25年度予算案
本末転倒の石破政権
石破茂政権が、公立学校の教員の処遇改善策として2025年度予算案に盛り込んだ教職調整額引き上げの財源の半分を、教員向けの手当の廃止・縮減で生みだそうとしていることが、文部科学省への取材で分かりました。調整額引き上げなどと引き換えに教員向けの手当廃止を主張する財務省の筋書きに沿った動きです。
公立学校の教員は教員給与特別措置法(給特法)で残業代制度の例外とされ、月給の4%を教職調整額として支給される代わり、いくら働いても残業代は出ません。長時間労働や教員不足が問題となるなか、石破政権は給特法を見直し、30年度までに調整額を段階的に10%へ引き上げる方針です。ただし調整額には長時間労働を抑える効果はなく、調整額引き上げはむしろ状態を悪化させるとの批判が出ています。
25年度予算案では教職調整額を1%引き上げるために22億円を計上(実施は26年1月から)。その財源として、優秀な人材確保を目的に教員の月給に平均1・5%を上乗せしている「義務教育等教員特別手当」を1%に縮減。学年の異なる子どもからなる複式学級の担任向けの「多学年学級担当手当」を廃止するとしています。25年度の両手当の廃止・縮減額として合計11億円を見込みます。
教員の処遇改善について財務省は、教職調整額を段階的に10%まで引き上げた上で残業代制度へ移行すべきだと主張。必要な財源は教員向けの各種手当の廃止・縮減で生み出すべきだとし、将来的には残業代に一元化するよう提案しています。
財務省は今後もさらなる手当の廃止・縮減を求めてくるとみられます。仮に同省案通り手当が残業代に一元化されると、教員の給与は残業しなければ現在より低くなります。手当の合計は給与の9%に相当するとされ、介護や子育てなどで残業できない教員は給与の約1割、年間数十万円の減収になります。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます