母は知らない
私の俯く顔を見つめすぎていることを
母は知らない
瞳を閉じそうで閉じない私を眺めすぎていることを
母は知らない
寝そうで寝ない私が気になりすぎていることを
母は知らない
本当は私は眠ろうとしていないことを
母は知らない
実は私が母を眠られせてあげていることを
母は知らない
母は私を眺めすぎて草臥れ目を閉じてゆくことを
母は知らない
母が眠ったのを確認し私はそっと離れ寝床についていることを
母は鈍いがやっと知ってしまった
私が母の睡眠誘発剤だということを
だから書きとめているようだが心で認めていないらしい