紅葉情報で中断していました京町屋再開します
京都の町屋、北区第2回です。
京都市北区は1955年(昭和30年) 9月1日 上京区から分区して誕生した区です。
農家、上賀茂神社社家、住宅地、一部西陣産業が多いところです。
青木家住宅(旧本尊美家住宅)
登録有形文化財
昭和前/1933 木造2階建、瓦葺一部銅板葺、建築面積192㎡
北区上賀茂
上賀茂の住宅地に西面して建っています。木造二階建、入母屋造桟瓦葺で、正面に唐破風玄関を構えています。
上下階とも南庭を囲むように南東面に座敷と縁を配し、玄関周りや擬宝珠付階段に社寺建築の意匠を引用しています。
ヒノキの良材をふんだんに使い、施工も良質な近代和風住宅です。
西川家住宅
登録有形文化財
北区衣笠
昭和前/1933 木造2階建、瓦葺、建築面積153㎡
金閣寺の南方に位置します。木造2階建で,外観は水平線を強調した深い軒や丸窓などモダニズムの意匠でまとめています。
内部は基本的に上質で瀟洒なつくりの和室で構成されるが,洋風の応接室や階段室等にはモダニズムが反映されています。
昭和初期の郊外住宅の好事例です。
金閣寺の近くに建つ木造2階建ての住宅。外観は,水平線を強調した深い軒や丸窓 など,モダニズムのデザインである。室内は和室と洋室がバランスよく配置されており,現代の生活にも適している。
認定理由
蓄音機販売業を営む清水鹿之助の別邸として建築された。増岡建築事務所の設計,熊倉工務店の施工により昭和8年(1933)に竣工している。増岡建築事務所は旧任天堂社屋などを手がけている。また,熊倉工務店は,京都を中心に洋風住宅を多数手掛けたことで知られる。
建物は木造2階建,桟瓦葺。玄関ホールの左手(南側)に洋風応接室を設ける。奥には中廊下がのび,南側を座敷,次の間とし,北側には食事室,台所,風呂などの内向き空間が配されている。2階には洋風の書斎,サンルーム,茶室の他,和室2室などが設けられている。玄関から応接室までの通りから望むことのできる外観を洋風とし,スタッコ仕上げの外壁,ステンドグラス,アーチ窓などで飾る。一方,庭に面する座敷・次の間部分より裏手を真壁造りの和風外観とする。この他,鉄筋コンクリート造の蔵,子供室棟が現存している。
金閣寺界わいは,昭和初期においては富裕層の別邸が建てられた地域であり,西川家もその一事例として注目される。茶室を備えた中廊下式平面の和風空間に洋風応接空間を加えた質の高い近代住宅として高く評価される。
岩佐家
京都市指定有形文化財
北区上賀茂
岩佐家は上賀茂神社に仕えていた社家で,主屋・土蔵・表門・土塀が残り,庭園が配されています。
主屋は天明5年(1785)にはほぼ現在の間取りとなっています。
鳥居形の玄関や供待ち,束と貫で飾る妻面の外観などに社家住宅の特色が見られます。
土蔵は宝暦14年(1764)の建築。
枝垂れ桜がきれいです。
瑞雲庵
北区上賀茂
公益財団法人西枝財団がギャラリーとして貸し出しています。
旧藤ノ森湯
登録有形文化財
北区紫野
船岡温泉の東方,鞍馬口通に面して建っています。
脱衣場,浴場・釜場からなり,脱衣場棟2階に和室を設けています。木造ながら浴場左右と釜場境の壁は木骨煉瓦造。
正面出入口に唐破風を付け,内外を装飾タイル張とするなど,随所に意匠を凝らしています。
現在飲食店等に転用しています。
造園業を営んでいた大野松之助が大正12年(1923)に料理旅館「船岡楼」・浴場「特殊船岡温泉」,理髪店を創業したことに始まる。船岡温泉の建築は,当初船岡楼の附属浴場であったが,戦後,旅館廃業に伴い,銭湯となった。船岡温泉の脱衣場は木造2階建,桟瓦葺で,棟札から大工・佐々木長次郎の施工と判明する。当初,背面に 煉瓦造平屋建の浴場・釜場が建築されたが,昭和7年(1932)に鉄筋コンクリート造の浴場棟に改築された。外観には唐破風が付くが,これは建築申請資料から,昭和3年に増築されたものと分かる。脱衣室の四周には,賀茂競馬,今宮祭などの祭礼,また中央の仕切り壁には上海事変(昭和7年)の「肉弾三勇士」を題材とした彫刻欄間が嵌められている。また,脱衣場や浴場棟への通路にはマジョリカタイルが張られている。脱衣場の西側には,木造2階建,桟瓦葺の旧船岡楼が建ち,2階には12畳間3室が連ねて大広間となる空間が残る。特徴的な銭湯建築としてのみではなく,大浴場を備えた大正期の料理旅館や理髪店の建物が一式で現存している点で重要である。
船岡温泉旧船岡楼
登録有形文化財
北区紫野
大正/1923頃/1930改造 木造2階建、瓦葺、建築面積194㎡
脱衣場,浴場の西方に隣接して建つ。木造,2階建で,玄関部,主棟,北棟からなっています。
客室床・棚回りや欄間,縁高欄等に瀟洒な意匠を凝らし旅館建築らしい佇まいです。
衣笠会館
登録有形文化財
北区北野
明治/1905頃 煉瓦造2階建、瓦葺、建築面積138㎡
北区南部,西大路通から西側に入った敷地に建つ。桁行13m,梁間9.3mの煉瓦造2階建で,イギリス積とする。胴蛇腹とデンティル付軒蛇腹を四周にあしらい,縦長窓上部の欠円アーチ形を建具等にも用いるなど,統一性のあるデザインです。
京町屋外観の特徴
屋根
一階庇の最前列は一文字瓦で葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
格子は戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
店の間の外観
軒下に水引暖簾、大戸に印暖簾を掛けます。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。
各種建造物指定の説明
国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。
景観重要建造物
平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。
歴史的意匠建造物
歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。
歴史的風致形成建造物
平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。