去年の6月頃、『トップガン-マーヴェリック』に感銘を受けた私は、78歳と84歳の両親を「揺れる椅子」4DXスクリーンに招待した。
前作『トップガン』も知らず、いぶかしげな表情の両親を、「絶対後悔しないから」と言ってシネコンへ連れて行った。その言い草は何だか詐欺師みたいだが、もちろん、自分としては親孝行のつもりなのだ。
結果、彼らが楽しんだのか今一分からないけれど、自分はいたく満足した(笑)
ちなみに母は映画が好き。ただしミニシアターに一人で出掛けはするが、シネコンには行かない。
父の方は、映画館に行くことも映画を語ることもまれだった。そんな父が、「マーヴェリック」を観た後、この作品の話をし始めた。ただしモニョモニョと話し下手は相変わらずで。
そんなことを最近思い出して、改めて西部劇『シェーン』を鑑賞してみた。
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西部開拓時代のワイオミング州。別名、カウボーイ州。
1889~93年のジョンソン群戦争を元に、ジャック・シェーファーによる原作を映画化。
西部開拓も末期であり、滅び行く運命のガンマン。ヒーロー然としていながらも、私には少年のような憧れの眼差しを向ける事は困難で、銃を置き「強くたくましい男になれ」と言うシェーンの言葉にも、特別な感慨を感じることは出来なかった。
流れ者シェーンは、物腰柔らかく礼儀正しい好人物であり、賢く、また闘いのプロである。もう一人のプロ、雇われガンマンが現れなければ、再び銃を取ることは無かっただろう。
引退を夢見たガンマンが、夢をあきらめ去って行く姿は、ただもの哀しかった。
父はヒロイズムの話をしたかったのかなと思った。
人助けをして去って行く英雄の姿に、心をワクワクさせたこともあったかもしれない。英雄は、どこからともなくやって来て、どこへともなく去って行く。
父は、何か感想をひねり出さないととでも思ったのだろう。「マーヴェリック」にワクワクしたのかどうかは分からない。
けれど、普段あまり語られることのない父の記憶や感情の一端に触れられたことは、私には嬉しいことだった。
そういう意味で、やっぱり自分は満足したのだと思った。
『シェーン』、ジョージ・スティーブンス監督、1953年、118分、アメリカ。原題は、『Shane』。
原作は、ジャック・シェーファーのデビュー作『Shane』(1949)。
アラン・ラッド、ジーン・アーサー、バン・ヘフリン、ブランドン・デ・ワイルド。第26回アカデミー賞、撮影賞(カラー)受賞。
スターレット一家とシェーン↓主演アラン・ラッドは慎重168cmと比較的小柄だったそう。劇中では全く感じさせないですね。
壮大な山脈と乾燥した大平原に、人間がぽつぽつ。ワイオミング州、グランド・ティトン国立公園が撮影地↓
ワイオミング州はこちら↓