ひろひろの生活日記(LIFE Of HIROHIRO)

パソコン講習とソフト開発をしています。自作小説も掲載しています。ネット情報発信基地(上野博隆)Hirotaka Ueno

闇と光の慈愛のコントラスト(93)-新たな時(006)解き伏せの儀-

2021年01月25日 09時14分27秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(93)新たな時
==第二章、闇と光==


--新たな時(006)解き伏せの儀--

襲(おそ)い掛かる闇のもに向かって、
アクティスは、呪文(じゅもん)を唱えだす。
「ナム ヤミニ オワク ヒソム
 ノロイヲ ウケシ ヤカラ
 トキヲ トメシ アワレキモノ
 イマ シズケサヲ アタエレキカ」
闇の者の動きは止まった。

今度は、歌いだす。
「愛の定めを忘れしか。
 愛する家族を求めしか。
 故郷の夢を見んか。
 呪いを解かん。
 血の縁によって、
 今は、静かに眠れ。
 お眠りなさい」
闇の者は、静かに眠った。
アクティスの声は、透き通っていた。

「サンディア。血の縁をお願い」
サンディアは、指の傷を力を入れ開く。
そして、血を闇の者の口に垂(た)らす。
「ジュワ。ジュゥュァ」
体は、青く光る。
人の姿に変わった。
「うぅぅぅ」
闇の者は、目を薄っすらと開ける。
「正気に戻れたのか?
 私は、今まで何をしてたのか?
 アクティス様。
 アクティス様では、ありませんか?
 無事だったのですか?」
目の前にアクティスがいた。
魔族の者は正気を取り戻した。

「レイナ。
 良かった。
 今は、静かに休みなさい」
アクティスは、レイナを労(ねぎら)う。
レイナは、再び眠りに落ちる。
このまま外に寝かすわけにはいかない。
サンディアとエンビは、レイナを奥に運んだ。
アイリスは、藁(わら)を敷いた。
そして、布を被せて寝かせた。

レイナは、呪いをかけられて以来、
目をギンギンに光らせ興奮し、
狂ったように森を走り叫びさ迷い回っていた。

(よっぽど疲れていたのね)
アイリスは、闇の友を早く救わねばと思った。

つづく。 次回(惑わし光の民)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #解き伏せの儀

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闇と光の慈愛のコントラスト(92)新たな時

2021年01月16日 19時50分10秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(92)新たな時
==第二章、闇と光==


--新たな時(005)魔寄せの儀式--

アクテイスは、「何がしらの薬草と花を取りに行く」と言い残し外へ出て行った。
暫くして帰ってくると入口にあった石を拾い、取ってきた葉をこすり付けた。
そして、宙に舞い、
入り口の天井にその石を張り付けて、
石を握った手に力を入れる。
石は、真っ赤に燃えだす。
そこに桔梗(ききょう)の様な数本の青い花を挿した。
すると、それは香りを出した。
アクティスは、呪文を口ずさむ。
「アガ ナヤ ヤガナビ ダティ」
それは、甘酸っぱい香りに変わった。
「これは、何の匂いですか?」
そこにサンディアが何の香りかと、洞窟の入り口に出てきた。
「魔寄せの花です。
 闇の民の本能を刺激します。
 闇の民を集めるためのものです」
アクティスは、説明した。

「この匂いで光の民に居場所がばれることはありませんか?」
サンディアは、少し心配になった。
「村からこれだけ離れていればぢ丈夫です。
 それに花の香りとしか思いません」
アクティスは、付け加えて何とかサンディアの心配を取り除こうとした。
サンディアは、少し安心した。
「呪いを掛けられ本能で動いている闇の民を集めるためです。
 普通のもにはたわいもない花の香りとしか感じません」
アクティスは、言い切った。
サンディアは、他の者に知らせに行った。
と言ってもアイリスしかいない。
エンビは、定例の光の民の偵察(ていさつ)に出ていた。
アクティスは、農作業に精を出した。
岩を耕し、湧き水を畑に引いた。
サンディアは、養分の高い土を山から運んでいた。
2人は、農作業に熱中していた。
「ギャァア」
エンビの叫ぶ声である。
アクティスとサンディアは、驚き慌てて入り口に向かった。
闇の姿に変わった闇の民が牙を剥(む)いてエンビに立ちふさがっていた。

つづく。 次回(解き伏せの儀)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #魔寄せの儀式

 

 

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闇と光の慈愛のコントラスト(91)新たな時

2021年01月06日 10時49分06秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(91)新たな時
==第二章、闇と光==


