こんな、桜が満開の綺麗な春の日に、いなくなっちゃうなんて。
先週の木曜の夜、いつもは私のベッドで寝るチューちゃんが、なぜか母のベッドで寝た。チューちゃんは冬の昼間はいつも日当たりのいい母の部屋にいる。もうかなり弱っていたので、動くのが億劫だったのかもしれない。
夜中に水音がしたので、起きてみたら、母が洗面所にいた。チューちゃんがベッドの上に吐いたそうだ。
「そんなこともあろうかと、ベッドカバーしておいたからセーフ」
「お母さん、ナイス」
その後チューちゃんは私のベッドの上に移動し、また吐いた。そのあと、
「ごめん、もうダメだわ」
とでもいうように、チューちゃんが静かに過ごせるようにと母が準備した、おこもり用のダンボール箱に自分から入って行った。
その後、チューちゃんはほとんどそこで過ごした。
私は、皮下点滴も無理やり口に餌を突っ込むのもやめた。
それでもチューちゃんは、何度も何度も吐きながら、一週間頑張った。
「もういいよ、ママ、大丈夫だから、先に行ってていいよ」
と何度も言った。
肉体に私が投影している恐怖を赦してほしいと、何度も聖霊に訴えた。
そして昨日、チューちゃんは突然ダンボールを抜け出して、トイレに行った。そこで行き倒れた。抱きかかえて連れ戻したけどほとんど意識がなかった。でも撫でると、
「くぅ……」
と、子猫みたいな声で鳴いた。
そしてもう一度、トイレに行って、また行き倒れた。少し待ってからまた連れ戻しに行った。今度はもう、鳴かなくなった。
ペットボトルにお湯を入れて湯たんぽがわりにした。フリースの下にホッカイロを入れた。もうそれくらいしかしてあげられることがないのが辛い。
それでも夜を越して、朝はまだ息をしていた。母とぽんぽんと朝ごはんを食べて、その後様子を見に行ったら、もう息をしていなかった。
「お母さん、チューちゃん死んじゃったよ」
「あらまあ。ずいぶん頑張ったね」
母の声もホッとしていた。
泣かないかと思ったけど、チューちゃんを撫でてたら、やっぱりボロボロ涙がこぼれてきた。大人しくて、優しくて、本当に手のかからない猫だった。こんなことならもっと、鰹節でもチュールでも猫懐石でも煮干しでも、好きなものを食べさせてあげたかった。お外にも出してあげたかった。
しばらくして、家の空気が変わったことに気づいた。
無機質になった。
これは、ちょっと堪えるな、と思った。
こんな、桜が満開の綺麗な春の日に、いなくなっちゃうなんて。