チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

もっと光を

2004年09月25日 00時51分19秒 | Weblog
近頃はすっかり暗くなりました。

8月12日に来たときは、朝も早くから明るかったし、夜も9時ごろになってようやく真っ暗という感じでした。ところが今は、日の出が7時15分ごろ、日没は19時20分ごろなので、朝6時半に起きるとまだ真っ暗です。夜もさっさと暗くなる感じがします。この暗さが、次第に増してくる寒さと併せて、何となく落ち込んだような気分を醸し出してくれるわけです。

外も暗いけど、家の中も暗い。こちらの照明は、自宅の場合は白熱電球がほとんどです(今回の住居は台所にのみ蛍光灯を使っていますが、スイスで蛍光灯のある家に住んだのは初めてです)。白熱球の光は確かに暖かみがあって、味わいのある雰囲気ではありますが、日本の蛍光灯に慣れた身には暗く感じます。卓上のライトも、日本に比べれば暗いので、目が悪くなりそうです。実際、こっちに来てから遠くの物が見えにくくなったような気がします(ということは老眼ではないわけだ)。暗い中で、テーブルの真上にある白熱電球だけつけて朝食をすると、何となく寂しいような……。

どうやら、白人の目は我々の目よりも光をたくさん通すようで、我々よりも明るく感じているらしいのです。はじめてスイスに来て、語学コースに参加していたとき、電気もつけない暗い教室で授業をするので閉口した経験を思い出します(妻も語学クラスで同じ経験をしたそうです。暗いので電灯をつけたら先生に消されたそうな)。白人がサングラスをよくしているのも同じ理由によるようです。我々なら平気な明るさでも、白人の目には辛いのでしょう。しかし逆に言えば、白人には平気な暗さでも、我々には辛いわけです。

ついでながら、スイスの白熱電球はよく切れる。ここに住み始めてまだひと月半なのに、すでに5個くらい電球が切れました。電圧が高いとよく切れるのか、それともわざとそういう製品を作っているのか(たくさん売るため?)、とにかく予備を常に持っておく必要があります。

冬になると、一日中どんよりとした天気という日が多くなります。加えて、日の出はどんどん遅くなり、日没は早くなる。気温ももちろん低くなる。最初に留学で来た1991年の秋を思い出します。ドイツ語はうまく出来ない、知り合いも少ない、生活に慣れないで、イヤ~な気分の毎日でした。この気候と暗さがその重い雰囲気にひと役かっていたことは確かです。留学でヨーロッパに来た人はたいてい秋に来るので、多かれ少なかれ、同じような雰囲気を味わっているのではないでしょうか。これが春だったら、気分もかなり違うでしょうに。なぜヨーロッパの大学は秋に始まるのか?

10月の末(最終日曜だったか?)に夏時間が終わり、時間を1時間戻します。そのときは、朝の7時が6時になるわけで、明るさをちょっとだけ取り戻せるのですが、夕方はそれだけ早く暗くなるわけです。

白熱電球の照明にもすっかり慣れて、その下で本を読んだりパソコンをしたりという毎日ですが、来年の帰国時にはメガネを新調する必要があるかもしれません。ろうそくの光を思わせる暖かい白熱電球ではありますが、やっぱり言いたい。「もっと光を」。

*写真は、これまたマイエンフェルトで撮ったものです。民家の壁に描かれていた絵で、下には「人生に Ja、ワインに Ja と言いなさい。そうすれば幸せになれる」と書かれています。ワインの産地マイエンフェルトらしい格言です。