きものと洋服でお困りのあなたへ !!

創業106周年きものと洋服のお手入れ専門店 一級染色技能士の仕事事例と日常生活

クリーニング店によるやらかし シルクブラウス(絽色無地生地)食べこぼししみ 水洗い漂白剤による脱色 ウエットクリーニング・しみ抜き・色掛け(色修正・染色補正)正絹素材

2023年09月21日 | 洋服(他店で直らない品物)

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

札幌染洗工業組合(現在休会中)の会員の印染屋さんがシルクブラウスのお手入れの

相談にいらっしゃいました。品物を検品すると絽紋付色無地をブラウスにリフォームした

品物(以下シルクブラウスといたします)を水洗いしていた事と半分位脱色した部分がありました。

話を聞くとクリーニング店から染で直らないかとの依頼でしたが、畑違いだったので当店に

相談にいらっしゃいましたが、あまりに酷かったので、お話を作業を行ったクリーニング店に

直接話を聞きたかったので、その時は一度お断りしました。その後にクリーニング店が直接

いらっしゃいましたので、詳しくお話をお聞きしました。

シルクブラウス

シルクブラウス(絽色無地生地)抜紋

絽一つ紋色無地着物をやりくりしてシルクブラウスをリフォーム仕立て

しています。前立ての裏側に紋を持っていっていました。

ちなみに紋名は丸に角立四ツ目です。格の高い着物ですので結婚式にも

着用できますが、段々と着物離れが進んで着用機会が減ってきているので

洋服へのリフォームとなったと思います。

シルクブラウス 食べこぼししみ

クリーニング店も色々な形態がありますが、こちらのクリーニング店は店舗で持ち込みと

外交で品物を自店名義で受注を受けて、工場を持っている別のクリーニング店に外注している

お店でした。お客様からシルクブラウスの前身頃に食べこぼしがあったので、クリーニングの

依頼を受けました。クリーニング店では、水洗いをすれば食べこぼししみは除去出来ると

考えて、より綺麗にしようとぬるま湯に洗剤とワイドハイター(酸素系漂白剤、主成分

過酸化水素水)を入れて、シルクブラウスを洗濯浴に入れると地色が脱色したので

慌てて洗濯浴から引き上げて濯いで乾燥後に印染店に持ち込んだとの事でした。

前身頃の食べこぼしは落ちずに地色がまだらに落ちてしまいました。

シルクブラウス(絽色無地生地)袖 水洗い漂白剤による脱色

シルクブラウス(絽色無地生地)衿リボン 水洗い漂白剤による脱色

シルクブラウス(絽色無地生地)前身頃 水洗い漂白剤による脱色

シルクブラウス(絽色無地生地)後身頃 水洗い漂白剤による脱色・食べこぼししみ

43年間着物のお手入れを携わっている物としては、このクリーニング店がクリーニングの知識や

着物に対する知識やクリーニングの作業経験が皆無な事が良く分かりました。

一般の消費者ならともかくクリーニング業を成合している物とは思えません。

着物のお手入れの現在の主流は丸洗い(ドライクリーニング)としみ抜きです。

お手入れが大変な為に撥水加工を行ってアフターサービスでしみ抜きを行っている

業者もいます。昔は洗い張り(水洗い)しみ抜き・仕立て直しが主流でしたが、

着物離れと和裁が出来ない事や着物が普段着から工芸品に変わって高級化したことによって

着物離れが進んでいます。

私の祖母(明治生まれ)の時代は花嫁修業で和裁が必須でしたので、自分で

縫えたので洗い張りが出来れば外注しないで仕立てができましたが、時代が進み

自分で仕立てが出来なくなると仕立てを和裁士さんに出すとなると費用(コスト)が

掛かり、コストパフォーマンスが悪いので着物のお手入れは現在が丸洗い・しみ抜きが

主流となっています。

私自身も修行して丸洗い・しみ抜き・色掛け(色修正・染色補正)を習得後に

両親が逝去と高齢化に伴い、湯通し・洗い張り・染め替えを実際の経験してから

