夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

昔と今のリンク~1974-75年:あの日に帰りたい?

2005-07-05 | review

 74、75年について、政治で言うと田中角栄首相が74年の10月に出た「文藝春秋」の立花隆の「田中角栄研究――その金脈と人脈」をきっかけにして、あっという間にスキャンダルにまみれて、12月には退陣に追い込まれ、三木内閣ができます。逮捕は76年ですが。三木さんって本来、首相になるはずのない小派閥の人だったこともあって、悪いことはしなかったけど、いいこともしない。要はなんもしない、田中さんのアンチテーゼでしかない人でした。でも、戦後の首相として初めて靖国神社を参拝したんですって、「私人」として。この人らしいような。

 時を同じくしてアメリカでもウォーターゲート事件によって74年8月にニクソン大統領が辞任しています。国際的には75年には解放勢力という名の共産勢力が南ヴェトナムとカンボジアを占領していきます。ポル・ポト政権の遠因ですね。あとは、11月に第1回サミットがパリのランブイエで開かれたことですか。

 そうそう佐藤元首相が74年にノーベル平和賞を受賞しています。国内的にはノーベル賞の権威を損なうとか、散々な言われ方をしましたけど、そんなの文学賞も同じようなもんでしょうにw。佐藤さんは翌年亡くなったので、運がいい人なのかも。

 社会的な事件としては、物語で書きましたが、74年8月にピアノの音がうるさいと団地の母子3人を刺殺した事件と三菱重工本社が爆破され、死者8人と負傷者250人以上の被害を出した事件が衝撃的でした。後者は過激派の暴力性が大量粛清で内向きになっていたのが外に向いたものだと言っていいと思いますが、両方ともたぶん無差別殺人というものに日本の社会が「慣れていく」きっかけになったと思います。

 ユリ・ゲラーを始めとする超能力ブームもこの年で、バカバカしいとわかっていてもテレビを見てしまった人も多いでしょうw。スプーンが曲がったり、時計が止まったりしたそうです。ストリーキングなんていうもっとバカみたいなのも流行りました。
 74年は「エクソシスト」、75年には「ジョーズ」が人気になって、どちらもその後のオカルト・ブームやパニック物の嚆矢でした。「ジョーズ」はUSJでまだ現役ですからご苦労さまですw。

 今や死語かもしれない歌謡曲について。74年は「襟裳岬」、「二人でお酒を」、「ひと夏の経験」、「あなた」、「精霊流し」、「なごり雪」で、75年は「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」、「シクラメンのかほり」、「岸壁の母」、「あの日にかえりたい」です。政治性をなくし、情緒性を前面に出した、ポスト・フォークと言うべき、いわゆるニューミュージックが隆盛し始めたんですね。やっぱり日本では叙事詩より叙情詩、恋歌のほうが人気があるんで、それは古代から変わりませんね。恋愛を扱ってないJ-POPって何曲ご存知です?

 マンガでは、74年の「がきデカ」、「釣りキチ三平」、75年の「ゴルゴ13」、「夕焼けの詩」ですって。「がきデカ」ってすごい人気だったんですよ。みんな「死刑!」とかやってましたから。「ベルばら」が宝塚で人気を博したのもこの頃です。……ゴルゴってもっと前からと思ってました。最終回はもう描いてあって、さいとうプロの金庫にしまってあるなんて話を聞いたことがありますけど、どうなんでしょうね。内容を予想したサイトがあるような気がしますが、もう描いてあるってことは時事ネタではないんでしょうし、時代が変化してもだいじょうぶなものでなくてはいけませんから、ゴルゴのルーツものなのかなぁ。最近は年齢の辻褄が合わないからやらないらしいですけど。死に瀕したゴルゴが回想するスタイルでなんてどうです? バックにはユーミンの曲が……なんてねw。


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4 コメント

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自我の形成時。。 (hippocampi)
2005-07-05 22:07:50
知っているような知らないような、聞いたことがあるようなないような…。まだ「荒井」!

教科書にはのってなかったし、かといって新聞を読んだりできる年でもなかったので抜け落ちた日本の歴史、という感じです。大変勉強になりました。
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ユーミンと日本社会w (夢のもつれ)
2005-07-05 23:21:53
ユーミンは、その絶頂期に自分の音楽が流行しなくなるのは日本の社会が変わるときだと言ったそうです。その後のバブル崩壊とほぼ時を同じくしてユーミンの時代も終わったので、予言は当たったと言えるでしょう。って言うかw、ユーミンの曲が体現していた価値観、ライフスタイルがバブリーなものだったのでしょう。

でも、そんなふうに時代とクロスして語れるだけ彼女はすごいと思いますけど。
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こんばんは (クラシカルな某)
2005-07-06 21:02:57
 漫画は、ギャグ漫画もそうでないものも、なぜかあまり好きでなかったのですが、「がきデカ」は手放しで面白かったですね。ほかに、「男おいどん」なども好きでしたが。



 山上たつひこ氏は「がきデカ」以外に多数の作品を残しているようですが、「あるぷす犬坊」というのもあって、あれにも笑った記憶が・・・。



 確か「がきデカ」のストーリーに・・・レコード盤の溝を見るだけでその音楽が分かるという、そういう特技が身についてしまうというのがありました。盤を食い入るように見つめて、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」の歌を読みとるといった場面があったかと・・・あの歌も75年くらいのヒットでした。



 写真の「荒井由実」名も懐かしく思いました。







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太田裕美さんw (夢のもつれ)
2005-07-06 22:57:13
なつかしい名前ですね。。。今で言う萌え系のファンが多かったような気がします。あと、あべ静江さんとか。



山上たつひこ氏は知る人ぞ知る悪夢のような未来を描いた「光る海」で、出会ったような気がします。当時は「がきデカ」との落差に理解不能でしたが、今になってみれば彼の中ではちゃんとつながりがあったのかなと思います。
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