特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

ささやかな抵抗(公開コメント版)

2015-09-23 09:47:56 | 特殊清掃
現場は、木造の古い二階建アパート。
その二階の一室で住人が孤独死、腐乱。
周囲には異臭が漏洩し、窓の内側には無数のハエ。
更には、階下の部屋にまでウジが発生していた。

依頼してきたのは不動産管理会社。
「大至急!」と言われるものとばかり思っていた私は、気を高ぶらせた。
ただ、実際はそうではなかった。
不動産会社としては、一刻も早く部屋の始末に取り掛かりたかったのだが、遺族がそれを許可せず。
周囲に異臭や害虫が発生している状況にもかかわらず、遠方から来る遺族の都合で、現地訪問の予定はそれから数日後となった。

約束の日時。
現場ではなく不動産会社の事務所に来るように言われていた私は、まず、そこへ。
すると、通された応接間には、先に遺族らしき初老の男女がきていた。
そして、二人は私には目もくれず何かを力説。
何やら揉めているらしく、不穏な空気を察知した私は 黙って会釈をしながら示された椅子に腰掛けた。

そこに集ったのは、大家、不動産会社の担当者、遺族二人、そして私。
大方のケースだと、こういう現場では、大家・不動産会社が上手にでて遺族は平身低頭になる。
しかし、ここではそれが違っていた。
遺族のほうが上手にでて、大家・担当者は憮然。
私は、その様を妙に思ったのだが、黙って話を聞いていると、ほどなく揉め事の原因はつかめてきた。

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