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創業106周年きものと洋服のお手入れ専門店 一級染色技能士の仕事事例と日常生活

泉州生洗い本舗おくなが 三年間の修行時代3

2013年05月24日 | 山三 三ツ屋染舗について

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

しみ抜き作業と並行して丸洗いの洗い工程(ドライクリーニング)も行う様になりました。

洗い場には、石油系の洗い用の開放式のドライ機とゆすぎ用のドライ機が2台ありました。

前処理(別名下洗い、ブラシング)でワッシャー内の溶剤にて、衿、袖口、裾をブラシがけして

ドライ機に入れ洗います。 

洗い→脱液→ゆすぎ→脱液→乾燥 と二工程行っていました。

乾燥は一枚一枚竹の棒にかけ自然乾燥です。

自然乾燥   扇風機の風を当て乾燥(画像は当店乾燥場)

理由は乾燥機にかけると着物の型崩れや袋(八掛が縮む)になりかなりの狂いが起こる事

また蛋白質のしみが硬化して落ちにくくなるので乾燥は自然乾燥です。

乾燥を早める為の扇風機で風を当て換気扇にて換気していました。

 

しみ抜き作業も水処理に進みました。

クリーニング店等では、現在もマルセル石鹸を使用している所もありますが、

師匠はマルセル石鹸はアルカリ性が強く汚れ落ちが良いですが

スプレーガンではゆすぎづらい事と生地に残留すると

経時変化による黄変のリスク防止のため化粧石鹸を推奨していました。

化粧石鹸は100円位の物で充分でメーカーはといません。

確かに化粧石鹸で手洗いや洗顔しても肌荒れしませんので理にかなっています。

水処理を覚えて最初のハードルは、やはり輪じみです。

特にのりの強い胴裏です。

昭和40年代までは、非常に呉服業界も需要が多くて販売好調でした。

胴裏は、羽二重が多く生地の評価は目方で価値が決まります。

少ない絹に増量といってたっぷりの糊を含ましていました、

これがくせ者で後日、全体に黄変を生じます。また洗い張りをすると糊が取れ

薄っぺらな胴裏になります。

皆さん虫干しをしない為に胴裏が変色したと嘆いておりましたが、

この頃の胴裏はほとんどの物がそうです。

この糊はしみ抜き後霧吹きでぼかしても輪じみが生じ、なかなか輪じみを取れず一苦労しました。

今では三種類位のやり方を編み出し対処していますが、この増量胴裏にはほとほと泣かされました。

しみ抜き屋をしていると和裁士の方たちも胴裏にしみを付けたと来店されるので

ご苦労なさっている事が容易にわかります。

 

着物のしみ抜きやお手入れでお困りな方や

洋服のしみやメンテナンスでお困りな方は

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる

山三 三ツ屋染舗を是非ご用命下さい。

〒062-0902

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

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泉州生洗い本舗おくなが 三年間の修行時代2

2013年05月21日 | 山三 三ツ屋染舗について

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

修行が始まり、色々な作業も少しずつ慣れていきました。

スプレーガンの使用にも少しずつ慣れ、毎日エタンと言う有機溶剤を使用して

部分洗い(衿、袖口、裾)の作業を朝から晩まで続けました。

ある日、作業にしすぎで溶剤を使いすぎで酔った事もありました。

当時の作業場はあまり換気が良くなかった様に思います。

エタンは、現在環境問題(オゾンホールの破壊等)から使用が、1995年に製造と禁止になっています。

スプレーガンが少し上手に使えるようになったと思ったら

裾汚れの落ちが悪く裾洗いを師匠にもう一度裾洗いをしてもらうと、タオルにまだ汚れがまだつきました。

同じように作業をやっていても、私が作業しても70~80%しか落ちてなく師匠が作業をすると

90%以上落ちる。理由が分からずに作業が上手くいかず随分悩みました。悩んで悩んで悩み抜きました。

あともう一つしみ抜きをして、溶剤の濡れた所と濡れない所をスプレーガンで霧を吹きぼかしますが

輪じみ(輪どり)がつき、輪じみを直すのに、一苦労でした。

特に先織りの八掛(裾回し)は良く輪じみになります。

原因は

  1. 作業の遅さによる溶剤のぼかし前の乾燥                  
  2. 汚れや使用している助材(ソープ)分のゆすぎ不足
  3. 新反の時に使用する加工剤との相性の悪さ
  4. 丸洗い(ドライクリーニング)の溶剤管理の悪さによる生地全体の逆汚染

