キューブリックの「ロリータ」とニール・ジョーダンの「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」を見ました。もう返却しちゃったし、次のも見始めているので、忘れないうちに簡単に書いておきます。
そういうつもりもなかったんですが、この2本の映画はロリコンっぽい映画です。前者は元祖ナボコフが脚本を書いていますが、62年の公開当時の「良識」に配慮したものになっていて、ピーター・セラーズ演じるクレア・キルティの方がよほど異常さを感じます。まあ、そこが(キューブリックのその後の作品とは違って)かなりゆるい感じがするこの映画を救っているんですが。
後者は少女のままで永遠に成長しない吸血鬼というテーマ自体がそれっぽい感じですし、クローディア役のキルスティン・ダンストは魅力的ですが、それにしては彼女自身の苦悩の描き方が不十分だと思いました。時間そのものを描く「ポーの一族」の作者のような天才性が脚本家になかったと言ってしまえばそれまでですが。
両方ともいわゆる倒叙法で描かれていて、ロリータを奪われるんじゃないかというハンバートの不安が妄想ではないことやブラッド・ピット演じるルイが現代まで生き続けることが予め保証されているんですが、それが安心感につながるか、サスペンスの不足につながるかは見る人によるでしょう。
「ロリータ」には60年代のアメリカの様々な風俗――upper-middleの住居やダンスパーティや長距離ドライヴや病院が出てきて、日本の同時代と同じようななつかしさを感じました。「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」はアメリカ独立直前のニューオーリンズの上流階級の退廃的な生活がゴシック・ロマン的なお話によく合っているようでした。ポオが詩や小説で描いたのはこんな感じかなって思って見ていたら、セリフの中にちょこっとポオの名前が出てきたのでなんだかうれしくなりました。
萩尾さんのマンガの表記は「ポー」なんですが、私の趣味としてはPoeは「ポオ」なんですよね。。
ポーとポオが出てきて一瞬、ん?と思いましたw