夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

平明なスラヴ音楽

2008-06-14 | music
 6/9にサントリーホールで行われた読売日響の名曲シリーズに行って来ました。プログラムはアレクサンドル・ラザレフ指揮で、ドヴォルザークの交響詩「真昼の魔女」、プロコフィエフの交響的物語「ピーターと狼」、ボロディンの交響曲第2番でした。

 会員になっている定期演奏会は別の用事があったので、翌週の月曜日に振り替えたんですが、座席は3月までの席とほぼ同じで、なじんだ場所から聴くことができました。スラヴ音楽の中でも平明なものを集めたプログラムと言っていいでしょう。ドヴォルザークだけがあまり知られていない曲だろうと思いますが、タイトルほどおどろおどろしい内容ではなく、中間部がちょっと不気味な感じがするだけでいかにもドヴォルザークらしい平穏無事な音楽です。聴いていたときはなぜこれを持ってきたのかピンと来なかったんですが、ボロディンの第1楽章と近縁性が感じられるもので納得しました。

 「ピーターと狼」には声優の伊倉一恵が語りで登場しました。「三つ目がとおる」の写楽役などをやっているそうですが、アニメっぽいいろんな声を出して、作品が作品ですからそれでどうこう言うこともないんですが、聴衆の年齢層には不似合いでした。指揮者は日本語がわからないだろうと思うのにナレーションとの呼吸がよく合っていたのには感心しました。音楽としては……まあ、この作品は登場人物と楽器(群)を一対一対応にしながら一応の音楽を作り上げたところに意味があるのかなって以前から思っていました。ラヴェルの「ボレロ」と同じようなワン・アイディアで出来た曲で、それだけに終盤にはダレてしまうような。

 後半のボロディンはとても好きな曲です。シンプルでかつ活気にあふれているところがいいんですが、その性格は第1、第4の両端楽章で顕著です。短いテーマを繰り返しながら盛り上げていくのはベートーヴェンの偉大な発明だろうと思いますが、それをフランス風の明澄さで処理した作品のように感じました。最終楽章はシャブリエの「スペイン」を想起させますが、ボロディンの作品の方が少し時期が早いようです。第2楽章のスケルツォはプレスティシモ、第3楽章もアダージョではなくアンダンテです。しかしながら性格はやや複雑で、翳りが感じられます。この辺が(十分には展開されることのなかった)彼のロシア的な側面なんだろうと思います。素材だけでロシアの香りがするなどというのはあまりに手擦れのした言い方でしょう。


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なんかいろんなものがあるサイトです。


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2 コメント

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あら (ぽけっと)
2008-06-23 22:25:51
夢さんがボロディンを好きなのは何となく意外な感じですね。
私は映画音みたいで好きだけど。
ボロディンって他のロシアのものみたいにどっか引っかかるところがなくて、すっと入ってくる感じがします。
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ええっー?! (夢のもつれ)
2008-06-25 15:08:29
そんなぁ。。って言うほどのこともないかな。ムソルグスキーが好きですからねw。

科学者で西欧的なんて通りいっぺんの説明は好きじゃないですが、この曲とか弦楽四重奏曲(これも第2番が有名ですけど)を聴いてると否定しがたいですね。
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