『グランド・ジョー』、デビッド・ゴードン・グリーン監督、2013年、117分、アメリカ。ニコラス・ケイジ、タイ・シェリダン。原題は、『Joe』。
第70回ベネチア国際映画祭、マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)受賞(タイ・シェリダン)。
久しぶりのニコラス・ケイジ。
とっても好きだけど、2003年の『アダプテーション』辺りから、私のニコラス離れが始まった。これはある意味仕方ない。ニコラスが多額の借金返済の為、B級映画にばんばん出始めたからだ。そうなると、まず日本では公開されない(=気軽に観に行けない)。レンタルビデオで追いかけることは出来たようだけど、私のTSUTAYA離れも始まっていた・・。(こちらの事情で、TSUTAYAさんが悪いのではありません。)
しかし、全地球上のニコラスファンの願いは、とうとう天に通じた。
何とニコラスは、借金返済完了!その後に撮影した『マッシブ・タレント』が絶好調とのこと。中々観に行けず体に震えがきそうだったところ、とある方にご紹介いただいたのが、こちらの作品。
これも良かったなぁ。
極めてシリアスな作品で、張り詰めた緊張感と諦観を演じる、ニコラス・ケイジが最高。
仕事をもらいに来た少年との出会いから、自分の諦めた「未来」を少年に託そうとする。
「未来」というのは何か具体的な事ではないけれど、自分を信じ、他者を信じ、そこに「未来」がある事を信じられることかなと思った。人生の中に手ぶらで放り出されつつある少年と、心の沼から出ようとして失敗し、沼の中で息をひそめて生き延びようとする、ニコラス演じるジョーとの交流が心に染みる。
一つの出来事が、いつまでも人を救うことってあると思う。その記憶がある限り、その感覚がある限り、根を張る場所として機能する。
そんな感覚を与え合う関係は最高だ。
この映画自体は、アメリカの陰の部分を描いており、あまり心楽しくなるような映画ではない。それでも、こんなヒーローがいても良いと思うし、こんな男を、魅力たっぷりに演じられるのは、やっぱりニコラス・ケイジしかいないと、改めて思うのだ!