母が台所で叫んでいる。
うん!うん!意外と美味しいよー!ねぇっ!ねぇーっ!ブナーッ!シメジージー!!
私たちは即座に母のもとへ行き、亡くなった姉の好きなシーチキンの汁を舐める。
母はシーチキンが苦手だけどピコピコ姉の為、注文していたのだ。
先週15日にシーチキン注文。1週間後の昨日シーチキンが届いた。
あ、そっか。と母の独り言がはじまっていた。
注文して次の日にピコピコ姉は亡くなったのだ。
あ、そっか。とは日付を思いだし、事の全てを把握したのだろう。
それから母のシーチキンの缶を開ける音がした。
食べるつもりなの?!と私たちは隣の部屋で料理の音をきいていた。
それから母が叫び私たちを呼んだので台所へ急行したのだ。
母はシーチキン炒飯を複雑そうに食べている。
思いに耽ったり、苦手なので手をとめたり、隣にシーチキンの汁を器に入れている。
呼ばれたのはシーチキンの汁のまない?と同時に母が食べながら横に居て欲しいという合図だ。
ピコピコ姉はシーチキン汁は好きだったろうけど、私たちは2匹ですら飲みほそうと思わない。
これから残ったシーチキン缶で暫く母は苦戦するだろう。
その度、私たちも母の世話にかかりっきりになる。
因みに母は夜シーチキンパスタをつくっていた。
食べながら昨日ここで泣いたのと夕陽をみせてくれた。
私たちが来る前の写真。ピコピコ姉も母も若い。
ピコピコ姉の主食は生魚、鳥捕獲、蜥蜴、鼠、家守を完食したのちカリカリを食べるのが日課だったらしい。
母がアレコレ買ってきていたのだが「野性なので生が一番!」とピコピコ姉が譲らなかったらしい。
それを「野性の母に産んでもらって家でぬくぬく育ったら野性でないわよ!」とよく喧嘩していたという。
2000年誕生。
「獲れたて生鰯の大きくブツ切り」をと注文。
食べ物と格闘後は直ぐ眠る。
左:ピコピコと兄弟。右:生みの親
生みの親は数か月後逝去。
生みの親に託され母になりたての母。