--新たな時(004)光の未来②--

「アイリス。生きていて良かった。
 アイリスを助けてくれたエンビも。
 ありがとう。」
アクティスは、本当に感謝した。
「アクティス。あなたこそ無事でよかった」
アイリスも、闇の民が居ることに感謝した。
自分のせいで闇の民は全滅したと思っていたからだ。
「私は、済んでのところでお爺様(おじいさま)が逃がしてくれたのです。
 他にも逃げた者はいます。
 しかし、呪いをかけられています。
 イリノイスは、あの場にいた全ての闇の民に呪いをかけました。
 呪いをかけられた民を救わなくてはなりません」
「私も協力します。
 エンビもありごとう。
 イリノイスだけは、許せない」
アイリスは、声を震わせた。
「私も協力します」
エンビもサンディアも頷(うなず)いた。
「隠れるにはもってこいの場所です。
 この洞窟を拠点にしましよう」
洞窟は、複雑に分かれ相当奥まで連なっていた。
アクテイスたちは、光を手から出し照らしながら違う洞窟の奥に進んだ。
行き止まりで止まる。
アクテイスは、両手で何かを包む仕草をする。
包まれた空間には、手を握ったくらいの石があり闇が集まりだした。
やがて、光だした。
天井に放り投げる。
天井に着く済んでで止まる。
それは、太陽の様に燃えだしていた。

次に、アクテイスは、地面に両手を当てた。
地面が振動する。
「だ だ だ だぁぁあん」
地面が細かい土に変わった。
「サンディア。畑にまく種を取って来て」
「分かった」
サンディアは、次元移動して一瞬で種を持ってきた。
合わせて道具も持ってきた。
「さあ。ここが私たちの住むところよ」
4人の新たな未来がここから始まる。

つづく。 次回(光の未来③)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #光の未来

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闇と光の慈愛のコントラスト(90)新たな時

2020年12月18日 18時37分35秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(90)新たな時
==第二章、闇と光==


--新たな時(003)光の未来①--

「アイリス。大丈夫?」
エンビは、ビックリした。
「あなたは、誰ですか?」
「アクティスと言います。
 闇の種族の生き残りです。
 アイリスを救ってくださって礼を言います」
アクティスは、エンビを安心させようとゆっくり答えた。
「あなたは?」
「エンビと言います。
 私がアイリスを誘ったばかりに
 こういうことが起きてしまいました。
 私が悪いのです」
アイリスの肌は、血が止まっていたものの蚯蚓(みみず)腫(ば)れが波打ち爛(ただ)れていた。
アイリスは、呪いをかけられていた。
「この縄は何ですか?」
「夜に成ると暴れるので縄で縛(しば)っています」
エンビは、誤解がないように答えた。
「呪い?」
アクテイスは、その呪いを解く方法を必死で考える。
(イリノイス。光の呪い。そうだ。
 光の神の血ならば、呪いを解くことが出来るかもしれない)
「サンディア。あなたの血をください」
アクティスは、徐(おもむろ)にサンディアに頼んだ。
「俺の血を?」
「それで、呪いが解けるかもしれないの。
 お願い」
「そうか、良いよ」
サンディアは、躊躇(ちゅうちょ)なく持っていた短剣で左の手のひらに傷をつけた。
「私が、まず、試してみます」
アクテイスが、膝をつき腰を屈め口を開けた。
サンディアは、左手を握りアクテイスの口に血を垂らした。
アクティスは、ゴクっと飲んだ。
体中が熱くなる。
「ジュアワァ」
青い光がアクテイスを包み、そして、その光宝石のような球に成り飛び出す。
そして、サンディアの額に着いた。
サンディアの額に青い宝石が浮かび上がる。
サンディアの体も黄白(こうはく)の光に包まれる。
宝石の球が今度はアクテイスの額に着く。

「僕もアクティスの血を飲むよ」

「まず、あなたの血をアイリスに飲まさないと」

サンディアは、アイリスの口元に手をかざした。
指から血が滴りアイリスの唇に落ちる。
そして、口の中に沁(し)みこんでゆく。
アイリスの呪いが解けていく。腫(は)れが収まり奇麗な肌が現れる。
アイリスの瞼(まぶた)が薄(うす)らと開く。
光に包まれる。
肉片が現れる。
その肉片はゆらゆらと宙を舞う。
そして、サンディアの腕に肉片が着いた。
4人に落ち着いてる暇はない。
誰に襲われるか分からない。
「もっと奥に行かないと」
アクティスは、焚火(たきび)から松明を取った。
そして、焚火を足で消した。
洞窟をもっと奥へと進む。
エンビもアイリスもサンディアも後に続く。
そして、行き止まりに着いた。
アクティスは、岩を拾い天井の壁に押し当てた。
岩は、天井に張り付き燃えて光だした。