 等が考えられます。

一つ一つの原因追求と解決法の習得、反省 研究 模索 の毎日でした。

師匠の作業を見て覚え先輩の作業を盗み見していました。

「人の物を盗む事はいけない事だが、技術は盗んでもいいんだよ」 師匠に教えてもらいました。

当時は今ほど撥水加工(ガード加工)が普及しておらず、ドロハネのしみ抜きもたくさんありました。

ドロハネに助材(ソープ)を付け指先で揉みスプレーガンでドロハネを狙い落とします。

助材も現在ほど性能が良くなくて、とても落ちづらく苦労したましたが、

スプレーガンの使い方の習得にとても役に立ちました。

そういえば、師匠も講習で行っていた事が、部分洗いと泥はねしみ抜きでした。

 

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泉州生洗い本舗おくなが 三年間の修行時代1

2013年05月20日 | 山三 三ツ屋染舗について

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

高校時代何も目標や夢が持てずに三年間過ごしました。

唯一の思い出は、皆勤賞をもらい、褒めてもらった事が唯一の自慢です。

高校の将来の進路でとても悩み抜きましたが、家業の染屋を継ぐ事を決断しました。

高校を卒業して、まだ右も左も分からず、修行に行く事が決まりました。

祖母のアドバイスで大安吉日を選び昭和55年3月26日(水)に札幌を出立しました。

千歳空港に3~4人の友人が見送りに来てくれました。

生まれて初めて飛行機に乗りました。

大阪に近づくにつれ雲の中を飛行した為に飛行機がとても揺れましたが、あまり不安はありませんでした。

伊丹空港に着くと師匠のお兄さんがが迎えに来てくれました。

伊丹空港から店の車で、高速道路を街の景色を見ながら、

店のある岸和田に向かいました。

岸和田市は城下町で戦災に見舞われなっかので町並みは昔のままでした。

札幌に比べると道路がとても狭くとても驚きました。

秋田出身の先輩と青森出身の二人がいました。

同じ日に秋田出身の二つ年上の女性の方がいました。

店は師匠と師匠のお兄さんと弟さん三人がいました。

小さな店で7人で私の修行の第一歩が始まりました。

一番最初は先輩の作業の見学と、タオル洗いでした。

しみ抜きは、生地に付いている汚れや変色を補修する作業です。

作業にはスプレーガンを使用します。

タオルを敷その上にしみの有る着物を置き

スプレーガンでしみを処理していきます。

このスプレーガンを上手に使いこなすことが、最初の課題でした。

衿、袖口、裾の部分洗いと泥はねの処理をしてスプレーガンの特性を覚えました。

しみ抜きが終わると大量の汚れたタオルが出ます。

終業の一時間前に作業を終え200枚位の汚れたタオルを大きな袋に入れ、

自転車で400~500m先の師匠の自宅へ持ち帰り家庭用の洗濯機で洗い、タコ足のハンガーに

干す作業とたたむ作業がありました。いかに綺麗に早くたたむかを毎日考えていました。

今でも床屋さん等のたたんで積んであるタオルを見ると、「もう少し綺麗にたためよ」とツッコミたくなります。

汚れやしみをタオルに移し変える作業の為に毎日大量のタオル洗いが待っていました。

 

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しみ抜きの道具1

2013年05月20日 | コラム

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

現代は沢山のしみ抜き機(超音波しみ抜き機やスプレーガン)がありますが、

しみ抜きの道具は古く(戦前より昭和50年位まで)は画像の左側の二種類専用ブラシを使用していました。

名称はパッキンブラシ(水木)と言います。                                                                            

 