着物のお手入れの良い部分と悪い部分がさらに明確に分かってきました。

まずは着物(絹物)は

  1. 産地で使用している糊の為に輪じみが発生しやすい
  2. しみが付きやすくて、落ちずらい
  3. カビが生えやすい
  4. 経時変化で黄変化や脱色が発生しやすい
  5. 家庭で洗濯ができない
  6. 濃い色の染は水元(水洗い)が悪い為に水洗いを行いと色が出る
  7. 水洗いを行うとスレ(擦れ・白け・白化現象)が起きやすい
  8. 家庭用アイロンを掛けるとアタリが出やすい、綺麗に仕上がらない

以上の事が分かってきました。

とにかく絹はお手入れがとても手間暇とコストが掛かってとても大変です。

現在着物のお手入れの洗い張り・染の業者は高齢化と着物離れが進んで

激減していますし、クリーニング業界も高度な機械化が進んだ為に熟練の職人が

減ってパートさんがメインになった事や着物(絹物)に携わっていない事による

知識と経験が無くなって来ているので着物を専門業者に外注する事でますます

酷くなっています。

先日一般消費者やクリーニング業者に向けて

絹(シルク)とスレについて書いた下記の記事を書きましたので是非参考にして

頂けると幸いです。

2023年9月4日のブログ記事一覧-きものと洋服でお困りのあなたへ !! (goo.ne.jp)

2023年9月5日のブログ記事一覧-きものと洋服でお困りのあなたへ !! (goo.ne.jp)

 

このシルクブラウスはしみ抜き→水洗い→仕上げ(プレス)→色掛け(色修正・染色補正)

の順で作業をしていきます。どの作業も気が抜けない面倒な作業です。

まずはしみ抜き作業としては食べこぼしの除去ですが、調べるとしみが硬かったので蛋白質と

判断しましたので蛋白分解酵素剤を使用して蛋白質のしみを除去しました。

蛋白分解酵素剤は反応が遅くて放置時間が長いですが、しっかりと落とさないといけません。

次にクリーニング業者が使用した弱アルカリ洗剤とワイドハイター(酸化漂白剤)を使用した

弱アルカリ洗剤が残留していると経時変化で退色が進むので水洗いと薬剤を中和する為にサワー剤を

使用しました。

シルクブラウス(絽色無地生地)水洗い中

産地で染色後の水元(水洗い)が悪かったので色止め剤が入った洗剤で洗いましたが

余分な染料が多量に流れ出て来ました。

シルクブラウス(絽色無地生地)色止め後

余分な染料が大量に出て来たので、絹染で使用する色止め剤につけ込むとかなり色が止まりました。

洗い張りの経験が役に立ちます。

乾燥後に仕上げ(プレス)を行ってから脱色した部分を色掛け(色修正・染色補正)で

補正していきます。

シルクブラウス(絽色無地生地)前身頃 しみ抜き・ヤケ直し後

シルクブラウス(絽色無地生地)袖 しみ抜き・ヤケ直し後

シルクブラウス(絽色無地生地)衿リボン ヤケ直し後

シルクブラウス(絽色無地生地)前身頃 ヤケ直し後

シルクブラウス(絽色無地生地)前身頃・色掛け(色修正・染色補正)後

シルクブラウス(絽色無地生地)後身頃 しみ抜き・色掛け(色修正・染色補正)後

かなり濃い染料をを広範囲に吹き付けして補正しました。

手間が掛かって大変でしたが綺麗に補正が出来ました。

シルクブラウス(絽色無地生地)仕上げ後

綺麗に仕上がりました。

 

着物と洋服のお手入れは

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

〒062-0902

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

営業時間 9:00~18:00

休日 日曜・祝日

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp

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