その女性は、去年の秋ジュサブロー館で歌った時、出逢った。
歌い終わって、彼女は私を食事に誘った。
私は「友達と行くところがあるから」と断った。
そして、私が行きたいと思っていた店に行くと、
彼女が座っていた。
「神様は、ちゃんと人と日を選んで、逢わせてくださるのよ」
まっすぐ見つめる黒い瞳に、私は怖さと、懐かしさを覚えた。
またすぐにジュサブロー館でお逢い出来ると思ったものの、
私の音声障害と、この地震騒動で、ずっとジュサブロー館には出ておらず、
彼女とも逢えずにいた。
今月のジュサブロー館のライブがキャンセルになった時、
「ちづこ様」に逢いに行こうと思った。
突然電話して、「お顔見に行きたい」
お家にお邪魔することを当たり前のように約束をとりつける。
今思えば、逢いたいと思えば、お家じゃなくても良かったのに。
けれど、彼女の家に足を踏み入れたとたん、
ああ、私は呼ばれて来たんだ。
と思った。
ちづこ様のお家。ピンク色。
玄関に入ると、絶句。ここは何処?
壁もピンク、そしてブルー。彼女が塗ったのだそう。
そして隙間無く描かれた天使の絵も、ちづこ様の手によるもの。
壁という壁、そして天井にも、描かれている。
ほかにも沢山の絵、出窓のマリア様も、ソファのお人形も、彼女の作品。
襖にも、桐のタンスにも、ペンキが塗ってあって、
そこに文字や絵が描かれていた。
「猫が爪を立てるでしょう?だからこうしたの」
大胆で、繊細。賑やかで、でもほっとする。
色の洪水、に見えて、でも静かで温かい。
ちづこ子様のエネルギーは涸れない泉。
教会で、お寺で、神社で、抱くあの感じ。
今風に言えば「パワースポット」?
私は気がつくと、ちづこ様と話しながら泣いていた。
薔薇色の壁を見て、何となく、
モンマルトルのレストランの壁を思い出していた。
懐かしさはそこから来るのか。
私は私を取り戻せそうな気がしていた。
神様はやはり、人と日を選んで、逢わせてくださる。
生きてて良かったなぁ。
これからも生きて行くんだなぁ。
ちづこ様ありがとう。
ご一緒したみなさん、ありがとう。
神様ありがとう。
↑これは天井。寝転んで写真とってたら笑われた。。。