パッキンブラシ、タタキ棒 精密霧吹き 平コテ(上)

 

黒いブラシが馬毛、白がシュロ製ですシュロとはヤシ科の植物です。たわしの原材料です

真ん中はたたき棒で薬品を付け軽くたたく為の道具です。

パキンブラシを上手に生地を傷めずに使うのに、五年掛かると染色補正の本にのっていました。

右のガラス製の精密霧吹きで濡れたふちのぼかしに使います。

それ以前は、水を口に含みブーと言うかブワっと吹き出していました。

これも難しく、三年掛かるそうです。

他に上は平コテです。

薬品を反応させる為に使用したり、乾燥やアイロンの様に使います。

しみ抜き屋のことわざで「プープー三年水木が五年」と言うことわざがあるそうです。

 

その後昭和40年以降に超音波洗浄機が登場しました。

  

  超音波洗浄機(ソノフラッシュ)

ソノフラッシュの先端のコーンより毎秒2~3万回の超音波振動にて洗浄します。

超音波洗浄機はパッキンブラ(水木)に取って代わり、

現在は染色補正業や紋入れ業クリーニング業に広く使用されています。

 

もう一つはスプレーガンです。

スプレーガン(ユニスーパー)

スプレーガンはノズルの先端より溶剤又は水が高圧に出てきます。

生地を傷めない様にノズルを調整して生地に最適な圧力にて、使用しています。

使用のしかたにより生地ぬ目開き等、デメリットもありますが現在私自身は

スプレーガンを使用しています、

 

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山三 三ツ屋染舗の歴史5

2013年05月17日 | 山三 三ツ屋染舗について

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

両親とも仕事が忙しく、小学校高学年には、配達も経験しました。

洗い張り(水洗い)の作業終了後どうしても油しみや古い黄変しみは残ります。

お客様のご要望やこのしみ抜きが出来ればもう一度着れる事等で、

しみ抜き屋さんのお世話になります。

当時札幌には数件のしみぬき屋さんしかありませんでした。

呉服店 呉服問屋 クリーニング店 は皆、数件のしみ抜き屋さんに仕事が集中していました。

私も、そのしみ抜き屋さんに仕事を取りに行きました。

しみ抜き屋さんは、揮発油(ベンジン)やシンナーの匂いとすっぱい(酢酸)の匂いがしていました。

しみ抜き屋さんのおじさんは専用のブラシで上手に生地をこすってしみを落としていました。

最初はネルの生地にベンジンを付けこすっていました。

次にベンジン用の洗剤を付け専用ブラシでベンジンを付けこすっていました

トントントン、キュキュキュキュキュ、と音がします。

リズミカルな音です。

この音は、洗い張りの洗い作業をしている音と同じ音です。

ベンジンで取れない時はシンナーで取っていました。

次に取れない時は、別のブラシで石鹸を付け水をつけブラシでこすっていました。

それでも落ちない時は熱した平ゴテの上にさらしをのせ濡らし蒸気を発生させ薬品を付け

しみ落とし作業をしていました。最後にガラスの口吹きの霧吹きで濡れた回りをぼかして

平コテで上手に乾燥させていました。

脱色した時は仕上げに染料を筆や刷毛で色掛けを行っていました。

何度も行って作業を見ていたので、なんとなく次に何をするのか、分かりました。

高校三年の時、将来の進路を決める時、非常に迷いました。

あまり勉強が得意ではなかった事、手に職を付けたかった事等で

家業の店の後を継ぐ事を決心しました。

両親に相談した所、父は「修行に行き他人の飯を食べて来なさい。」と言われました。

母は「今どこの業者も困っているのはしみ抜きだから、しみ抜きの修行をしなさい」と言われました。

学校の就職の進路指導の先生では、探せないと思ったので、両親に探してもらいました。

方々探してもらいましたがなかなか見つからず困り果てていた所

縁が有り昭和55年3月26日(大安)に

大阪府岸和田市の泉州生洗い本舗おくなが、奥長昭治先生に弟子入りしました。

 

着物のお手入れでお困りな方は、

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