チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

人件費の高い国

2004年10月18日 05時21分51秒 | Weblog
一昨日のこと、外出先から夕方戻ったら、郵便配達のお兄さんが家の前にいました。

僕の顔を見ると「ヘル・チュイ?」(Herr Tsuji をスイス人はこう発音する)と聞くので、そうだと答えると、うちの息子宛の国際スピード郵便(EMS)を持ってきてくれていたのでした。

うちが留守だったので、中央局に持って帰ろうと、配達通知をポストに入れたちょうどそのときに僕が帰ってきたというわけです。(スピード郵便なんだから、そのまま郵便受けに入れてくれた方が「スピード」が出るだろうに。)運良く、局に持ち帰られる寸前のところで受け取れたわけです。

破棄しておいてくれと言われた、ポストの中の配達通知を見てびっくり。再配達の際には手数料が10フラン(約900円)かかると書いてあったからです。唖然としました。日本では決して考えられない話です。

妻が言うには、きっとこれも人件費なんだとのこと。そうだろうなぁと思いました。なにしろスイスってところは、人件費がやたらに高いのです。物価が高い理由の一つはきっとこれです。人間を使うと高くつく。手数料・手間賃の類が異常に高いのです。

スイス鉄道(SBB)は旅行業者のようなサービスもしているのですが(鉄道に乗らせるために、ホテルや催し物と鉄道料金をセットにしたパックを種々出している)、そのオフィスで旅行のアレンジをしてもらうと、1回につき手数料が40フラン(3600円くらい)かかります。以前はこんな手数料はなかったような気がするのですが、自分のところが出しているプランを利用してもらうのに手数料を、しかもこんな高額な手数料を取るなんて、ちょっと信じられない気持ちです。アレンジをしてくれる人を「使った」わけだから、その人件費が発生するということでしょう。

スイスのタクシーが高いのも同じ理由じゃないかと思います。チューリヒ中央駅から我が家まで、10数分タクシーに乗っただけで2000円くらい取られました。日本のタクシーなら1000円程度で行きそうな距離です。やっぱり運転手を「使った」人件費でしょう。バカらしい感じがするので、よっぽどの理由がないとタクシーに乗ることはありません。トラム・バス網が充実しているので、それほど困りませんし。

ピアノやバイオリンを個人レッスンで習うのも、日本よりずいぶん高価につくようです(もちろん、日本でも高価につく場合は多々あるわけですが。平均的に、ということで)。パソコンのトラブル解決をお手伝いします、電話1本で参ります、という広告が数日前に郵便ポストに入っていましたが、ちょっと呼ぶ気になれない料金が書いてありました(その広告を捨ててしまったので、正確な金額は最早わからないのですが。呼ぶことはたぶん、いやきっと、いやいや絶対にないでしょう。)

この前、ミグロの魚売り場でサーモンの切り身を買ったのですが、このサーモンも(他の魚もですが)、皮付きと皮なしだと値段が違います。もちろん皮なしの方が高いわけで、つまりは、皮を取ってくれる手数料が加算されているわけです。ミグロの人を使わず、自分でやったほうが安くつく。ジーンズの裾上げなどさせようものなら、ジーンズそのものの値段と同じくらいの手間賃を取られます。配達料にいたっては、信じられないくらいの額です。かつて、カーペットにベビーダンス、子どもの大きなおもちゃなど、日本なら確実に配達してもらうであろう品物を自分で抱えてバスに乗ったことが何度あったか。

EU諸国からスイスに労働者がたくさん来ているそうですが(許可が取りやすいそうで)、スイスで働けば賃金が高いとなれば、それも道理でしょう。