ファミレスでの1シーン。コーヒーを注文して「ホットとアイスどちらにいたしますか」と、店員に尋ねられたら「謙譲語と尊敬語の取り違えだ。正しくは『どちらになさいますか』だ」と怒ってください。また、注文の品を持ってきて「こちらでよろしかったでしょうか」と聞かれたら「過去形かい。『こちらでよろしいですか』だろう」と指導。会計時に「千円からお預かりいたします」だったら、「千円お預かりいたします」が正しい日本語であることを教えてあげてください。ほぼ百パーセント嫌われるでしょうが…。
「敬語は難しい」-。そう思っておられる方も多いのではないでしょうか。「すぐに使える敬語」「敬語は難しくない」などとうたった本は書店の実用書の棚に行けばすぐに数冊は見つけられます。実際のところ、敬語について悩んでいる人がいるからそういった書物も売れるわけで、誰もが正しく敬語を使いこなせていたら、そんな実用書は必要とされません。
恥ずかしながら、かくいう私も仕事の現場で時折おかしな敬語に遭遇し、頭を悩ませている一人です。新聞紙面で敬語が使用されるのは、ほとんどの場合皇室関係と言ってもいいくらいで、特に気を使います。尊敬語と謙譲語を取り違えていないか、1センテンスに敬語表現1つの基本は守られているか等々、念には念を入れて複数の人間で校閲作業に当たるようにしています。
記事中の敬語が正しく使われていても、見出しが正確でない場合もあります。
記事の内容を簡潔に表現するため、見出しは述語を省くことがよくありますが、その際にしばしばミスが起きます。
先日、来日していた外国の首長の離日に際し、天皇、皇后両陛下が迎賓館を訪れて別れの挨拶(あいさつ)をされた、という趣旨の記事が載りました。その記事の見出しが「両陛下、~首長にご挨拶」でした。整理記者が挨拶に「ご」を付けて見出しに取ったのですが、「挨拶された」を「ご挨拶」とするのは誤りです。
これでは「陛下」が「首長」に「ご挨拶」したことになり、首長に対して陛下を下げることになってしまいます。相手に関係する場合、自分側の行為に「お、ご」を付けるのは謙譲表現です。降版時間も迫っていた中での出来事でしたが、なんとか正しく直すことができ、事なきを得ました。
このときは紙面化は免れましたが、このコラムを書くにあたり、過去の資料を調べていたら、読者の方からのある指摘が目に留まりました。「天皇陛下18日ご手術」というものです。
確かに会話では「来週、盲腸の手術してくるよ」などと言うこともありますが、正確には「手術を受けてくる」。手術はあくまで医師が行うもので、「陛下が手術を受けられる」ことを「陛下が手術される」とは言えません。これを「ご手術」で表すのも適切ではありません。実際に紙面に載ってしまったことは深く反省せざるを得ません。
早速コラムを書いている横から「念のため目を通してください」と皇室関係の記事が他の部員から回されてきました。より一層神経を集中して読むことにします。
それにしても敬語は難しい…。
「敬語は難しい」-。そう思っておられる方も多いのではないでしょうか。「すぐに使える敬語」「敬語は難しくない」などとうたった本は書店の実用書の棚に行けばすぐに数冊は見つけられます。実際のところ、敬語について悩んでいる人がいるからそういった書物も売れるわけで、誰もが正しく敬語を使いこなせていたら、そんな実用書は必要とされません。
恥ずかしながら、かくいう私も仕事の現場で時折おかしな敬語に遭遇し、頭を悩ませている一人です。新聞紙面で敬語が使用されるのは、ほとんどの場合皇室関係と言ってもいいくらいで、特に気を使います。尊敬語と謙譲語を取り違えていないか、1センテンスに敬語表現1つの基本は守られているか等々、念には念を入れて複数の人間で校閲作業に当たるようにしています。
記事中の敬語が正しく使われていても、見出しが正確でない場合もあります。
記事の内容を簡潔に表現するため、見出しは述語を省くことがよくありますが、その際にしばしばミスが起きます。
先日、来日していた外国の首長の離日に際し、天皇、皇后両陛下が迎賓館を訪れて別れの挨拶(あいさつ)をされた、という趣旨の記事が載りました。その記事の見出しが「両陛下、~首長にご挨拶」でした。整理記者が挨拶に「ご」を付けて見出しに取ったのですが、「挨拶された」を「ご挨拶」とするのは誤りです。
これでは「陛下」が「首長」に「ご挨拶」したことになり、首長に対して陛下を下げることになってしまいます。相手に関係する場合、自分側の行為に「お、ご」を付けるのは謙譲表現です。降版時間も迫っていた中での出来事でしたが、なんとか正しく直すことができ、事なきを得ました。
このときは紙面化は免れましたが、このコラムを書くにあたり、過去の資料を調べていたら、読者の方からのある指摘が目に留まりました。「天皇陛下18日ご手術」というものです。
確かに会話では「来週、盲腸の手術してくるよ」などと言うこともありますが、正確には「手術を受けてくる」。手術はあくまで医師が行うもので、「陛下が手術を受けられる」ことを「陛下が手術される」とは言えません。これを「ご手術」で表すのも適切ではありません。実際に紙面に載ってしまったことは深く反省せざるを得ません。
早速コラムを書いている横から「念のため目を通してください」と皇室関係の記事が他の部員から回されてきました。より一層神経を集中して読むことにします。
それにしても敬語は難しい…。