メキシコのサルビアとプラントハンターの物語 No27
メキシコはさすがにサルビアの宝庫だ。4-5mにも育つサルビアがあった。隠しようもないほどの巨木だが、1700年代後半に発見されてからプリングルが1902年に採取するまで100年間もの採取記録の空白があった。
20. Salvia prunelloides Kunth (1818) サルビア・プルネロイデス

(出典)morning sun herb farm
サルビア・プルネロイデスは、草丈が30cm程度の低いサルビアで、地下茎で広がる。開花期は夏からで小さなブルーの口唇型の花が咲く。下唇に当るところには白いマーカーが入る。
No15:パーマーが採取したサルビアに記載したSalvia forreriと間違えられるほど良く似ている。
このサルビアの最初の発見・採取者は、フンボルト探検隊のボンプラン(Bonpland, Aimé Jacques Alexandre 1773-1858)で、プリングルは、1892年9月21日にメヒコ州で採取した。
21. Salvia pubescens Benth. (1835). サルビア・パベセンス

(出典) flickr
サルビア・パベセンスは、3メートルまで生長する大型のサルビアで、大きな真っ赤な花が咲く。最初の発見者は、その生い立ちが良くわからないアンドリュー(Andrieux, G. 活躍した時期1833)で、プリングルは、1906年10月8日にメキシコ、ゲレーロ州の3000mの山中でこのサルビアを採取した。
公園などの植栽として使ってみたいサルビアだ。
22. Salvia recurva Benth. (1848). サルビア・レクルバ

(出典)Robin’s Salvias
何と美しいサルビアだろう。枝は木質化し樹高2mを超える比較的大型のサルビアだ。しかし育てるのは難しそうだ。というのは、難しい環境に自生しているからだ。
サルビア・レクルバは、中央メキシコ・グアテマラで、一年中温かく湿度が高い3000mもある山の北の斜面にしか生育しないというので、温室で気温・湿度・日光をコントロールしなければならない。
最初の発見・採取は、1843年にJurgensen,C. という者がメキシコで採取している。
プリングルは、1904年8月22日にイダルゴ州で採取している。
23. Salvia semiatrata Zucc. (1830). サルビア・セミアトラータ

(出典)モノトーンでのときめき
渋い赤紫の萼に包まれたbicolored(二色の)ブルーの花、ハート型のつや消しされた中での輝く緑色の葉が美しいサルビアで、気に入った一品でもある。
しかし、夏の猛暑で枯れてしまい、あわてて枯れ枝を切ることで根だけは何とか生き残らせることが出来た。
このサルビア・セミアトラータは、誰が最初に採取したかわからない。命名したのは、ドイツの植物学者でミューヘン大学教授ツッカリーニ(Zuccarini, Joseph Gerhard 1797-1848)で、シーボルトの日本植物の分類などで『日本植物誌(Flora Japonica)』を共著したことで知られているが、メキシコの植物をも研究していた。
ツッカリーニは、誰が採取したメキシコの植物標本を研究したのだろうか疑問が生じた。考えられるのは、フンボルト探検隊の植物標本ではないかと思うがその証拠は見つかっていない。
一方、プリングルは、1894年8月2日オアハカ州の2000mのところで採取した。
24. Salvia sessei Benth. (1833). サルビア・セッセイ

(出典) flickr
サルビアはすごい。これまでは1-2mぐらいの小さな潅木が多かったが、サルビア・セッセイは、4-5mの大きな潅木で、ライム色の葉、うすい赤色の大きな花が素晴らしい。サルビア・レグラ(Salvia regla)に似ているが、レグラは直立の2mの潅木なので、それよりも大きなサルビアだ。
メキシコ中央部の高度2100mまでの松林や森林の端に生息し、最初の発見・採取者は良くわからない。
「The New Book of Salvias」の著者Clebsch, Betsyは、1787年からのスペインのセッセ(Sessé y Lacasta, Martín 1751-1808)探検隊が採取したと書いている。
そうかもしれないなとは思いながらも、命名者である英国の植物学者ベンサム(Bentham, George 1800-1884)は、どこでメキシコの植物標本を手に入れたのだろうかなと疑問に思ったが、ベンサムは、パリでドゥ・カンドール(de Candolle, Augustin Pyramus 1778-1841)のコピーを手に入れ、これに感動し植物学に邁進するようになったという。ベンサムが、採取者セッセに奉げたサルビアなのだろう。
その後、キュー植物園に席を置いたベンサムは、キュー植物園の組織力を生かして集めた英国の植民地の植物相の研究を行ったので、彼が命名した植物は数多い。
プリングルは、1902年にモレーロス州クエルナバカの450mのところでこのサルビアを採取している。
25. Salvia setulosa Fernald (1901). サルビア・セツロサ

