いろんな先生方の授業を見ていると、子供たちが授業に集中しているか、やる気がないかは、教室に一歩入ると雰囲気でわかる。
集中しているクラスの子供たちは前のめりになって先生の話を聞いていたり、教科書ノートがほぼ全員出ていたりする。
やる気のないクラスは、子供たちがだらけていたり、ふざけていたり、いたずらをしていたり、教科書ノートが出ていなかったりする。
ではこれらは子供たちの原因があるのかと言うとそれは違う。原因は教師にあるのだ。大抵、やる気のないクラスでは、教師が1人でダラダラとしゃべっている。
では授業を最初から集中して受けさせるためにはどうしたら良いか?
1つ目はすぐに授業に入ることである。号令で気を付けを待ったり、やり直したりなどせずに、すぱっと授業に入ることである。
2つ目は教師の話をできるだけ短くすることである。
短いセンテンスで言葉をブレずにズバット言うこと。短いから、子供たちは、短期記憶に入り、集中できる。
だらだらと長い話をしても、脳のワーキングメモリーは次々上書きされ、結局何が言いたいのかわからなくなる。
3つ目は、子供を巻き込むこと。
例えばもったいぶってものを出す。
例えば授業に関わり、それでいて子供が興味を持つ話やニュースを紹介する。
子供たちが、今日の授業面白そうだ、先生の話は面白い、などと思わせる、最初のつかみの技術が必要である。
いきなりクイズや、問題を出すなど、子供に思考させるのも有効である。人間の頭は質問や問題を聞けば、答えを出したいと言う習性がある。
授業のつかみとして、前回の復習やその授業に関わるクイズなどを出すのは有効である。
例えば算数であれば、前回の授業の問題を1問だけ出して、持ってらっしゃいと言う。
例えば社会であれば地図帳から地名探しクイズを出す。歴史のクイズを出す。
例えば国語なら、前回習った漢字を板書し何と読み方を聞いたり、いきなり漢字の空書きをさせる。
またどの教科でもそうだが、前時に扱った用語の意味を聞いたり、意味からその用語を答えさせたりなども有効である。
巻き込むには、作業させることも有効である。やる気を出させるにはあだこうだ言うよりも動き出すのが1番である。
教科書の何ページをの何番を指差させる。
それを隣の人と確認させる。
いきなり教科書を音読させる。
これらのつかみて、子供達を一気に授業に巻き込むことができる。
この話に関して、昔見た授業を思い出す。
そのクラスは教師が前半ひたすらしゃべっていた。話が長く、めあてが何なのか、何をさせたいのか、大人の僕でもよくわからななかった。言語明瞭、意味不明瞭だった。
教室の空気はどんより重かった。子どもたちは見るからにだらけていた。教師は気付かないのか気にしてないのか、10分ほどダラダラと説明していた。要は話し合いをさせたいと言うことのようだったが、教師である僕が聞いていても混乱するばかりの話であった。当然子供達は理解不能だっただろう。
そしてあるグループに、手本として話し合いをさせた。どんよりした空気の中、クラスみんなに見られながら、話し合いをできるはずもない。小声でぼそぼそと話し、しばらく誰も言わない時間が経ち、そしてまた別の子がぼそぼそと話すし出した。
話し合いが終わり、教師はまただらだらと長い質問を投げかけた。要は話し合いでどう直したらいいかと言うことらしい。教師に指名された子供たちは、質問の意味がわからないのでとんちんかんな答えを返していた。そしてそれに対して、その教師は、子供達を非難した。
後ろで聞いていた僕は、とてもいたたまれない時間だった。
授業の後半、やっとグループの話し合いになった。子供たちは机を動かし始めた途端、表情が明るくなった。そしてそれぞれのグループが話し合いを始めた。
最初の数分は戸惑っている子たちもいたが、やがてどのグループとも活発な話し合い活動になった。
教師はしばらく難しい顔で子供たちを見ていたが、やがて机間指導を始めた。子供たちの話を聞きながら、その教師自身が柔和な顔に戻っていき話し方も和らいできた。
この授業が示す通り、教師が長々と説明をしても、注意しても、子供たちは動かないのだ。
それよりも、説明の時間を短くし、話し合いなどの活動の時間を多くとれば、その授業は活性化し、子供たちも生き生きと授業に取り組むのだ。
あなたは授業の開始で子供たちをやる気にさせていますか?