僕が自転車に乗り始めたのが2010年8月。
この頃から2chの自転車版を良く見るようになっていた。
そして偶然に発見した衝撃的なタイトル。
『【キャノンボール】東京⇔大阪を1日で走る』
初めは『1日!?そんなバカな!』と言う思いでしたが内容を読んでみると最速で22時間を切るタイムで達成者がいるらしい・・・。
そして24時間以内の達成者は何人か居るみたいだ。
『世の中のには物凄い人達が居るもんだ』と驚きしかありませんでした。
いつかは自分もチャレンジしてみたい。
そして1年が過ぎ2年目を迎えようとしていた今年。
3月にこれまた衝撃的な事件が起きました。
大阪に住む大学時代の同級生が大阪から東京まで自転車でやってくると。
話を聞くと1年半前までは現役でレースにも出場して表彰台レベル。
これは凄い!!しかしブランクがあるので30時間くらいかけてノンビリ来るとは言っていましたが距離が500kmを超える。
この時彼は補給のミスと雨による体温の低下、そして重たすぎるバックパックを背負って走った結果、肩や腰の疲労から静岡県沼津で無念のリタイア。
自転車にもトラブルがあり箱根を越えられる状態では無かった。
迎えに行った時には食事も喉を通らないほどの疲労でした。
500kmを走ることの厳しさを目の当たりにして『果たして自分には走りきれるのだろうか?』と言う思いと『このリベンジを自分が果たさないといけない』と言う気持ちが生まれたのも確かです。
これまでやってみようと思うだけだった【東京~大阪】
実行に移すきっかけを彼がくれました。
24時間走り続けるにあたって避けては通れない夜中の走行。
どれだけ体に負担があるのかを確かめる為に何度か徹夜の走行を経験し積極的に200~300kmのロングもこなしてきました。
そして訪れた実行の日。
ゴールデンウィークが終わる5月6日、いよいよ出発です。
当日は仕事でしたが早めに切り上げて16:00には東京日本橋をスタートする予定でした。
天気予報も日曜は少々悪いものの月曜日の予報は良好、唯一の心配は風向き。
日本の上空は一年を通して偏西風が吹く為に西向きで走ると向かい風になります。
しかし東京から大阪へ向かわないと今回のチャレンジの意味が無いので無理をしてでも東京発で行きます。
会社を出る頃、akiが実家へ向かう途中に家族で顔を出してくれました。
ユンケルの差し入れ。
出発前に飲みましたm(__)m
一旦家へ戻り準備をして着替え、輪行バック等を大阪の友人宅へ送ってしまいます。
荷物は出来るだけ少なめに軽く行きたい。
これでもう後戻りは出来ない。
15時前には会社を出てスタート地点の日本橋へ向かう。
途中jaian宅を訪ね出発の挨拶。差し入れも貰いました。
走り出すと雲行きが怪しくなってきます。
雷が鳴って雷雨の始まり。
出鼻をくじかれます。
雨脚がよわまって池袋を走っている頃に前輪がパンク(^^ゞ
2年近く乗って2回しかパンクしたこと無いのによりによってこんな時に・・・。
タイヤを確認すると小さなガラス片が刺さってる。
他の部分もグリグリ確認してみると目に見えないほどの小さなガラス片がかなりめり込んでました。
先週、仙台まで走ったときのダメージなのでしょうか、国道4号はガラス片が非常に多かったです。
走っていた衝撃でめり込んでチューブまで達してしまったようです。
ここで決断を迫られる。
このままパンクだけ直してスタートするか?
一度家まで戻ってタイヤごと新品に交換して再出発するか??
家まで戻ると往復で50km位・・・・・・・・・泣けてくる。
ここは先が長いので戻ることを選択。
少し長めのウォーミングアップと割り切って気持ちを切り替えます。
結局スタート地点に到着したのは21:00。
タイムロスは3時間以上、既に72kmの距離を走行してしまった。これから500km以上走るのに・・・。
しかし逆境に立たされてこそ本領発揮、燃えて来ます。
準備を整えfacebookでスタート宣言をした後、21:22分 東京日本橋スタート。
【日本橋~小田原】
日本橋から横浜までの1号線は以前は走った時、路肩のマンホールがせり出してかなり走りにくい印象。
この間は国道15号を選択。
日曜の夜と言うこともあり交通量は少なめで順調に横浜。
最初の問題地点は開かずの踏み切りで有名な戸塚駅の踏み切り。
しかし間違って横浜新道側の自転車進入禁止に入ってしまい住宅地を彷徨っていると既に踏み切りを越えていると言う幸運に恵まれる。
少しはタイムを稼げただろうか。
藤沢からは一旦平塚の海岸沿いに出て大磯で1号に復帰。
ここで一回目のコンビニ休憩。
思っていたより随分と寒い。
今回のウェアは夏用。アームウォーマーはあるもののこれまた夏用。
その他の防寒着はペラペラのベスト一枚。『大丈夫か??』
00:45 無事に小田原到着。
【小田原~沼津】
通常は箱根登坂の前に小田原のコンビニで補給しますが止まると体温が下がるのでここはスルーします。
箱根湯本までの緩やかな登りをこなし湯本駅前のコンビニもスルー。 寒い。
01:01 本格的な山に入ります。
路面は多少のウェット。下りが心配。
流石にこの時間は車も通らない。
霧雨のような雨のような、体温が奪われていきます。
たまに車が2~3台、どんな風に思われているんだろうか??
