月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

娘之写真

2013年03月23日 21時33分39秒 | 仏々相念(住職日記)

これ・・・

 

ご縁をいただきお参りになられたご門徒。

お母さんは法要には必ずお参り下さっていたお方でした。

ここ何年かはお身体を悪くされお参りが叶わなくなりました。

そんな方の娘さんがお参り下さったのです。

 

自坊に帰るともうお参りになられていました。

「すいませ~ん、ようお参り下さいまし~た。」

って、挨拶するなり、

「これあげます。」ってニコニコ微笑まれながら出してくださった数枚の写真。

 

そこには愛しき娘の幼少の頃の姿。

法要の時に御衣御袈裟を着けさせていただいて出勤させていただいたのでしょう。

お参りくださっている方々に向かって挨拶している写真・・・

大好きなママにベッタリ寄りかかりながらVサイン・・・

そして、合掌している姿・・・

予想していない懐かしい写真に思わず、「可愛い~」ってつぶやいていました。

親バカです、コイツ。

 

大きくならせていただいています。

当時と変わらずの表情・・・

「なんちゃ、変わってな~い・・・」

 

そこには若かりしコイツの姿も・・・

かみ黒々でして・・・

「お~、若いね~!染めたらちっとは違うかな~・・・」なんて笑ったことです。

 

時、流れています・・・

間違いなく・・・

 

大切にさせていただきます。


涙之仕事

2013年03月23日 20時09分58秒 | 仏々相念(住職日記)

その瞳の中に・・・

 

一年の歩みを振り返ります。

「この一年、あっという間でした・・・」

見つめなければならない現実を他に置いといて過ごしていました。

バタバタと忙しく・・・

今になって寂しさが・・・

 

凄い人だったんだと・・・

偉大な人だったんだと・・・

いいことばっかりが思い出されます。

 

生前中は、怒ってばっかりだったのに、

もっと違う接し方があったのかも・・・

って、涙を浮かべつつ微笑まれる。

 

あ~、今も尚寂しさの中で耐えておられるのだと感じました。

 

「一年前はこんなになるなんて思ってもなかった・・・」

穏やかで、優しく、そして賑やかな空気。

切ないご縁でしたので不安があったのでしょう。

 

この一年の間、

ジッとお立ちの阿弥陀さまの前に向かわれ寂しさと向かい合う・・・

父が握ったハンドルを握りしめながら辛さと向き合う・・・

大切な人を亡くし涙する方に自分を重ねつつ向き合う・・・

そんな時間が流れたのでしょうか・・・

今日のひと日は優しき温もりが包み込んでいました。

 

そんな中にコイツも混ぜていただきます。

我が子のように・・・

我がきょうだいのように接してくださいます。

ざっくばらんに・・・

 

どの方もどの方も優しく接してくださる。

大好きなモノを忘れてくださらずに至れり尽くせり。

 

「プリンセス・プリンセスの東京ドーム、どうでしたか?」

お盆の時のご縁でしたでしょうか、ご夫妻で行かれることを聞いていました。

思い出したコイツは、思い出したように訊くのです。

「行ってきました!アリーナ席の20列目ほどで観てきました!真ん前で・・・」ってご主人。

「もう、ノリノリでした~」って奥さん。

ライブ、いいですよね~

コイツも大好きです!

やっぱ、生でしょう!!!

 

こんな感じで和気藹々と時が流れます。

 

お参りされた中には4000を超える体重で生まれたビッグベビーも・・・

お姉ちゃんがしっかりと面倒を見ているのにびっくりしました。

重たい弟を上手に抱っこしたりあやしたり・・・

でも、途中で慣れない雰囲気にちょっと愚図ります。

その泣き声聞くなり、

「あ~、この声を聞くと安心する。泣くことが仕事だもんね。」ってお参りになられた方の一言。

「あ~、そうか・・・」っていろいろと思わせていただいたことです。

 

赤ちゃんは泣くことによって意思表示をします。

お腹が空いた~・・・

オムツが汚れた~・・・

眠たいよ~・・・

その泣く声を聞きつつ安心するのです。

生きているんだと・・・

お前の人生を支えていこう!

そこに喜びを見ながら・・・

 

でも、親も一生懸命です、

辛さ、しんどさを抱えながらも泣き声を聞くのです。

私が抱きしめなかったら・・・って愛しき温もりを感じつつ安心するのでしょう。

 

って、コイツは聞かせていただいたのです。

 

コイツの人生も泣くことばかり。

赤ちゃんのように可愛くもなく悍ましさすら漂う感じですが、

いまだに・・・

この年になっても何ら変わりません。

自分の欲望抱えて右往左往・・・

儘ならん現実に涙する。

恥ずかしき人生。

 

生きるということの為に一生懸命になっているコイツ。

オレがワシがとどこまでも生きているコイツ。

こんなコイツの人生を「尊いいのち」と抱きしめて下さる阿弥陀さま。

そんな温もりから逃げるコイツの背中から追いかけて追いかけて抱きしめて下さる阿弥陀さま。

あなたもやっぱりコイツの泣き声聞いてジッとしておれないのでしょう・・・

支えずにはおかない・・・

必ず救うまかせよと・・・

おはたらきくださる。

 

目に涙いっぱい潤ませながら生き抜いてくれよと・・・

口に微笑を浮かべながら支えているよとおはたらきくださる。

 

そんな瞳に・・・

申し訳ありませんと慚愧するコイツ。

ほれぼれと手を合わさせていただくコイツ。

 

 

さあ、失礼します・・・

そうご挨拶して外へ・・・

すると皆さんがお見送りしてくださいます。

「どうぞ休まれて下さ~い」って言うものの出て来てくださる皆さんの微笑が有難い。

「ニコニコ車、見ようね~」って娘さん親子の会話。

「あ~~~、すいませ~ん・・・今日、代車なんです。ちょっと入院してまして・・・」

「あ~、残念やったね~。また、きっと直って来てくれるよ!」

「ハイ!必ず復活しますから!!!」

有難いことです・・・

ニコニコまでも案じて下さいました。

 

温か~い眼差しの中でしあわせです、コイツ。