つづく。 次回(光の未来②)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #光の未来

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闇と光の慈愛のコントラスト(89)新たな時

2020年12月07日 15時05分03秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(89)新たな時
==第二章、闇と光==


--新たな時(002)闇の担い手②--

-時を戻そう-

闇の種族の村が焼かれている。
総出で村を襲いに行ったみたいである。
アイリスは、十字架につるされている。
周りには、誰もいない。
そう確認するとエンビは、十字架を登った。
エンビは、アイリスの胴体を綱(なわ)で十字架に巻いて結び付けた。
そして、楔(くさび)を抜く。
アイリスは、気を失い、血を流しぐったりしている。
エンビは、必死で楔を抜いた。
そして、綱を自分に巻き直した。
そして、ゆっくり降りる。
(重い。これは、命の重さだ)
エンビは、降りるとアイリスを背中に担(かつぎ)ぎなおした。
草原の向こうの民家は、赤く燃えていた。
エンビは、そそくさと十字架を降りると森に入っていった。
(見つからずにすんだ)
森を東へ急ぐ。いや、東かは、分からない。
光の村から反対に逃げたかった。
とにかく見つからないように遠くに逃げるのだ。
どこをどう歩いたか分からない。
切り立った崖の下に着いた。
ぽっかり穴が開いている。
「洞窟だ」
エンビは、洞窟を少し入ったところにアイリスを降ろした。
そして、水と木を集めに行った。

水を木の葉に入れて運んできた。
そっとアイリスの口に運ぶ。
アイリスは、「ゴクッ」と喉が動く。
そして、薄目を開ける。
「エ エ ェンビなの」
また、気を失う。
(生きている。良かった)
何度も往復した。
木を擦り火をつける。
薬草を傷口に貼る。
やらねばならないことは、一杯ある。

(もっと、洞窟の奥に入らないと)
エンビは、松明(たいまつ)を作り奥へ進んだ。


-そして、時は重なる-

アクティスは、再開を喜んだ。アイリスは、唯一の生き残りである。
「アイリスを助けてくれてありがとう」

つづく。 次回(光の未来)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #闇の担い手

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闇と光の慈愛のコントラスト(88)新たな時

2020年12月04日 20時33分01秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(88)新たな時
==第二章、闇と光==


--新たな時(001)闇の担い手①--


「お世話になりました」
アクティスは、イリスに挨拶した。
「じゃあ。行きますか」
サンディアは、合図する。
アクティスは、相槌(あいづち)し頷(うなず)く。
手を取りサンディアのサークルに入る。
周りの景色が深い緑に変わってゆく。
次元移動した。
アクティスは、サンディアの手を引っ張りサークルから出した。
2人は、森の中に出る。

「村にもっと近づくんだ」

草原の境目(さかいめ)まで進む。
遠くに田園が見える。
田園が近づいてくる。
(もう、闇の民は、何処にもいない)
アクティスは、嘆(なげ)いた。涙が出る。止まらない。
「村まで行きましょ。
 村がどうなったか知りたいの」
アクティスは、懇願(こんがん)した。
「分かった。
 行こう。
 でも、用心してなきゃだめだよ」
サンディアは、注意しながら草原と森の脇を進む。

民家が遠くに見える。

丸太の柱が四方を支えてる。
壁は、粘土を塗って固めていた。
屋根は、丸太を半分に切り、藁(わら)を積んでいる。
新しい家。焼けた家はない。頑丈で丈夫なお家(うち)。

(もう、帰ろうか)
サンディアは、アクティスにここから離れることを促(うなが)す。

森の奥に光の若者らしき人影がある。

「あの若者は、何をしているの?
 どこに行くの?」
「怪しい。
 後をつけよう」
アクティスとサンディアは、その姿を追った。

森を東に進む。
山の中腹に来た。
ぽっかり空いた洞窟がある。

その若者は、中に入り奥に降りて行く。
2人も続いて降りて行く。
深く深く進んだ。
奥に灯りが見える。
(誰か横たわっている)
藁(わら)の上に女性が寝ていた。

顔が見えて来る。
「アイリス。お前。生きていたのね」
アクティスは、驚いた。
エンビは、振り返った。
洞窟を降りて行ったその若者は、エンビである。

つづく。 次回(アイリスの救出)

#闇と光の慈愛のコントラスト #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #闇の担い手

 

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闇と光の慈愛のコントラスト(87)闇は母

2020年11月27日 18時11分53秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(87)闇は母
==第二章、闇と光==
--闇は母(010)闇の未来②--

