特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

女は度胸 男は愛嬌(公開コメント版)

2013-12-19 14:59:08 | 特殊清掃
出向いた現場は、古い一戸建。
私は、依頼者と約束したのよりだいぶはやい時刻に到着。
家の前の路上の車をとめ、依頼者がくるのを待った。
しばらくすると、一組の若い男女が視界に現れた。
二人には、私が“特掃屋”だとすぐにわかったのだろう、こちらに向かってペコリと頭を下げながら近づいてきた。

二人の外観年齢は20代前半。
だから、私の目には二人が姉弟に映った。
しかし、実際は夫婦。
まだ結婚して間もない、新婚夫婦だった。
そして、この家は女性の実家で、亡くなったのは、一人暮らしをしていた女性の父親だった。

警察から、
「家には入らないほうがいい」
と言われた二人は、まだ室内を確認しておらず。
それでも男性は、
「一緒に入らなくてもいいですか?」
と、部屋には入りたくない様子。
一方の女性は、
「一緒に入ってもいいですか?」
と、部屋に入りたい様子。
女性にとっては実家であるわけだから、貴重品や遺品のチェックをしたいのだろうと思った私は、
「どちらでも構いません」
と返答。
ただ、警察が入らないほうがいいと言うからには、部屋はそれなりに凄惨な状態のはず。
そして、心に何の準備もなく現場を見た場合、大きなショックを受ける可能性は大。
私は、
「私が先に入って、中の状況を確認してくることもできますけど・・・」
と、まずは私が部屋を見てくることを提案。
すると、二人は、
「それでお願いします」
と、口をそろえて応えた。

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