ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(49) 2005-11-14 | tale 8月の旧盆前から、ついに栄子の最期の時が近づいてきた。塗油の秘跡が例の日本人神父を呼んで行われた。信者として死を迎える以上、好悪を言うわけにもいかないのだ。集中治療室に移され、いよいよ今夜かという夜が何回となくあった。そのたびに医師や看護婦がざわざわと現われ、治療が行われ、持ち直す。 「もう、楽にしてあげて」という光子の声は家族、親族全員の気持ちを代弁していた。栄子の意識は混濁していたが、時 . . . 本文を読む