天津ドーナツ

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“体ことば”・耳の部・耳を洗って耳学問・・・元NHKアナウンサー塚越恒爾さんのブログから

2011-10-02 07:15:11 | 日本語学習法
 ・ “体ことば”・耳の部
 
 お待ち遠さま。毎月初めは“体ことば”ですが、足・腰から上がってきて、ようやく耳に達しました。肩の力を抜いて、どうぞお楽しみ下さい。なお◎印は、日本語の初心者向けです。
   
◎ 右から左へ聞き流す、上の空耳(ウワノソラミミ)、老いのひが耳、ざる耳・よそ耳・聞き耳立てて、早耳さえも聞き返し、聞き咎めたが聞き違い。「ソリャ初耳じゃのお、寝耳に水じゃ。そこの補聴器取ってくれ?」
 (註:上の空音は聞いていても“ことば”としては聞いていない状態。:寝耳に・・・は、(全くの不意打ちに聞いたの意)

* 小耳に挟んだ風評被害、耳に残るは放射能、ミリシーベルトが耳を打ち、お茶の葉ベクレル耳疑って、耳を塞いで記者会見、聞いたか聞こえた、耳を信じて目をば疑へ、王様の耳はロバの耳、耳を澄ませばわだつみの声。

* 耳が肥えたか耳学問、耳に逆らう耳年増、聞く耳持たぬと息巻いて、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、耳を洗えば耳に従う。
(註;耳順(ジジュン)とは、60才のこと。孔子のことば。50にして天命を知り、60にして耳に従う。)

* 「耳が遠けりゃ耳の穴をかっぽじり、遠からんもの音にも聞け、近くば寄って目にもみよ」「なになに、今なんというたのか、もっと近くで耳に入れてくれ」
 
* 耳を聾するお笑いコンビ、近頃テレビは耳障り、聞きそびれては耳塞ぐ。タレントという名の能ナシが、のっぺいぞろりと、叫ぶは泣くは・・・

* 耳なし芳一平家の亡霊、聞くほどにない多聞天、七福神は福耳・垂れ耳・袋耳、ウサギの耳は長い耳、壁に耳あり針の耳、大耳・小耳・内耳に外耳、香ばしいのはパンの耳、手下を牛耳るガキ大将。

* 耳元の声聞き分けて、耳を貸したり耳を借りたり、耳にするのは噂の話、盗み聞きなら任せとけ、キカ猿さえも耳そばだてて、耳聡い(みみさとい)のは地獄耳、耳を被って鈴盗む、耳に栓して耳隠し、耳を揃えて返せあの金。

* 「いいか おい ちゃんと聴け」。お説教なら聞き飽きた。聴きしに勝るガラクタ話が耳朶を打つ、聞こえよがしの耳打ちに、「そりゃ聞こえませぬ、傳兵ヱさん」耳が痛いは頭痛の種、耳が汚れりゃ耳洗え、耳についたら耳新しく、聞き応えある念仏三昧、心耳を澄まし聞きなされ、耳目集めて耳に留め。

* 昔は埴輪の耳飾り、次には真珠のイヤリング、今は流行かパワーストンのピアスを吊り下げ、貧乏耳を引き延ばす。

* 人間の口は一つで耳二つ、己の言うより他人の言を、しかと聞くが真の人。(聖書)

* 「耳殺いて 聞き定めけり 露の音」・・・稀代の咄家、円朝の辞世の句
 (註:耳殺いて・耳シイテは、「年を取り、耳が聞こえなくなって」の意。この露は、はかない人生の意)