イリスは、続いて口を開く。

「私は、恨んで言うのではありません。
 イリノイスは、傲慢(ごうまん)です。
 人を世界を全てを。
 自分の都合で支配していこうとしている。
 エゴの世界が創られる。
 それは、危険なことです」


「闇の民は、呪いを受けました」
アクティスは、心中を言う。

「それは、お可哀想です」
イリスは、答える。

「慰めなど要(い)らない」
アクティスは、強気である。荒立てて言う。
「私は、救わなくてはならないです」

「あなた方は、戦う気でしょ」
イリスは、アクティスの気持ちをさっして言う。

「私は、どう、戦えば良いのでしょう?」
アクティスは、更に問う。


「戦うことが正しいのでしょうか?」
イリスは、切り返す。

「戦うのは、自分の為ですか?」
更に問う。

「いいえ」
アクティスは、答える。脳裏には決まっている何かが浮かぶ。
そして、言葉が突いて出る。
「ただ、闇の民を救いた。いや、民を救いたい、それだけです」
更に言う。
「闇は母です。
 呪縛(じゅばく)を解き人々を自由にしたい」

「それが母の愛ですか?」
イリスは、また、問う。そして、言う。
「ならば、答えは出ているはずです。
 導き手になるのです。
 命を捨てれますか?」

「はい」
アクティスは、躊躇(ためら)いなく頷(うなず)き答えた。

「サンディア。あなたはどうします?」
イリスは、今度は、サンディアの気持ちを問う。

「彼女を支えます」
サンディアは、決定している。

「では、二人とも、今日は休みなさい」
イリスは、労(ねぎら)いの言葉を投げかけた。

これから、二人には、受難の道が待ち受けているのか?


つづく。 次回(新たな時①-闇の担い手-)

#闇と光の慈愛のコントラスト #自作小説 #サンディア #アクティス #闇は母

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闇と光の慈愛のコントラスト(86)闇は母

2020年11月27日 11時15分52秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(86)闇は母
==第二章、闇と光==
--闇は母(009)闇の未来①--


イリスは、話し出す。
「昔、人が生まれる時、イリノイスは、命の種を闇の種族からもらいました。
 その種から人間や動物が生まれたのです。
 この子の父は、闇の種族から使いで来たのです。
 名前をアンディアと言います。
 人の食料として小麦の粉を届けに来てくださいました。
 私は、アンディアを労(ねぎら)い持成(もてな)しました。
 パンや紅茶をお出ししました。
 そして、いろいろ話しました。
 私達は、植物を育てるので、気が合いました。
 食物と植物は多少違いますけどね。
 私は、その夜、闇の種族の村を見たくて
 光の天空城を抜け出したのです。
 偶然、アンディアに会いました。
 嫉妬を買ったみたいで、
 マイァシと言う光の神に『密会』したと
 イリノイスに報告されてしまいました。
 イリノイスは、激怒して、私を辱(はずかし)めたのです。
 私は、子供を宿(やど)しました。
 神が子供を宿すことは珍しいことです。
 私は、生むと決めました。
 そして、マイァシに誘われ天空城をでました。
 マイァシは、私を殺すきでした。
 私は、短剣で刺されました。
 それの剣を止めて、また助けてくれたのがアンディアです。
 しかし、アンディアは、剣の魔力で亡くなりました。
 最後の力をお腹の子に与え、そして、私たちを逃がしたのです。
 私たちは、気付くこの島にいました。
 これがこの島にいる経緯(けいい)です」
イリスは、話を休めた。

「今度は、これからについて話します」
イリスは、続いて口を開く。


つづく。 次回(闇の未来②)

#闇と光の慈愛のコントラスト #自作小説 #サンディア #アクティス #闇は母

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闇と光の慈愛のコントラスト(85)闇は母

2020年11月22日 21時37分11秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(85)闇は母
==第二章、闇と光==
--闇は母(008)しばしの休息②--

サンディアは、森の中にいる。
デガドリンの草の葉が胸のあたりまで覆っている。
腰を沈め草に隠れ意識を集中する。
「ザワ ザワ」
草が動く。
サンディアは、手を瞬間に次元移動させた。
その動くものを捕まえた。
矮鶏(ちゃぼ)の先祖である。
サンディアが、鳥の名前を知るはずもない。
名付けて呼ぶなら「ジャンボゥ」である。
アクデシアが死んでからいろいろな動物が増えた。
ある土地には、恐竜が現れたとも聞く。

