春ハツヒから七日目、ユミハリを祭ります。
満月に向かい、春の陽を享けて、地面から野草アオナがいっせいに顔を出します。
冬の間に滞ったからだに「ハル」の最初の生命エネルギーを取り込みます。
弓張を祭り、目に見えない災いや病を防ぐため、「七草」を食し払い整えます。
志摩浜島からの初日の出 photo by Y.Eさん♡
ごけふ・はこべら・いたひらこ・すずな・すずしろ・すせり・なづ
春の七草は薬草としての効能たっぷりです。
フレッシュな青菜は当時ほんとうに待ち望んだものだったでしょう!
・ゴギョウ・ハハコグサ:咳止め・利尿効果
・ハコベラ:利尿・止血・鎮痛、ビタミンB・Cなど栄養豊富
・イタヒラコ・ホトケノザ:整腸作用・高血圧予防
・スズナ・カブ:
便秘・胃炎・風邪予防、根と葉に栄養ビタミンA・B・C・カルシウム・鉄・食物繊維
・スズシロ・大根:
消化不良・二日酔・鎮痛・解熱・冷え性。根と葉に栄養、ビタミンA・C、食物繊維・ギアスターゼ等
・スセリ・セリ:
高血圧・動脈硬化抑制・整腸効果、ビタミンA・C・カルシウム・リン・カリウムなど
・ナズ・ナヅ・ペンペン草:
高血圧・解熱・便秘・利尿・止血作用。ビタミンKが豊富、骨粗鬆症改善効果にも期待
しむのふしゑは
たるむつみ ゆみはりまつる
みそのなは ぬゑあしもちか
かさくさお こげふはこべら
ゐたひらこ すずなすずしろ
すせりなつ このななくさに
のぞくなり トシウチニナスコトのアヤ
シム(生命維持の働き)の節目、イノチ(生命)を養う行事。
意識や感情、欲など、目に見えない心の動きは「タマ・シヰ」の働きです。
「タマ」には、「ココロハ」「タマ」「ミヤヒ」の三つがあり、
良心、真心、楽しむ心、情け、憐れなどのアモトに通じるココロです。
「シヰ」は、肉体の生命維持に関わる働きで、「シヰ」「シム」の二つ、
食欲、眠気、性欲や何かが欲しいというココロです。
「タマ」はアモトから降され、地上の「シヰ」と「タマノヲ」で結ばれます。
「タマ・シヰ」の見えない心の五つの働きを「ヰクラ」といい、
内臓の六つの働き「ムワタ」と密接につながっていると考えられていました。
※後の時代、、
「五臓」(肺・心臓・肝臓・脾臓・腎臓)、
「六腑」(大腸・小腸・胆のう・胃・膀胱・三焦)と表されますが、
ヤマトコトハの「ヰクラ・ムワタ」とは概念が異なります。
タマに関連する人の内臓:フクシ・ナカゴ・キモ
「ココロハ」:宇宙の大元とつながろうとする心・真心:フクシ(肺・大腸)
「タマ」:この世を楽しもうとする心:ナカゴ(心臓・小腸)
「ミヤヒ」:記憶・情け・あわれむ心:キモ(肝臓・胆のう)
シヰに関連する人の内臓:ヨコシ・ムラト・ワタ
「シヰ」ネ・根:何かが欲しいという心・食欲など:ヨコシ(脾臓・胃) ・ワタ(三焦)
「シム」ハ・葉:性欲・強い物欲など:ムラト(腎臓・膀胱)
ときにつきすみ
おゝくまど ひつめアオコマ
たてまつる カミおもしろく
おほすれば クマトにたまふ
みあえには ヌヱアシモチが
がさくさも ごげうはこべな
いたひらこ すゝなすゝしろ
すせりなつ このなゝくさに
のぞくなり ホツマツタヱ十九アヤより
ときに、ツキスミ(九州・西の月の住い処)のオオクマド(アメクマ)が、
ヒツメ・アオコマ(馬・詳細未詳、、)を曳き歩んで参りました。
献上されたアオコマ(馬)に大変興味を示されたアマテルカミは、
オオクマドに薬草粥を賜うことになさいました。
ホツマツタヱ十九アヤの一説です。
今に伝わる春の七草は、アマテルカミのおもてなし薬草レシピそのものでした!
『宇治山田市史』宇治山田市役所編の年中行事より、
神宮諸祭典、宮中神事、民間行事の正月の行事をご紹介します。
「宮中神事」
◎新菜御饌神事【正月七日卯の刻】
神宮一同参列し、若菜の御強汁・神酒・御贄を神前に奉る神事。
内宮は本殿、外宮は御饌殿にて奉仕した。
この日、若菜を食うことは漢土から起こって我が国にも行われるに至ったものである。
「民間行事」
◎六日年越【正月六日】
正月六日の夜に「セリ・ナズナ・ハコベラ・スズナ・スズシロ・ホトケノザ・ゴギヤウ」の七種を一束にして、白木の折敷きに入れ、之を水桶の上に載せたまな板の上に据え、左右に火箸・摺粉木・杓子・杉箸・包丁などを載せて、台所の内で恵方に当る方に据え置き、七草を湯煮してまた折敷きに入れ、杓子を以て幾度も之を打ち叩く間、
芹なづな、五行はこべら仏の座、
これも七草、唐土の鶏と日本の鶏と渡らぬ先に、
きやきやしてほとと、きやきやしてほとと
と三度謡い、一度毎に箸にて七草を打ち返す。
之は年男の役で、年男のいない家では主人が勤めた。
翌朝この七草を細かく切って粥に入れ、神に供え、家内も食する。
◎七日正月【正月七日】
七日正月と称し、朝には七草の粥に、粥柱とて角切餅を入れ、
神棚・門神・歳徳神・廻り神・井戸神へお供えをする。