風邪の怠さに僕は布団へ潜った夜明け前。
休暇でもとろう、と決断しガバッと布団を捲って起きた。
「立冬の朝に営業してみたの」の文字。
僕は寝惚けているのだろうか?
「銀河食堂」現る、あの小料理屋だ。
寝ぐせ寝巻のままガラリ。
何?また風邪?腎臓また悪くなってるの?大変ね~。
休暇とるから寝るんです。
そう、花まる味噌汁のんで。新作なのよ。
花まる?
ゆで卵を味噌汁にいれたら、御花の様で、ふふっ。女将は恥ずかしそうに笑った。
新作というか、毎度、初めてシリーズだよね?
そう!初めてつくって、今命名した「花まる味噌汁」なの。
へぇ、頂きます。
こわい?腎臓が。きらい?冬が。更に今日は憂鬱?
急に真顔で放った言葉の女将が怖い。
灰色な冬が来ても、桃色の空が時々あるの。女将の顔が戻る。
ん?
みつけてよ、ふふっ。
花まるな日を?
そっ!夜が明けるわ!立冬よ!花まるな一日をっ!ふふふふっ。
女将のその笑いと真っ白なエプロンが僕の前をサーッと煽る。
気がつくとベランダにいて桃色な朝空が迎えている。
花まる味噌汁ねぇ、、、女将を楽観的な人と考える。
憂鬱さ、そんな簡単に抜けないよ、僕は桃色空に、あっかんべーをする。