ここを上りきっても先はまだ400km以上、無理は出来ない。
02:10 国道1号最高地点の看板 1時間10分かけてノンビリと登ってきました。
電光掲示板の温度表示は4℃、真冬です。
しかし着ているジャージは夏用。
箱根の夜中を舐めていました、すみません、ごめんなさい。
この地点から3km程下って芦ノ湖。 寒い、指先もげそう。
ここにもコンビニがありますが止まると冷えるのでスルー。
止まって指先を暖めておけば良かった。
この先から静岡県です。
道の駅箱根峠からは三島まで15kmのダウンヒル。
普段ならば豪快なダウンヒルを楽しめますが今日は様子が違います。
指先の感覚が無くなり歯がガタガタ言い出し膝も震えだし腕の震えも止まらない。
足のつま先は凍るようでもう生きた心地がしません。
一人で悲鳴を上げながら下っていました(^^ゞ
50km/hのスピードで20分間の拷問に耐え抜いてようやく三島に到着。
コンビニへ駆け込んでホットレモンで暖をとりました。
03:20 沼津到着 133km
【沼津~豊橋】
いよいよここから魔のバイパス区間が始まります。
自転車通行禁止の為、迂回しなければならないバイパスは
沼津バイパス
富士由比バイパス
静清バイパス
藤枝バイパス
掛川バイパス
袋井バイパス
磐田バイパス
浜松バイパス
塩見バイパス等です。
自転車乗りには地獄のバイパス区間です。
途中通れる区間もありますが一度は迂回処置が必要になります。
通れても道幅が狭くトラックが物凄いスピードで走っていくので命が幾つあっても足りません。
おまけに全行程の1/3を占める静岡区間では全行程にわたって向かい風、そして雷のおまけつきの雷雨。
局所的に降るので濡れては乾き乾くとまた濡れるといった感じで精神的に参ってきました。
向かい風は本当に足を削られます。
帰りたくても帰れない・・・。
それまでは何とか30km/hを少し上回るペースで巡行出来ましたが向かい風になると30km/hを下回る。
大阪から走ればこの区間が基本は追い風になるのでボーナス区間となるのか??
05:30 静岡駅前のすき屋にて朝食 190km
駿河大橋を渡り
07:20 金谷峠を越え
07:50 掛川駅通過
08:46 天竜川を渡り
09:10 浜松
10:00 浜名湖
10:30 潮見坂を登りようやく長かった静岡も終わりです。
箱根峠から始まった長い長い静岡の182kmを8時間かけてやっとの思いで脱出!!
そして愛知県突入!!!
11:06 豊橋到着
豊川市小坂井付近で丁度300km
【豊橋~亀山】
豊橋から先30km程風が変わってくれました。
考えてみるとこの区間が唯一追い風だったようなきがします。
トラックの後に入り込み50km/h以上で引っ張ってもらう。
トラックは走行風が沢山起きるので後ろにつくと自然と引っ張られます。
唯一のボーナス区間。
しかしこのボーナス区間もあっという間に終了。
名古屋市内に入ると交通量が増え信号に頻繁につかまる様になる。
少し進んではすぐ信号、またすぐ信号。
思うように距離が伸びずに1時間当り22.5kmのペースを下回ってくる。
『これは24時間は厳しいかな?』
そしてここに来て強烈な睡魔。
居眠り運転しそうな激しい眠気が襲ってきたのでたまらずストップ。
事故を起こして周りの人に心配や迷惑をかけることだけは避けたいのでここは潔く仮眠を取ることにします。
木曽川手前の公園みたいなベンチで20分ほど仮眠。
随分楽になりました。
ここまで貯金してきたタイムも名古屋から四日市、鈴鹿辺りまでの渋滞と仮眠により全て使い果たしいよいよ24時間以内の達成が遠のいていきますがここで諦めるわけには行かないです。
3月に東京へやってきた彼(愛称はキノジです)の為に意地でも辿り着く必要があるのです。
ここで負けるわけには行かない、達成が見えなくなっても力を振り絞って全力で頑張る。
17:33 亀山通過 429km
【亀山~山科区】
亀山から先は関を通り最後の難関、鈴鹿峠の登場。
約5km 平均勾配は4% 普段なら何でもない登りも440km以上、スタート前のトラブルの距離を入れると510km以上走ってきた足には十分過ぎるほどの激坂です。
この頃またもや頭上には雨雲と雷、ポツポツ降ってきました。
最近、本当に雨が多い。
普段の行いがそんなに良いのかな??