(出典) senteurs du quercy
このサルビアは、プリングルが最初の発見者で、1900年9月1日にモレーロス州クエルナバカの2400mのところで採取した。
60㎝程度の草丈で耐寒性が弱く短い花序を伸ばしブルーの花を咲かせる。似たサルビアが多く、独立した品種なのか議論が起きる可能性がある。
(続く)
メキシコはさすがにサルビアの宝庫だ。4-5mにも育つサルビアがあった。隠しようもないほどの巨木だが、1700年代後半に発見されてからプリングルが1902年に採取するまで100年間もの採取記録の空白があった。
20. Salvia prunelloides Kunth (1818) サルビア・プルネロイデス

(出典)morning sun herb farm
サルビア・プルネロイデスは、草丈が30cm程度の低いサルビアで、地下茎で広がる。開花期は夏からで小さなブルーの口唇型の花が咲く。下唇に当るところには白いマーカーが入る。
No15:パーマーが採取したサルビアに記載したSalvia forreriと間違えられるほど良く似ている。
このサルビアの最初の発見・採取者は、フンボルト探検隊のボンプラン(Bonpland, Aimé Jacques Alexandre 1773-1858)で、プリングルは、1892年9月21日にメヒコ州で採取した。
21. Salvia pubescens Benth. (1835). サルビア・パベセンス

(出典) flickr
サルビア・パベセンスは、3メートルまで生長する大型のサルビアで、大きな真っ赤な花が咲く。最初の発見者は、その生い立ちが良くわからないアンドリュー(Andrieux, G. 活躍した時期1833)で、プリングルは、1906年10月8日にメキシコ、ゲレーロ州の3000mの山中でこのサルビアを採取した。
公園などの植栽として使ってみたいサルビアだ。
22. Salvia recurva Benth. (1848). サルビア・レクルバ

(出典)Robin’s Salvias
何と美しいサルビアだろう。枝は木質化し樹高2mを超える比較的大型のサルビアだ。しかし育てるのは難しそうだ。というのは、難しい環境に自生しているからだ。
サルビア・レクルバは、中央メキシコ・グアテマラで、一年中温かく湿度が高い3000mもある山の北の斜面にしか生育しないというので、温室で気温・湿度・日光をコントロールしなければならない。
最初の発見・採取は、1843年にJurgensen,C. という者がメキシコで採取している。
プリングルは、1904年8月22日にイダルゴ州で採取している。
23. Salvia semiatrata Zucc. (1830). サルビア・セミアトラータ

(出典)モノトーンでのときめき
渋い赤紫の萼に包まれたbicolored(二色の)ブルーの花、ハート型のつや消しされた中での輝く緑色の葉が美しいサルビアで、気に入った一品でもある。
しかし、夏の猛暑で枯れてしまい、あわてて枯れ枝を切ることで根だけは何とか生き残らせることが出来た。
このサルビア・セミアトラータは、誰が最初に採取したかわからない。命名したのは、ドイツの植物学者でミューヘン大学教授ツッカリーニ(Zuccarini, Joseph Gerhard 1797-1848)で、シーボルトの日本植物の分類などで『日本植物誌(Flora Japonica)』を共著したことで知られているが、メキシコの植物をも研究していた。
ツッカリーニは、誰が採取したメキシコの植物標本を研究したのだろうか疑問が生じた。考えられるのは、フンボルト探検隊の植物標本ではないかと思うがその証拠は見つかっていない。
一方、プリングルは、1894年8月2日オアハカ州の2000mのところで採取した。
24. Salvia sessei Benth. (1833). サルビア・セッセイ

(出典) flickr
サルビアはすごい。これまでは1-2mぐらいの小さな潅木が多かったが、サルビア・セッセイは、4-5mの大きな潅木で、ライム色の葉、うすい赤色の大きな花が素晴らしい。サルビア・レグラ(Salvia regla)に似ているが、レグラは直立の2mの潅木なので、それよりも大きなサルビアだ。
メキシコ中央部の高度2100mまでの松林や森林の端に生息し、最初の発見・採取者は良くわからない。
「The New Book of Salvias」の著者Clebsch, Betsyは、1787年からのスペインのセッセ(Sessé y Lacasta, Martín 1751-1808)探検隊が採取したと書いている。
そうかもしれないなとは思いながらも、命名者である英国の植物学者ベンサム(Bentham, George 1800-1884)は、どこでメキシコの植物標本を手に入れたのだろうかなと疑問に思ったが、ベンサムは、パリでドゥ・カンドール(de Candolle, Augustin Pyramus 1778-1841)のコピーを手に入れ、これに感動し植物学に邁進するようになったという。ベンサムが、採取者セッセに奉げたサルビアなのだろう。
その後、キュー植物園に席を置いたベンサムは、キュー植物園の組織力を生かして集めた英国の植民地の植物相の研究を行ったので、彼が命名した植物は数多い。
プリングルは、1902年にモレーロス州クエルナバカの450mのところでこのサルビアを採取している。
25. Salvia setulosa Fernald (1901). サルビア・セツロサ

(出典) senteurs du quercy
このサルビアは、プリングルが最初の発見者で、1900年9月1日にモレーロス州クエルナバカの2400mのところで採取した。
60㎝程度の草丈で耐寒性が弱く短い花序を伸ばしブルーの花を咲かせる。似たサルビアが多く、独立した品種なのか議論が起きる可能性がある。
(続く)