宝物と呼んで大切にしていたワープロ、大学の課題で制作したパラパラ絵本…。展示された遺品からは、突然「生」を絶たれた無念の思いが伝わってきます。
神戸大学が催している「震災犠牲者の追憶」。阪神・淡路大震災の被災大学として記憶を継承していく責務があると。訪れた学生は「多くの先輩が亡くなられた。あの後に生まれた自分たちにとって震災の教訓を学べれば」。
大都市圏のライフラインを引き裂き、あまたのくらしを破壊した震災から30年。神戸の街を歩けば直接の傷痕は見えませんが、被災者が思い描いた街づくりとはかけ離れた現状が横たわっています。
火災で甚大な被害を受けた長田区の復興もその一例です。昨年10月末に44棟目のビルが完成し再開発事業は終結。震災からわずか2カ月後に住民の反対を押し切って市が推し進めてきた計画ですが、立ち並ぶ商業ビルは人影もまばら。かつての商店街の活気もありません。
「被災者のため、住民の生活のため、とはいえない事業がこの状況を招いた」。地域の変ぼうを見つめてきた共産党の森本真神戸市議は県や市、そして国の大型開発優先の姿勢を批判します。
防災や社会のあり方に数々の教訓を残した30年前の震災。その後も列島では大きな災害が続きますが、避難所の環境から住まいや生業の再建まで、それは生かされてきたのか―。遺族からは命の重さを忘れないでほしいと改めて。森本さんは政治の役割を。「大事なことは明日への希望がみえるとりくみです」
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