サンディアは、鳥を持ち、いそいそと帰る。

「アクティス。帰ったよ」
サンディアは、は、アクティスに鳥を差し出した。

「きゃ。素敵」
鳥は、既に締めていた。
ピクリとも動かない。
闇の民である。動じることはない。
アクティスは、サンディアを喜ばす言葉を掛けたかったのである。

「でも、可哀そうなことをしたわね。
 私のため?」

「いや。未来の為だ」
それが、アクティスの慰(なぐさ)めになるとは思はないが、
サンディアの気休めである。

サンディアは、鳥の処理をした。
毛を毟(むし)り取った。
そして、肉を食べやすい大きさに千切(ちぎ)る。
アクティスに見えない離れた場所で行った。

2人は一緒に料理をする。

包丁は、木の枝に先に鋭い尖(とが)った石のかけらが埋め込まれている。
アクティスは、緑の葉のキャンジャを千切(ちぎ)った。
赤いボヤゲの根を刻む。

暖炉に薪をくべて火をつける。
暖炉には、石の鍋がある。
鳥をまず焼く。
具材を投入する。
木のへらで混ぜる。
最後にジョガの汁をかける。
刺激のある香りがたつ。
『野菜と鳥もものジョガ炒』は、出来上がった。

あいにく卵がなく鳥骨のスープはお預けとなった。
その代わり、清い水がある。

木の皿に分ける。
イリスも呼んでくる。
イリスは、小麦をこねパンを焼いていた。
それを葉に乗せて持ってきた。

3人は、部屋の真ん中に車座に座(すわ)った。
祈りを捧げる。
「感謝します。全てに運命に。自身が良い行いを出来ますように」
イリスは、唱えた。

鳥は、パリパリに香ばしく焼けていた。
ジョガの汁が甘じょっぱい。
そのせいか食欲がわく。
水が美味しい。

イリスは、サンディアのお父さんと知り合った日を思い出す。
あの時は、光の天空城だった。
今は、自然にかこまれたマウの木の家である。
こんなに賑(にぎ)やかでもなかった。
美味しく三人は食べた。

イリスは、今後のことをアクティスに尋ねるため話し出す。

「昔…、私は、この子のお父さんと光の天空城で巡り合った…」

つづく。 次回(闇の未来①)


#闇と光の慈愛のコントラスト #自作小説 #サンディア #アクティス #闇は母

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闇と光の慈愛のコントラスト(84)闇は母

2020年11月08日 12時48分33秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(84)闇は母
==第二章、闇と光==
--闇は母(007)しばしの休息①--


アクティスは、サンディアの家についた。
「ここで、暫くゆっくりしていてください」
そう言うと、サンディアは、アクティス為に飲み水を汲(く)みに行った。
飲み水は、島の山の中腹に溜まった水が流れ出ている場所がある。
木の幹を刳(く)り抜いた桶(おけ)を持っていた。
水源に着いた。
汲む前に、サンディアは、一口飲んだ。
「美味い」
サンディアは、安心した。
アクティスに害のあるものを飲ませることはできない。
光の神の手が届くとは思わないが、少し用心したのである。
(夕食の分も足りるだろう)
桶一杯に水を汲んだ。こぼさないように慎重に戻った。
「アクティス。水です」
サンディアは、勢いよく家を覗(のぞ)いた。
「まあ。うれしい」
アクティスは、もう何日も何も口にしていない。
喉(のど)が渇(かわ)いていた。
サンディアは、水桶から、カップに水を移して差し出す。
アクティスは、「ごくごくごく」と飲んだ。
「おいしい。サンディア。ありがとう」
サンディアは、今度は、籠(かご)とその籠に栓のついた容器を入れた。
「少しは休めましたか?
 私は、畑に夕食の素材を取りに行きますが、
 アクティスは、どうします」
「私も畑を見たわ」
今まで暗闇にいたせいか、違う景色が見たくなった。
畑は、山の中腹の家からまだ登らないといけない。
アクティスも闇の民である。農作業も手伝っていた。足腰は丈夫である。
2人は、仲良く出発した。
「アクティス。足元に気をつけて、
 折れた木の根が突き出ているから」
2人は、山を足元を注意しながら登る。
草木が険しいが、
サンディアが毎日、農作業で通うからか道が出来ている。
畑に着いた。
部屋五件分ぐらいの畑である。周りは柵で囲んであった。
母親と2人で暮らすには十分な広さなのでしょう。
緑の葉のキャンジャを一つと赤いボヤゲの根を三本取り籠に入れた。
ジョガの木に傷をつけて汁を栓のついた容器に取った。
そして、2人は、家に戻ったが、サンディアが、今度は一人で出ていく。
「少し待ってて」
「どこ行くの?」
「いいもの」

つづく。 次回(しばしの休息②)

 

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