東京都指定障害福祉サービス事業者LLCてくてくゆかりのブログ

東京都指定障害福祉事業者LLCてくてくのスタッフや周辺の人々が週変わりで語るブログです。

人の役に立つ仕事?

2021年03月23日 | てくてくでお仕事したい方へ

私が賃労働として介護、介助に関わってから20年程が経ちます。

(と、数年話しているからもう少し長いのかもしれない)

10時間前後のロング介助時代から、月に1〜2日の短い介助をしていた頃までいろいろな時期があるのですが、

人生の大部分、介助に関わってきました。

その間たった一度も考えたことのないことがあります。

それは、介護、介助を「人の役に立つ仕事だからしたい」という考えです。

 

「人の役に立ちたいと思って、この仕事を選びました」

と、この仕事をしているととてもよく耳にします。

人から「介護の仕事なんて偉いわね」と言われたことも何度もあります。

 

でも、「人の役に立つ仕事」って何でしょう?

コンビニの店員さん、スーパーの品出しのお仕事、運転手さん、清掃員さん、

工場で家電の部品を点検するお仕事、ネットショップの梱包のお仕事、配送員さん、

メンテナンスのお仕事、ごみ収集のお仕事、建物の解体作業員さん、、、

どのお仕事も、無くては困る、人の役に立つお仕事ばかりです。

これらの仕事とどう違うのでしょう?

 

よく言われる「人の役に立つ仕事」って、一般的に「ケア労働」をさしますよね。

そして今現在ケア労働は、人手不足、低賃金、キツいなどの状況やイメージが、

変えられない普遍的なものようにされてしまっている。

労働環境は良くないけど、人からありがたがられやすく、「自分は人の役に立っているのだ」と自負しやすく、

やりがいを感じやすい仕事、ということにされてしまっているのかなと考えます…。

 

日本自立生活センターで働いていた頃、先日亡くなられた矢吹さんがよくおっしゃっていました。

「俺たちはただ寝て、起きて、食って、用を足して、

ただ暮らしているだけなのに、そこにやりがいを感じられてもなぁ」

 

一般的に「やりがい」と表現されるようなことって、働く人にとっては大事なことだと思います。

仕事が楽しかったり達成感を感じると、モチベーションが上がりますし。

 

だけど、働く人にとってに「やりがいのある現場」は、

介助、介護が必要な人にとってはごくごくプライベートな個人の居室なのです。

その人は「やりがい」のためにそこにいるのではなくて、

ぼーっとする時も、まぬけな瞬間も、ダウナーな時間もある、ただ生活の流れがあるだけ。

そこに自分がどういて、どう手伝えるのか、

それを考えて行うのが、私にとっての介護、介助の仕事の面白いところ。

私は、人が生きていくのに必要だから、この仕事をしています。

 

誰もが世話されて育ち、世話になって老いる。

助けられたつもりが助けている。助けたつもりが助けられている。

 

市川

 

 

 


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