○母&母系解説(Family Story)
欧州の強豪を多数輩出した母系が、大物誕生の鍵となる
英で競走馬デビューした母ショウダウンは、勝ち鞍をあげられないまま現役を引退し、繁殖牝馬となりました。 英で勝利を記録したフリーズ(父サドラーズウェルズ)、アバヤーン(父サドラーズウェルズ)、米で1勝をマークしたビーフリー(父セルカーク)などを出産してから日本に導入。 レッドデュード(父アグネスタキオン)、現2歳馬ヴァネッサ(父ゼンノロブロイ)に続いて誕生したのが、父にG1ジャパンC、などを制した世界的名馬ファルブラヴを迎えた牡駒ショウダウン12です。 世界を股にかけてG1戦を8勝した父の血と、G1仏ダービーを制した母の父ダルシャーンの血が相乗効果を生めば、ショウダウン12のクラシック戦線での頑張りも、十二分に見えてくるはずです。 母系は欧州の強豪を多数輩出している名門で、祖母ラストセカンドはG2ナッソーS、G2サンチャリオットSの勝ち馬。 ショウダウン12の叔父にあたるオージールールズはG1仏2000ギニー、G1キーンランドターフマイルSなどに勝ち、現在は種牡馬として活躍中です。 また、G1ロイヤルオーク賞勝ちのアレグレット、G1英チャンピオンSを2回勝っているアルボラーダ、G1オイロパ賞馬アルバノヴァ、G2愛ダービートライアルSに勝ち、G1愛ダービー、G1英セントレジャーでともに2着したミダスタッチも、同じファミリーの出身となります。 一族に伝わる大レース向きの優秀な底力と持続力に富んだパワフルなスピードは、ショウダウン12にとっても強力な武器となってきます。 |
○配合診断
仏2000ギニー馬Aussie Rulesの甥にあたり、近親にも活躍馬が多数出ているMumtaz Mahalにさかのぼる名牝系。 3代母AlruccabaはGrey Sovereign 4×3、母ショウダウンはMill ReefとSir Gaylordを通じるナスキロのクロスで、自身はNorthern Dancer 3×5、Bold Reason≒Never Bend 4×5、そしてSeattle SlewとMill Reefを通じるナスキロ+La Troienneのクロスもあります。 全体としてはファルブラヴに欧州中距離血統の重厚な斬れ味を付与した配合、といえるでしょう。 ファルブラヴ産駒といえばワンカラット、アイムユアーズ、エーシンヴァーゴウなど快速牝馬のイメージが強いですが、牡駒はトランスワープ、グローリーシーズ、タニノシュヴァリエなど父似の中距離型が多いのです。 牝駒はFairy Kingに似るけれど、牡駒はファルブラヴに似るというイメージですね。 芝向きの中距離馬で、母方の斬れ味が強く出れば東京や外回りでジワジワ差してくる脚質になる可能性もあります。 |
○馬体解説
父ファルブラヴは、異なる国で13勝のタフガイ。 馬体面では筋肉の隆起が大きく恐竜のようにカーブのあるシルエットで、日本では快速牝馬を多く輩出しています。 本馬は肩周囲に父同様の厚みがあり、この時期にしては筋肉の層が細分化されていますが、体高があり、首はストレートでやや長め。 胴もゆったりして体型的にはスタミナ派の母父ダルシャーンの影響を感じさせます。 臀部はまだ平面的ですが、臀筋群と協力して股関節を伸展させ、膝の支持にも働きかけている半腱様筋の幅が広いのが特徴です。 下腿骨は長趾伸筋の膨らみが大きく、股関節に強度が加わってくれば強いキック力を発揮します。 スピード系になるか、中距離系かは今後性格によって決まるはずです。 |
2013年10月
2014年1月
2014年4月