18:50 鈴鹿峠 444km
この辺りで体は限界に近づいている。
足の指先は痺れからか火傷したような痛みがあり感覚が亡くなってきています。
たった250gしかないヘルメットさえも重たく感じてきます。
首が痛い。
峠を下った頃には19:30 路面はビショビショだけど選択肢は走る事の一点のみ!!
止まってられない。
20:20 草津 485km
キノジから何度か電話がかかってきており京都の山科区まで自転車で来て最後は一緒に走ってくれることに。
これは嬉しい。
一人で走るよりも元気が出ます。
21:00 大津通過
この辺は雨も降っていなかったようで路面はドライ。
21:10 山科駅近くのローソンで無事キノジと合流。
キノジは随分と心配していたようでしたが笑顔の再開(^o^)
『来たぜ!大阪!! まだ京都だけど(^^ゞ』
残り50km、力を振り絞って気合で走りぬきますよ!!
21:20 山科出発 502km
あと少し・・・。
【山科~キノジ自宅】
時間も大分遅くなってしまったのでゴール地点の梅田新道は諦めてそのまま自宅に向かうことにしました。
そして大阪の自転車仲間とも会うことが出来ずに残念でした。
色々と段取りをしていてくれたみたいですが申し訳なかったです。
スタート前のトラブルにより出発が送れ24時間も達成できなくて・・・。
言い訳にしかなりませんが次回はもう少ししっかりと予定をたてて余裕を持って会えるようにします。
今度は自転車無しで大阪に行こう(^o^)
京都駅を通過して東寺を通りひたすら南下。
最後の区間、キノジの後を走ってみましたが自分とは走りがまったく違うことに気が付いた。
自分はと言うと前方に赤信号が見えると一瞬足を止めてしまう。
下りでも足は止まる事が多い。
しかしキノジは信号の直前まで足が止まらない。
登りは勿論、下りになっても高回転で回っている。
絶えずギアを変えながら適正なギアで常に高回転。
そして早いよ、キノジ。置いていかないで(^^ゞ
体に染み付いてるのかなぁと後ろを走りながら勉強させてもらいました。
布施駅近くの自宅に到着したのは00:31
東京日本橋を出発して27時間と10分後、無事に大阪到着です。
梅田新道のゴールへは行かずに途中食事に入った時間等もあり多少のずれがありますが今回は達成できなかったのでこの辺は良しとします。
25~26時間あれば完走は出来ることが分かっただけでも収穫です。
この距離は脚力よりも精神力のほうが大事だと言うのが自分とキノジの共通の意見でした。
そのままシャワーを借りてビールを一本だけ飲んで泥のように眠りに付きました。
寝た瞬間に朝を迎えた感じです。
翌日、キノジは仕事へ出かけていきました。
平日にもかかわらず忙しい中、付き合ってくれて本当に感謝しています。
色々と泊まる準備をしてくれて助かりました。
恩は忘れません。
いつでも東京へリベンジしていいよ!!
昼頃に昨日ゴールできなかった梅田新道の交差点へ行ってきました。
大阪の道路元標。 また来る!!
その前に大阪城の天守閣にも行ってみました。
でかかった!!
そして鶴橋に住む同級生たちに会いに一っ走り。
御堂筋を通り、かに道楽があるえびす橋も通ってみました。
御堂筋は高級ブティックが並び銀座みたいな感じなんですね。
14:30鶴橋にて旧友3人と再会。
一人は仕事が忙しくこの場でしばらく話した後お別れ、3人でお昼ご飯を食べる事に。
お好み焼き屋でガッツり頂きました。
そして自転車の良さもしっかりと話す事が出来ました(笑)
皆さん、突然の訪阪にもかかわらず時間を作ってくれて感謝です。
またゆっくりと遊びに来たいと思います。
旧友との再会は本当に楽しかったです。
その後帰京の為に新大阪まで。
ブラブラ走っているうちに淀川の渡り方が判らなくて随分と迷いましたよ。
新御堂筋線?って自転車走れないのですね(^^ゞ
17:55 新大阪駅
ありがとう大阪!また来ます。
18:37発 のぞみで一路東京へ
21:23 東京駅で輪行をばらして自転車組み立て自宅まで走ります。
そして最後は因縁の東京日本橋へ再び
三度目ここへ来るときは大阪から24時間以内だ!
23時過ぎ、今回のチャレンジの全てを終えて無事に帰宅。
24時間は失敗に終わりましたが事故、怪我が無く帰って来れたので結果良し。
自転車の走りだけを見ると完走はしだけど目標が達成できなかったので達成感がまったく無い。
いつか必ずリベンジします。
このままでは終われない、東海道をねじ伏せる!!
そして今回facebookで激励のコメントをくださった方々にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
満足にコメントも返せませんでしたが力になりました。
また走るときはスタート宣言します(笑)
東京 → 大阪
走行距離 558.2km
所要時間 27時間10分
出発前のロス分、大阪市内の走行、東京駅から自宅3日合計
総走行距離 707.7kmでした。
これで僕の自転車生活におけるプロローグが完結したように思います。
明日からは第一章の始まりです。