tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『風立ちぬ』

2013-07-27 21:37:36 | 映画-か行
 夏休みの子供たちで、映画館もわりと混雑。

 すごく久しぶりに、ジブリの作品を大画面で観た。
 『もののけ姫』以来だ。予告を観たら、観たくなった。ノンフィクションを下敷きにしていること、あと、主人公が女の子じゃないのも観たくなった理由の一つだ。女の子の話はもういいかなと。お、女の子じゃない!と楽しみにしていた。

 主人公の声(キャスト)がよくないっていう声が結構あるみたいだけれど、私は別に問題なかったな。庵野監督のことをあまり知らないので、顔が浮かんでくることもなかったし、そういえばそうだったなと、観終わってから思い出したくらい。むしろ、とつとつとした感じが主人公のキャラクターと合ってるなと、いたって満足していた。

 主人公のキャラクターと言えば、もちろん零戦の設計者なんだけれど、自分の世界に没頭して行く多少現実離れしたエゴイストぶりを、あれだけさわやかに描けるのは、やっぱり手腕でしょうね。まったく良い人です。いつもの女の子もそうだけれど、そういうキャラクターを描いてくれて、さらに観ていて面白いのだから、ありがたいものです。これは才能と特権と言える気がする。

 ただ一つ疑問もある。
 大正生まれの人たちが、あんなにチュッチュ、チュッチュ、キスするもんだろうか。何かと言えば、キスをする。主人公はドイツに研修に行ったりしていて、ハイカラで外国文化に慣れていると言えばそうだけれど、それでもちょっと他の場面にそぐわない感じもした。二人の情感を描かなくてはいけなくて、たとえばそういう風にしか描けなかったんだとすれば、そこにこの作品の限界を感じてしまう。なんてね。子供が見るには、しすぎだし(笑)。

 宮崎駿監督、2013年、日本。